前田大翔、“リリイベ王子くん”はどのようにして生まれた? 『タイプロ』出演や10年の経験で得たアイドル哲学
SNS上ではファンとの親密なコミュニケーション動画が次々と拡散され、“リリイベ王子”として圧倒的な支持を得ているアイドル・前田大翔。
かつてSMAPや嵐に憧れた少年は、10年のグループ活動と『timelesz project -AUDITION-』を経験し、今、一人でステージを背負う覚悟を決めた。本インタビューでは、新曲の制作秘話はもちろん、意外な「お笑い好き」の一面や、ファンを「共に風船のように上がっていく存在」と例えるアイドル観について深掘り。オーディションでの注目を超え、一人の表現者としてムーブメントを起こそうとする彼の熱い想いに迫る。(編集部)
(参考:ROIROM、TAGRIGHT、浅井乃我、鈴木凌、前田大翔……立て続く『タイプロ』出身者の飛躍、各々の強みの開花)
■漠然と持っていた「国民的な存在になりたい」という想い
――前田さんは『timelesz project -AUDITION-』(Netflix/以下、『タイプロ』)の出演をきっかけに多くの人に知られる存在になりましたが、オーディション参加前からアイドル活動をしていらっしゃいましたよね。アイドルになった理由は、何だったのですか?
前田大翔(以下、前田):実は、何か大きなきっかけがあったわけではないんです。アイドルという仕事に漠然とした憧れがあった中で、いろいろな巡り合わせがあって、最初に所属したグループと出会って、所属することになって、今まで続けているような形になります。
――その憧れは、どうやって生まれたんですか?
前田:小さい頃、おばあちゃんとテレビを観ることが多くて。そこでSMAPさんや嵐さんを観て、自分もこういう国民的な存在になれたらいいなと漠然と思っていました。その中で機会をいただいたのでアイドルに挑戦しました。
――そのグループは10年近く活動をすることになります。
前田:最初は何をしたらいいのか全くわからなくて、ほかのメンバーについていくことだけで精一杯でした。でも、一緒に切磋琢磨できるメンバーがいて、僕を愛してくださるファンの方がいるという環境がすごく好きでした。
――初めてステージに立った時のことを覚えていますか?
前田:覚えています。ステージと言っても、僕たちはカフェでお客様の席の間を歩いていくようなスタイルだったので、皆さんが想像するようなステージとは少し違うかもしれないです。でも、より近い距離だったからこそ、ものすごい緊張をした記憶があります。
――もともと人前に立つことは得意なタイプだったのでしょうか。
前田:全然そんなことなくて、今も緊張しながらステージに立っています(笑)。
――その後『タイプロ』を受け注目を集めます。オーディションが終了してからかなり早いタイミングで次の動きを始めた印象があります。
前田:前のグループの活動が終了して、すぐ『タイプロ』を受けたこともあって、動きを止めるのが一番よくないと思ったんですよね。こうやって注目していただいて、応援してくださった方がいるからこそ、なるべく早く直接でもオンラインでも感謝の気持ちを伝えたいと思いました。そのためにやることはたくさんあって、それを一つひとつ頑張ったらいつのまにか2025年が終わっていました(笑)。
――現在はソロアイドルとして活動しています。これまではグループでの活動が多かったと思いますが、ソロならではの難しさもあるのでしょうか。
前田:僕がステージに立つ時、今までは何人かいる中の一人で、視聴率が100%になることってほとんどなかったんです。でも、今はソロだから僕を観にきてくださる方が集まっているので、みんなが僕を見ている。それを思うと、ステージに立つ時の重みが全然違うなと思います。今までは、僕が緊張したり不安なことがあっても、控室ではメンバーがいてふざけ合ったりできていたけど、今は控室に一人なので。そういうところでも大変さを感じます。
――前田さんは1995年生まれで、『タイプロ』参加時点では29歳でした。アイドルとしては新しいキャリアをスタートするには少し遅いとも言われる年齢ですよね。不安に思うことはありませんでしたか?
