「モノづくりで日本は中国に負けた」かつては“安いだけ”だったのに…OPPO、Anker、Xiaomiなどの中国メーカーが“日本でも売れまくる”ワケ
どうも今年の年初から、中国発のすごいスマホや家電の話題が出続けています。まずソニーが、テレビ「BRAVIA」を含むホームエンタテインメント事業を中国TCLとの合弁会社へ移管すると発表。
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毎年スペインのバルセロナで開催される世界最大のモバイル関連見本市「MWC(Mobile World Congress)」では、今年中国メーカーからジンバルカメラ付きスマホやカメラ着脱可能スマホがお披露目されました。また、中国国営テレビの春節特番では、ヒューマノイドを取り上げ、そのパフォーマンスに驚かされました。

中国の家電量販店
かつては日本ブランドが中国を魅了していた
中国のハイテク製品を見てきた身としては、そろそろ情報ラッシュも落ち着いたし、これは書かねばと思った矢先にまた別のニュースが発表されるという状況が繰り返され、今年は違うな、ますます勢いがあるな、と思うところです。
ソニーが家電からさらに離れていくのは仕方ないとはいえ、感情的にはさみしいものですよ。思い返せば20年前、当時住んでいた中国の地方都市の街の中心部にソニーの店舗があり、店に入ると柵に囲まれた空間にaiboがいて、そこに中国人の人垣ができ、目を輝かせている人がたくさんいました。
ソニー「VAIO」のミニノートパソコンを中国の歩行者天国で休憩しつつ利用していたら、中国の若者が「これスゲーな!」とばかりに笑顔で話しかけてきて、こちらが聞き取れないほど早口で喋り出したのを思い出します。
2005年、あるいは2012年の反日デモを振り返ると、日本製品不買を訴えるための日本ブランドリストがありました。それには、当時中国で誰もが知っているような日本ブランドが並べられてたわけですよ。家電ひとつとってもソニー、パナソニック、東芝などというブランドがあり、実際、省都クラスの都市には日本メーカーの家電が売られ、一定の存在感があったわけです。
シンプルな機能で価格が安いといえば中国製品
現在、中国はロボットも家電も強くなったのはご存知の通りです。通信キャリアショップにいけばシャオミやOPPOといった中国メーカーの製品があり、日本の家電量販店やディスカウントストアでは中国メーカーの家電が販売され、しかも魅力的な低価格。
テレビだけではなく、エアコンや冷蔵庫などの白物家電も、価格的には中国メーカーの製品が圧倒的に魅力的で、日本メーカーの製品も買いたいけど、シンプルな機能でいいから安いほうがいい、となると、どうしても中国メーカーとの価格差が……と個人的には思ってしまいます。
中国の家電量販店を見てみると、安価でシンプルな商品ばかりではなく、かつてのソニーの「クオリア」のようなハイエンドブランドの家電や、バルミューダのようなエモい家電もあります。少なくとも海外でしっかり売っている中国メーカーについては「安かろう悪かろう」から脱却したと言えます。
売り方にも魅力がある中国ブランド
日本ではどんな中国ブランドを目にするかといえば、テレビのTCLやハイセンス、冷蔵庫・洗濯機など白物家電ではハイアール、スマホではシャオミやOPPO、ロボット掃除機ではECOVACSやRoborockが強いです。
あと、スマートフォンのバッテリーはAnkerを筆頭に、BaseusやUGREENも中国メーカー製品で、店によっては大きく扱われています。
ロボットといえば、レストランチェーンで食事を運ぶ食事運搬ロボットも中国製です。Puduという企業がやっていて80以上の国と地域で展開し、総売上高のうち、海外売上高が約80%を占めるまでになっているとのことで、海外でものすごく強いです。
これらの中国製品は安くて機能的にも面白い上に、キャンペーンもやっているんです。シャオミストアにいけば、新生活キャンペーンで思い切ったディスカウントをやり、シャオミのネットショップでは最大12回まで無金利による分割払いが可能となっています。
Ankerはモバイルバッテリー下取りキャンペーンをやっていて、使えなくなったAnker製品を下取りに出すと、新規購入のモバイルバッテリーが30%OFFになるなど、なかなか魅力的です。
