実はこのクラウドに直接送信する通信機器を手掛けたのが東京エレクトロンデバイスだ。同社は半導体装置メーカー・東京エレクトロンの電子部品部門を譲り受け、半導体と電子デバイスを販売するエレクトロニクス商社として1986年に誕生。 

 半導体やIT機器の取り扱いを手掛ける一方で、顧客の仕様に基づいた自社製品開発も行う。東京エレクトロンの名を冠してはいるが、半導体製造装置を販売しておらず、独自の経営を展開している。 

 同社の最大の特長は「超ハイテク御用聞き」(社長・CEOの徳重敦之氏=4月1日から会長・CEO)である点だ。顧客の商品コンセプトを聞き取り、全社員(約1383人、25年3月31日時点)の約4割を占めるエンジニア(管理職等を含む)がゼロから作り出す。顧客のオーダーメイドに対応したメーカー機能を持っている。 

 e-kakashiも当初は、農地での電源確保や親機・子機間の通信距離などに課題があった。また、当時の通信方式では、雨天時に電波が減衰して通信が途切れてしまう弱点があった。18年から同社が改良を施し、通信の安定性担保と外部電源なしでも稼働を可能にする機能を盛り込んだのだ。 

 副社長の長谷川雅巳氏は「担当したエンジニア自らがホームセンターで資材を買ってきて自宅で試作機を作り、テストを繰り返していた」と振り返り、「他の企業がやらないことをやり、産業の黒子の存在であり続ける」と話す。同氏はe-kakashiを農業のほかにも、医療・介護、製造業、物流といった領域でも活用することを視野に入れる。その点、同社は、メーカー機能の強化は利益成長に向けた取り組みと位置付けている。 

 農業や地方創生は人手不足などの社会課題に直面する一方、経済安全保障にも絡む。それだけに最先端技術とどのように融合させるか。それを誰が担うのか。東京エレクトロンデバイスの取り組みが今後の鍵になる。

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