日本を取り巻く安全保障環境はかつてないほど厳しさを増している。

 また、無人機(ドローン)などを使った新しい戦い方にも対処せねばならない。そうした状況に対応するための防衛力のさらなる強化に必要な財源をどう確保するか。

 政府は、有識者の意見を踏まえ、アジア全体の平和と安全を守るための課題を整理し、実行に移す体制を整えることが重要だ。

 政府は年末までに、安全保障政策の基本方針を定めた国家安保戦略や、2023年度から5年間の防衛費を明記した防衛力整備計画など、安保3文書を改定する予定だ。そのあり方について議論する有識者会議が初会合を開いた。

 22年末に改定された現在の3文書は、中国や北朝鮮のミサイルへの対処力を高めるため、反撃能力の保有などを明記した。防衛費は5年間で43兆円と定めた。

 だがその後も、中国は軍事力を増強し続けている。太平洋に空母を展開し、訓練を繰り返すようになった。ロシアと北朝鮮は軍事協力を深めている。

 4年前に比べて、安保環境が悪化しているのは明白だ。3文書の改定を前倒しして脅威に備えるのは妥当である。

 改定に向けた議論で焦点となるのは、新たな戦い方への対処だ。イランは米国とイスラエルの攻撃に対抗し、安価なドローンを大量に投入している。

 現在、日本には、戦闘で使用できるだけのドローンを製造する基盤がない。高性能なドローンを調達するため、防衛企業の育成を急ぐことが肝心だ。

 ロシアの侵略を受けるウクライナは、常に武器の不足に直面している。継戦能力の維持はどの国にとっても重い課題だ。

 政府は防衛装備移転3原則とその運用指針を改め、殺傷能力のある装備品の輸出に道を開いた。

 海外に販路を拡大し、同志国との相互協力の体制を構築する意義は大きい。そうした取り組みを通じて国内での生産能力を向上させられれば、継戦能力も高まる。

 企業が円滑に装備品を輸出するには、政府の後押しが欠かせない。価格交渉などに国が関与することも視野に入れてはどうか。

 今後、防衛費を含めた安保関連経費をどの程度積み増すかも、有識者会議で議論するテーマだ。

 防衛力の強化には恒久的な財源が必要だ。安易な国債依存や一過性のやり繰りでは済まされない。政府は恒久財源の確保へ正面から国民に理解を求めるべきだ。