山田杏奈、念願のアルバイトに手が届かず? “命に関わらなきゃいい”俳優としてのプロ意識
街の小さなバーガーショップを舞台にした男女8人の青春群像ミステリー『シナントロープ』(テレ東系)。主演の水上恒司を筆頭に、時代を牽引する20代の役者陣が揃っていることでも話題を集めている本作で、ヒロインポジションを担うのが山田杏奈だ。水町ことみを演じる山田に、本作の魅力や役者業にかける想い、“やってみたいアルバイト”について語ってもらった。
参考:『良いこと悪いこと』『シナントロープ』 “群像劇×ミステリー”がドラマのトレンド?
ーー舞台となるバーガーショップ、すごくオシャレなつくりですよね。あれはセットですか?
山田杏奈(以下、山田):ロケセットですね。千葉の飲食店だったところを改装して撮影しています。
ーー実際に撮影をしてみていかがですか?
山田:脚本も魅力的だし、「こういうドラマはなかなかないよね」という共通認識のなかで、みんなが撮影をしている気がします。
ーー“こういうドラマ”というのは?
山田:青春群像劇なんですけど、特定の人だけが目立つというよりは、メインの8人全員に“物語”があるんですよね。バーガーショップ「シナントロープ」以外でも物語が動いていきますし、役者ありきではないドラマというか。登場人物が多いと、「この台詞、誰が言ってもいいよね?」みたいになることもあるんですけど、そういうことがないのも嬉しいです。
ーー舞台がバイト先というのもまた面白いですよね。
山田:そうですね。同じ学校にいても友人にはならないであろう人たちが、バイトというものを通して繋がっている独特さがある気がします。そのときだけの刹那な感じもあって。その雰囲気が、いい感じにミステリー要素に活かされているんですよね。
ーーもし山田さんがアルバイトをするとしたら、どんなことをしてみたいですか?
山田:お花屋さんとか保健室の先生とか……父が建築に関わるお仕事をしているので、家具屋さんにも憧れがあります。あと、これはバイトではできないかもしれませんが、造り酒屋の子どもとして生まれたかったなと思います。
ーー造り酒屋ですか? なかなか渋いですね(笑)。
山田:「うちは代々日本酒を作っています!」みたいな家庭に生まれてみたかったです(笑)。もちろん、家業を継ぐとなると大変なこともあると思うんですけど、そういうものに憧れますね。
ーー保健室の先生もアルバイトでは難しそうですが……。
山田:たしかに(笑)。でも、昔から憧れていたんですよね。保健室って、ちょっと独特な雰囲気があるじゃないですか。“生徒にとってのオアシス”みたいな。もちろん忙しいお仕事だとは思うんですけど、あの空間に1日中いられるのは単純に羨ましいなって。
ーー山田さんは子役としてキャリアをスタートしているので、実際にアルバイトをした経験はないですよね?
山田:ないですね。ただ、コロナ禍の前に、仕事が3カ月空いたことがあって。そこでバイトをしようと思ったことがありました。事務所の方に「ここならいいんじゃない?」とお店を紹介してもらって、あとは働くだけの状態になっていたんですけど、コロナが来てダメになっちゃって……。
ーーちなみに、そのお店というのは?
山田:飲食店でした。惜しいことをしたなと思いますね。あそこで経験しておきたかったです。
ーー座長の水上恒司さんとは、どんなお話をされましたか?
山田:水上さんは、「俺はこうしたいんだ」「自分は責任を持ってこうしていきます」ということをしっかり言葉にされる方で。しかも、それをちゃんと体現されているのがすごいです。口に出すのを怖がらない強さがあるというか。座長がどっしり構えてくれているおかげで、みんな安心してついていくことができているんだろうなと思います。私も、リハーサルで水上さんの演技を見たときに、「彼が作る波に乗っていけば、うまく流れていくだろうな」と確信することができました。
ーー水上さんとは久しぶりの共演になりますが、印象は変わりましたか?
山田:ここまでしっかりとご一緒するのは初めてなので、新たに知る部分が多かったです。ただ、大木のようにどっしり構えてくれるというイメージは、初対面のときから変わりませんでした。
ーー今回のドラマ、かなり台詞が多いですよね。
山田:そうなんです。余裕を持って覚えないと、という感じです。
ーー台詞を覚えるのは得意なほうですか?
山田:あまり苦労していないほうかなと思います。ただやっぱり、それなりに時間はかかりますね。都成(水上恒司)みたいに記憶を維持できる能力はないので、地道に頑張りながら……。
ーー経験を重ねるうちに、覚えられるようになっていった感じですか?
山田:そうですね。ダンスをやっている人って、ダンスを覚えるのが早いじゃないですか。それと同じ感覚だと思います。ただ、1回カットがかかると、「これは忘れていいことだ」ってなっちゃうんですよね。だから、「ごめん、撮れてなかった!」と言われたら、焦ります(笑)。脳の変な部分で記憶しているのかもしれないです。
ーー山田さんが抱く水町ことみのキャラクター像について教えてください。
山田:さっぱりしていて、やると決めたらやるところもあって、すごく好感の持てるキャラクターだと思います。ちょっとやそっとじゃ恐れないところも好きですね。強盗が入ったら、椅子をぶん投げて戦うみたいな……。ちょっと危うさもあるけれど、すごく素敵な女性で。私自身、好きなタイプのキャラですね。
ーーご自身と近い部分はありますか?
山田:水上さんには「したたかなところが共通している」と言われました。「それ、悪い意味じゃないよね?」って(笑)。でも、私もしたたかでいることは悪いことではないと思っているので、納得です。
ーー怖いもの知らずなところはどうですか?
山田:いやぁ、強盗が入ってきたら立ち向かうより先に通報します。あそこまで思い切って行けないですね。ただ、お仕事をする上では、「命に関わらなきゃいいや」と思うタイプかもしれません。緊張して「どうしよう……」と思っていても、仕事はなくなってくれないし。その日が来たら、行くしかないので。
ーー強いですね。
山田:「この人なら!」と思って呼んだ人が、「私なんかが……」とか言っていたら、嫌じゃないですか。だから、もう割り切るしかないなと思っているのかもしれません。
ーー今までで一番勇気が必要だったお仕事はなんですか?
山田:お芝居に関しては、最初は勇気が必要でも、いざ撮影が始まったら楽しくなっていくので……。あっ、始球式とか! すごく緊張しましたね。あと、吹き替えのお仕事も。分からないことが多い現場は勇気がいります。
ーーお芝居はずっと楽しい感覚ですか?
山田:楽しいです! 今回でいうと、第1話のとんでもない長回しのシーンが楽しくて。そういうチャレンジをするのがすごく好きなんですよね。
ーー主演やヒロインポジションを任されることが多いと思いますが、そこに対する意識はありますか?
山田:慣れてはいけないと思っています。ただ、「主演だから」「ヒロインだから」と考えることはあまりないですね。とくに、今回はメインキャストの8人が同じくらいの出演時間で。もちろん、番手のようなものはあるんですけど、与えられた役割を全うすることが大事なんだなということに改めて気づかされました。
(取材=宮川翔/構成=菜本かな)
