素人目には“近すぎる”ように見えるが

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 第1回【「テレビを観ていて酔ってしまう」と物議に…冬季五輪「ドローン」の迫力映像が“酔いやすい”意外な理由 専門家は「安全運転が落とし穴に」】からの続き──。ミラノ・コルティナ五輪ドローンが撮影した迫力ある映像が視聴者に衝撃を与えている。その一方で「うるさい」という苦情もネット上では非常に多い。(全2回の第2回)

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 例えばスーパー大回転だ。出場選手が時速100キロを超える猛スピードでゲレンデを疾走する。迫力ある映像に心奪われていると突然、耳障りなモーター音がテレビスピーカーから鳴り響く。ぎょっとした人も多いはずだ。Xから一部をご紹介しよう。

素人目には“近すぎる”ように見えるが

《耳障りな音がずっとする、と思ってたら、これドローンの音だ》

スノーボードの映像とかで「キューーーーーーン」と大変耳障りな音がするの、ドローンの音らしい》

《今回のオリンピックはドローンの羽音が結構耳障り 単調な音だから消そうと思えば簡単に消せると思うけどなあ》

 ところが、である。ドローンの操縦に携わって約15年というベテランオペレーターは、「うるさいというお気持ちは分かりますが、ドローンにとっては“冤罪”なのです」と苦笑する。

「試合会場にいる選手も観客もドローンの音には気づいていないと思います。実際にドローンが飛んでいるところを見てもらえれば話は早いのですが、オリンピックの中継で流れるような異音は聞こえません。では、なせテレビから耳障りなドローンのモーター音が鳴り響くのか、それはスポーツ中継では非常に高性能のマイクが使われているからです」

ドローン墜落の危険性

 スノーボードのエッジが雪を削る音、スキーが急斜面を猛スピードで滑走する音、観客の声援や歓声──。競技中の様々な音を可能な限り放送することで、テレビの視聴者は競技会場にいるかのような臨場感を味わうことができる。

 だがゴール付近に集まっている観客が「スタートした直後、スキーが急斜面を滑走する音」を聞き取るのは不可能だろう。つまり会場にいる観客も選手も耳にしない音が放送されていることになる。その一つがドローンの飛行音というわけだ。

 選手がドローンと接触するのではないかと心配する声も根強い。だがオペレーター氏は「映像を見ると、オリンピックの中継を担当しているオペレーターは“安全運転”を最優先にしていることが分かります」と言う。

「もっとアクロバティックな動きはいくらでもできるはずなのに、選手の背後から俯瞰の映像を撮影するにとどめているからです。しかしネット上における不安の声を『ドローンは絶対に安全だ』と一蹴することは適切ではありません。どんなに安全を最優先にしたとしても、機体トラブルによる墜落の可能性は否定できないからです。さらにドローンは悪天候が苦手です。猛吹雪の中を飛行することはできません。飛行時の安全運転を心がけることは当然として、『ドローンを飛ばすか、飛ばさないか』の判断も重要だと思います」(同・オペレーター)

団体競技は不向き

 これまでスポーツ中継では、XGamesやラリー選手権などでドローンが活躍してきた。今回、ミラノ・コルティナオリンピックで全面的に投入され、一般の視聴者も初めてドローンの撮影したスポーツ映像を視聴することになったわけだ。

「うるさい」、「選手が危ない」、「映像を見ると酔う」という批判は非常に多い。とはいえ、迫力ある映像だという評価も同じぐらい多い。今後、他のスポーツでもドローンが活用することは増えていくのだろうか?

「私はドローンの映像が力を発揮するのは、あくまでも個人競技だと思っています。特に一定の時間、一人の選手を追った時の効果は抜群です。だからこそ冬期オリンピックとの相性がいいのでしょう。スキーやスノボの選手をドローンが追った映像は迫力があります。ところがサッカー、野球、ラグビーといった団体競技は複数の選手が動く様子を小刻みに写すことで盛り上がります。サッカーなら俯瞰でフィールド全体を写すと、すぐに切り替えてパスを受け取った選手のアップで寄る、といった具合です。野球も投手の顔のアップから捕手に切り替え、さらに打者や審判を写します。ドローンが必要な場面は、団体競技だと実はそれほどないのです」(同・オペレーター)

 ドローンの映像に「酔う」という批判も相当な数にのぼる。第1回【「テレビを観ていて酔ってしまう」と物議に…冬季五輪「ドローン」の迫力映像が“酔いやすい”意外な理由 専門家は「安全運転が落とし穴に」】では、ドローンの“安全運転”が映像の不快感を増しているという意外な事実について詳細に報じている──。

デイリー新潮編集部