前田:僕自身、年齢のことをあまり考えたことがないんですよね。年齢のことを考える時って、大体逃げる時か言い訳をする時だなと思っていて。だから、年齢のことはあまり不安ではなかったと思います。でも、きっと誰しもが「このままで良いのだろうか」という不安を抱えていると思うんです。そういう人に勇気を与えられる存在でいたいなと思ってます。
――きっと前田さんを見て、年齢関係なくチャレンジしてみたいと思った人もいると思いますよ。
前田:だったら嬉しいですね。年齢なんて記号ですから(笑)。
■王子様というフィルターを通して届けたいもの
――3月15日には『Beautiful World ~ウツクシキボクラノセカイ~/Love is a maze』も発売されました。このコンセプトもご自分で決めたんですよね。
前田:今回のシングルは自分の世界観がより両極端に詰まった2曲になっていて、「Beautiful World ~ウツクシキボクラノセカイ~」は自分の“プリンス”というキャラクター性を持った状態のまま、自分の思い描く美しい世界にできたらという気持ちを込めたものです。楽しい曲なんですけど、よく聴くとメッセージ性もこもった曲になっています。もう1曲の「Love is a maze」はガラッと雰囲気を変えて、今まで自分の中になかった妖艶さとか色気みたいなものを詰め込んでいて。両極端ではありますが、自信のある2曲になってます。
――王子様の衣装で活動をしていますが、現在のコンセプトもそのようにして生まれたんですか?
前田:『タイプロ』が終わってゼロの状態から走り出した時に、「こうしたい」と思ったことを重ねていったら、こうなりました。そもそも僕は、自分がやりたいことというよりも、ファンの皆さんが見たいものを体現したいという気持ちのほうが強いんです。歌うことも踊ることも好きだけど、僕を応援してくれる方が求めているものに応えていきたい。僕がありのままだと届けきれないものも“王子様”というフィルターを通すことによって届きやすくなることもあると思っていて。見る人が気軽に楽しめるためのものを作ることを考えると、この王子様ライクなキャラクターになるのかなと思います。あまり言うとネタバラシみたいで恥ずかしいんですけど(笑)。
――(笑)。でも、“王子様”をしていても無理がないのが前田さんの魅力のように感じます。
前田:「無理しているな」と思うことは全くないです。全部楽しいです。
――ソロ活動が始まってから、かなり怒涛の日々を過ごしていたと思いますが、実感としてはいかがですか。
前田:あっという間でしたね。自分ができることを詰め込んで可能性を模索した1年だったと思います。どこかのイベントでファンの方とこれまでの活動を振り返りたいなと思っていたのですが、そんなことすらできないくらい突き進んでしまったような(笑)。
――特に印象的だったことはありますか?
前田:全部印象的でしたけど、自分だけのオリジナル曲ができた時は嬉しかったです。今まではグループのコンセプトに合わせた曲だったのですが、曲の方向性を自分で決めて、自分が持っている世界観をお届けするというのはこれまでになかった感覚でした。
■“リリイベ王子くん”はどのようにして生まれたのか?
――個人的には“リリイベ王子くん”として投稿しているTikTokでの発信も印象的です。
前田:見ていただいてありがとうございます! 前のグループでもSNSで発信はしていたのですが、その時はグループの一員としてやりすぎないラインを模索する必要がありました。今は自分がルールなので、思いつくままに発信しています。実は僕、お笑いがすごく好きで。だから、歌とかダンスとかで「かっこいい」「かわいい」と思ってもらえることも大切なんですけど、面白いことが大好きなんです。でも、人を笑わせることってすごく難しくて。面白いことも届けられるような存在でありたいなと思います。
――ファンの方の投稿している、前田さんとファンの方のコミュニケーション動画が話題になることも多いです。
前田:人と話すことが好きなんですよね。パフォーマンスを通じて何かを伝えることも大切なことだけど、言葉で直接伝えることができる時間は本当に楽しいし、大切にしたいなと考えています。
――特典会の限られた時間でのやりとりで意識していることはありますか?
前田:特にないです!強いていうなら、短い時間の中に身なりや気持ちなど、たくさんの準備をして会いに来てくださっているので、大事な時間と気持ちを一緒に過ごしているということを忘れず、なにより僕自身も最大限楽しむことを考えていますね。
――いわゆるライブとリリースイベントは違う種類のイベントになっているんですよね?
前田:あくまで僕の考えではありますが、ワンマンでおこなうライブは、自分の用意した考えや発想を準備してパフォーマンスに落とし込み、お披露目するイメージ。リリースイベントは、今の僕から自然発生するエネルギーを一緒に楽しむ、みたいなイメージです。伝わりますか?(笑)。
――伝わってきました。では、“リリイベ王子くん”として感じるリリイベの魅力は何ですか?
