男子プロに問われる「人間力」 プレー中の喫煙、ファン軽視はもってのほかです(羽川豊)
【羽川豊の視点 Weekly Watch】
【羽川氏コラム】加速するプロのスイングの「没個性化」…近年で技術差が最も露呈するのはアプローチです
救世主が現れました。男子ツアーを統括する日本ゴルフツアー機構(JGTO)と日系投資ファンドの日本産業推進機構(NSSK)による新たなツアー運営会社「ジャパン・プロゴルフツアー(J-Tour)」が設立されます。
簡単にいえば、来季からJGTOは、競技や選手の管理、次世代選手の育成に専念し、ツアーの運営は投資会社の資金と企業経営のプロ集団が行います。人気低迷で試合数も減っている国内男子ツアーの仕組みを大きく変え、数々の新企画でファンやスポンサーの獲得を目指す。5年から10年で、150億〜200億円もの高額資金投入を考えているそうですから、心強い援軍です。
このビッグニュースをツアーの主役である選手はどう考えているでしょうか。女子ゴルフに人気を奪われて久しい国内の男子ゴルフですが、選手のレベルは我々の若い頃の比ではありません。飛距離は出るし、アイアンもアプローチもうまい。ただし認知度が高い選手があまりいません。
ゴルフで最高峰の舞台といえばPGAツアーです。野球やサッカーに比べれば狭き門とはいえ、日本勢の数はあまりに少ない。同ツアー3年目の久常涼は今季すでにトップ10入りが3回あり、世界ランキングを64位まで上げました。松山英樹の背中を追う筆頭で、金谷拓実、平田憲聖がそれに続いていますが、あと10人は参戦して欲しい。
野球やサッカーは「海外組」の活躍が国内リーグの活性化や人気にもつながっています。
ゴルフも同じです。女子のように、日本勢が海外メジャーで優勝や上位争いすることが珍しいことでなくなれば、国内の男子プロは「それに続け」とばかり、レベルアップに励み、熱戦が繰り広げられるツアーは必ず盛り上がるはずです。
どのような形になるかはわかりませんが、新会社は国内ツアーの全試合地上波放送や、海外に挑戦する選手のサポートなども行っていくといいます。
「選手が力をつけ、海外での活躍が当たり前になる」
それが人気回復の柱になるのは当然としても、選手の意識も重要です。
私の若い頃はプレー中に喫煙したり、ファンサービスを軽視する選手は多くいました。今はファンやスポンサーの目は厳しい。野球少年だけではありません。近年、老若男女は大谷翔平のプレーだけでなく、言葉や態度からも影響を受けているはずです。
大谷が数えきれないほどのテレビCMに出ているのは高い人気だけでなく、企業が彼の人間力を評価してのことでしょう。
マスコミ受けがあまりよくなかった松山選手もずいぶん変わりました。「ゴルフがうまければ少々のことは許される」という時代ではありません。投資会社がバックについて、選手は意識改革も求められることになります。
(羽川豊/プロゴルファー)
