阪神・福島圭音 父が作った近本仕様の打撃練習場で毎日特訓 秘密基地での成果実ったプロ初安打
◇セ・リーグ 阪神4―2広島(2026年4月3日 マツダ)
阪神・福島が自慢の足とバットでスタメン抜てきに応えた。5回1死からの第2打席。カウント1―2から床田が投じた内角のツーシームを左翼線に運んだ。一塁を回ると一気に加速。そのまま勢いよくスライディングして二塁を陥れた。プロ3打席目で生まれた待望の初安打。記念すべき1本に、チームメートも総立ちとなった。
「うれしかった。やっとプロ野球選手になった実感があります」
スタメン発表時、敵地に「福島」の名前が響きわたると虎党が沸いた。育成入団野手では球団最速のスタメン出場。期待を背負った若虎は50メートル5秒8の俊足を生かす快打でも場内を沸かせた。正左翼手不在の中、全力プレーでレギュラー獲りに名乗りを上げた。
「今年が最後のチャンスだと思って。“これでダメならしょうがない”というくらいまでやろうと」
実は実家の敷地を一部改造してまで、育成3年目の今季に懸けていた。昨年10月。父・明さんに連絡を入れた。「打撃練習場をつくってほしい」。そう伝えたと同時に、近本が自主トレ先の鹿児島・沖永良部島で打撃練習を行う打撃ケージの写真を送った。「こんな感じのものをお願いします」。実家には広大な畑があり、そこに使用していないビニールハウスがあった。息子からの要望を受けた明さんは1人で2カ月間もかけてハウスをリフォーム。近本仕様とそっくりな福島専用の打撃練習場が完成した。
昨年12月に帰省した際は父と毎日120球×4セットのティー打撃を敢行。「今年は打撃フォームが安定している感覚がある」。プロ初安打は、親子で汗を流した秘密基地での努力がつまった1本だった。
名前の圭音(けいん)は母・真由美さんが大ファンのアクション俳優のケイン・コスギが由来。「(フル出場は)しびれました。ここからも、与えられた役割をしっかりできるようにしたい」。本家に負けず、ここから虎のケインが、その名を球界にとどろかせる。(松本 航亮)
○…福島(神)が1軍2試合目でプロ初先発。育成ドラフトで阪神に入団、支配下登録を経て1軍出場した野手6人では、21年小野寺の2試合目に並ぶスピード。ただし小野寺は1軍デビュー(4月24日)から初先発(6月9日)は46日後。デビュー翌日初先発の福島が最速になる。
◇福島 圭音(ふくしま・けいん)2001年(平13)10月6日生まれ、埼玉県出身の24歳。聖望学園(埼玉)の2年時に内野手から外野手へ転向。関甲新学生リーグの白鴎大では1年秋からリーグ戦に出場し、4年春にリーグ新記録のシーズン20盗塁。23年育成ドラフト2位で阪神入団。25年ウエスタン・リーグ33盗塁でタイトル。26年3月30日に支配下登録された。1メートル71、69キロ。右投げ左打ち。
