W杯までに知っておきたいサッカー用語の第38弾。今回は「ターンオーバー」を解説。(C)Getty Images

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 聞いたことはある、何となく意味も分かる。でも、詳しくは知らない。そんなサッカー用語を解説。第38弾は「ターンオーバー」だ。

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 過密日程や連戦を見据え、先発メンバーを大幅に入れ替えることを指す。単なる休養ではなく、選手のコンディション管理や戦術的な狙いを含めた、現代サッカーに欠かせないチームマネジメントの1つだ。

 特に短期間で試合が続く国際大会では、その重要性がさらに高まる。たとえばワールドカップでは、中3日から4日の間隔でグループステージの3試合を戦わなければならない。さらに決勝トーナメントへ進めば、延長戦やPK戦を含む消耗戦が続くため、主力だけに頼る戦い方では最後まで戦い抜けない。

 そこで監督は、一部の主力を休ませながら、チーム全体の強度やパフォーマンスを維持していく必要がある。

 2022年のカタール・ワールドカップでも、多くの国がターンオーバーを活用した。日本代表は、逆転勝利を収めた初戦のドイツ戦からコスタリカ戦はスタメンを大幅に変更するも、攻撃面の連係やテンポに課題が見られ、0−1で敗れた。

 それでもグループステージ突破を懸けたスペイン戦では、再びメンバー構成を調整して逆転勝ちしている。

 このようにターンオーバーは、成功すればチーム全体の総合力を引き出せる。一方で、噛み合わなければパフォーマンス低下に繋がる難しさも併せ持つ。
 
 北中米ワールドカップでは、夏の暑さや移動の負担もあるなか、最大で8試合を戦う。前回大会を超える消耗も想定される戦いに向けて、森保一監督も昨年のアメリカ戦や今年3月のスコットランド戦で通常のサブ組をメインに起用するなど、カタール大会のコスタリカ戦を反省材料に活かしている。

 ターンオーバーは、対戦相手との相性を踏まえて、「運動量の多い選手を増やす」や「空中戦に強いフォワードを起用する」など、戦術的な意味合いも強い。

 近年は5人交代制の導入によって、途中出場選手の重要性も増しており、90分を通して戦力を循環させる考え方そのものが、ターンオーバーの一部になっている。

 1つ歯車が狂えば連係面が崩れ、試合運びが不安定になるリスクもある。そのため、どのポジションを固定し、どこを変えるのかは、監督の手腕が問われる部分だ。

 特にワールドカップのような短期決戦では、ターンオーバーの成否が大会全体の結果を左右することも少なくない。

 ターンオーバーは、長いシーズンや短期決戦を戦い抜くために、選手を循環させながらチーム力を最大化する現代サッカーにおける重要な戦略なのである。

文●河治良幸

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