前田:僕が会いにいけることなのかなと思います。もちろんまだまだ行けていない場所もあります。けれど、初めての方は「近所だから行ってみようかな」と思っていただけたり、いつも応援してくださる方とは「初めて〇〇に来た!」とデートのようになったりと、心の距離も一緒に縮めることができるのが僕はすごく大切なのかなと。
――ファンの方が投稿している動画をご自身でも見ることはありますか?
前田:時間がある時に自分自身も楽しく拝見しております(笑)。SNSで広めてくださることも、もちろん嬉しいことですが、どんな会話もこうして思い出に残せることが僕は素敵なことだと思っています。恋人や家族、大切な人とデートしたら写真とか動画撮りますよね?それと同じです。
――今後行ってみたい地域はありますか?
前田:行けていないところは全て行ってみたいです!まだまだ会いに行けてない方がたくさんいらっしゃると思います。目指せ全国制覇!会いに行くから待っててね!
――ファンと近い距離で活動できるのも、今の活動形態ならではかもしれないですよね。
前田:そうですね。僕はファンの皆さんとの時間をしっかり取りたいタイプで。僕がピラミッドの頂上にいて僕を支える存在としてファンの皆さんがいるのではなく、一人ひとりと僕が手を繋いで風船みたいに丸くなって一緒に上がっていくことができたらいいなと考えているんです。漠然とした話ですけど、そうやって進んでいければいいなと思ってます。
――今後はこういう活動をしてみたいというのはありますか?
前田:もちろんアイドルとしては今のペースで進めていきたいのですが、俳優やタレントとしての活動を求めてもらえるのなら挑戦してみたいなと思いますし、本業がアイドルであることを忘れず、たくさんのことに挑戦できればと思います。かっこいい、かわいいだけじゃなくて、いろいろな方法で人を笑顔にしていける活動がしたいです。
――具体的な目標はありますか?
前田:去年活動を始めて、最初に掲げた目標が「1000人以上を動員すること」なんです。でも、これって思ったより簡単ではなくて、オーディションではたくさんの方に知っていただきましたが、そこからちゃんとした一人のファンになっていただくように頑張りたいです。今は興味本位で来てくださってる方も多いと思うんですよ。だけど、それだけだと限界があるし、“『タイプロ』の前田大翔”を超えることはできないと思っていて。だから、そうじゃないムーブメントを起こして、去年掲げた“4桁動員”を達成できればいいなと思っています。
■10年以上アイドルを続ける上で変わらない軸
――前のグループを合わせると、10年以上のキャリアになります。なぜここまでアイドルを続けてこれたのでしょうか。
前田:僕は、僕のことを好きでいてくれる人のことが大好きなんです。僕のことを好きな人に向けて何かしたいと思うことを突き詰めていくと、アイドルが一番それを体現できるんですよね。10年前は漠然と「多くの人に好かれたい」と思って活動していましたが、だんだん僕のことを好きな方が増えていって、その人たちの期待に応えるような振る舞いが染み付いたのかなと思います。僕にとって一番大事なものは、僕を応援してくださる方。その軸は変わることはないし、変わらないと思います。
――アイドルになって良かったなと感じる時はどういう時ですか?
前田:たくさんあるので一つに絞るのは難しいですが、僕がしているパフォーマンスを観てくれることって、すごく幸せなことだと思うんです。僕一人でできることではないし、何より僕も皆さんのことを見ることができることがとても幸せなことだなと感じていて。僕は友達が多いタイプじゃないからこそ、こうして、アイドルというお仕事を通じてたくさんの方と関われることはすごく尊く感じています。
■プロフィール前田大翔
1995年9月16日生/神奈川県出身 2014年から2024年までCandy Boy(トータルエンターテイメント集団)のメンバーとして活動。同グループは2024年7月7日を持って解散。その後timeleszの新メンバーオーディション「timelesz project」に参加。オーディション後はソロ活動を開始。 2025年9月16日に初のソロ配信1st EP「Grand-Brand-New」をリリース!全国各地で開催したリリースイベントでは「リリイベ王子」として話題に。 2026年1月5日に1st Single「Beautiful World ~ウツクシキボクラノセカイ~」「Love is a maze」を両A面にて先行配信スタート。3月15日に1stSingleは発売しオリコン総合チャートウィークリー最高位4位を記録。 2026年3月22日品川 THE GRAND HALLにて開催されたライブも完売し、次回、7月5日(日)前田大翔「激LOVE P×P SHOW ~A Lot of Prince~」恵比寿THE GARDEN HALLにて開催が発表されている。「両想い系セルフプロデュースアイドル」として精力的に活動中である。
(文=佐々木翠)