2000年代後半には「案外いけるじゃないか」にレベルアップ
家電量販店の店頭で、特定の中国メーカー製品の利用体験をすると、粗品をもらえることもあります。先日はファーウェイのスマートウォッチを触って、折りたたみ傘をもらいました。
中国企業はインフルエンサーマーケティングに積極的で、日本で売れるよう日本のインフルエンサーにも積極的に機器を貸し出し、あるいは供与して製品レビューの仕事も提供しています。
こうした話題が出ると、「モノづくりで日本は中国に負けた」という話が出てきます。日本が負けた理由についてはいろいろ言われているところですが、中国がモノづくりで勝った、よくなった理由については、詳しく言及されていない印象です。
2000年代、中国製品の品質は今よりも間違いなく悪かったです。買っては失敗の繰り返しをしたので、そりゃあよく覚えてます。しかし、2000年代後半には大手企業の製品は日常使いをしても困らなくなったというか、「案外いけるじゃないか」と思えるレベルまであげてきました。
これに市民が気付かされたのが、「以旧換新」と呼ばれる、補助金支給による都市部の老朽化家電・自動車買い替え促進策です。交換すると安いので、中国ブランドいけるぞ、と思うわけです。なんだか現在のAnkerのキャンペーンに通じるところがあります。
IoTとAIが押し上げた中国の“製造力の進化”
2010年代に入ると、固定のインターネットからモバイルインターネットへと利用シフトが進み、スマートフォンが出てきたのはもちろんのこと、スマートテレビやスマートスピーカーなども登場してきます。人が使うスマホやパソコンだけでなく、モノのインターネット(IoT)が普及していきます。シェアサイクルもIoTです。
工場にIoTが導入されることで、自動化が進み、メーカー工場と部品工場などを結ぶサプライチェーンが連携し、品質のチェックも向上します。たとえば生産品が流れていくベルトコンベアの上にカメラが設置されて、問題があれば一瞬で検知するようになったわけですね。
メーカーがIoT入り自動化工場で成功すると、それを部品を生産する連携工場にも導入し、製品品質が良くなっていきます。生産側では生産効率、歩留まり率、納期サイクル、エネルギー消費量、在庫回転率が大きく改善します。
日本にも同様のソリューションはありましたが、中国が追いついてきたわけです。しかも中国の場合、大手メーカーは部品を作るメーカーに安く大量に作らせるのだから、値段も圧倒的に安くなる。
しかも、近年はAIがめきめき存在感を出してきました。製品品質チェックもAI、スマートスピーカーが音声を認識するのもAI、カメラで美顔補正するのもAI。中国の街では美顔アピールのスマホ広告をよく見るようになりました。
AIを活用したロボット掃除機も発売され、ECOVACSやRoborockといった中国企業勢が台頭し、世界でシェアを拡大。性能やコスパをよくした先に、ルンバのiRobotの経営破綻が昨年末にありました。
世界が受け入れ始めた中国メーカーの製品
中国のスマートフォンやテレビが世界市場でシェアを取るようになっただけでなく、新しい製品分野で「中国メーカーは世界でいける!」という成功体験を企業側が得るようになります。たとえばドローンで知られるDJIの元エンジニアが立ち上げた3Dプリンター企業「Bambu Lab」が世界を席巻。
世界各国のニーズに応えれば中国製品はいけるぞとばかりに、クラウドファンディングで世界に売る中国企業も続々と登場しています。欧米ではロボット掃除機を発展させた芝刈りロボットが登場したり、庭のプール清掃ロボが登場したりしています。
これには中国企業がこれまで作ってきた自動運転車向けのLiDARという部品を活用しています。ヒューマノイドにもLiDARを使うので、結局部品レベルからこれまでの積み重ねなんですね。
AIで製品力をブーストして開発している間に、中国メーカーのモノづくり力が高まり、新しいコア技術を身につけ、年始からのCESやMWCといった国際的展示会では各社が驚くような製品を投入し、各メディアの記事では製品に驚きの声が取り上げられました。だんだんと中国メーカーの製品が世界で受け入れられ、実際に売れている現実があるのです。
写真提供=山谷剛史
(山谷 剛史)
