「105期OPENING!Fes×LIVE」 蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ

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 『ラブライブ!シリーズ』の華と言えば、スクールアイドルによる渾身の楽曲を用いたライブだろう。それは部活動に励む少女たちの練習の成果であり、限りある時間の中で生まれる二度とない感情の結晶でもある。ゆえに、物語としてはエピソードの集大成として、カタルシスをファンに与える重要なセクションとして機能してきた。

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 そんな少女たちの晴れ舞台であるライブシーンは、15年の歳月の中で進化を続けてきた。特に、『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』(以下、『蓮ノ空』)の、3Dモデルを利用したバーチャルライブ『Fes×LIVE』は、シリーズに新たな体験をもたらした。VTuberの台頭により、バーチャルな存在が一般に浸透した現在では、バーチャルライブそのものは珍しくないだろう。だが、こと『ラブライブ!シリーズ』とバーチャルライブの組み合わせは、多くのバーチャルシンガーとは異なる意味を持っているのだ。

 10月4日、5日に開催される5thライブ『みらくらぱーく! presents Heart Stage cross Bloom Days Extra ~Fes×ReC:LIVE~』公演では、録画された映像を用いた『Fes×ReC:LIVE』も行われる。そこで、本稿では現在に至るまでの『蓮ノ空』の『Fes×LIVE』の魅力について書き記していきたい。

■過程を含めてライブを体験できる『Fes×LIVE』

 まず、簡単に『Fes×LIVE』の概要について解説しよう。『Fes×LIVE』とは、アプリ「Link!Like!ラブライブ!」内にて、隔月で配信されるバーチャルライブイベントのことだ。年度によって開催頻度は変わるが、基本的には「開催までの日々で起こったイベントの集大成」という位置付けのライブになる。そのため、『Fes×LIVE』は、『蓮ノ空』にとってアニメの各エピソード終盤に差し込まれるライブシーンに相当すると考えていいだろう。

 そんな『Fes×LIVE』は、『蓮ノ空』のコンテンツの性質と非常に相性が良い。前提として、『蓮ノ空』は作中の時間と現実のカレンダーが連動した、リアルタイム性を特徴としているコンテンツだ。そのため、今この瞬間にもメンバーはライブに向けて日々練習を重ねている。それを証明するように、2023年の8月度『Fes×LIVE』では、キャラクターの練習風景がショート動画で随時更新され、ステージまでの過程がリアルに演出されていた。カレンダーに沿って日々を過ごし、ライブを迎えるという点こそ、『蓮ノ空』が提供する新たな“『ラブライブ!』体験”のひとつだ。

 たとえば、アニメなどでは30分という限られた枠の中で物語を描くため、ライブに至るまでの過程はある意味スピード感をもって、シームレスに展開されていく。一方で、『蓮ノ空』では突然ライブが始まったりはしない。告知された開催日まで、指折り数えながら過ごす“ライブに至るまでの過程”を、スクールアイドルと同じ時間感覚で味わうことができるのだ。過程を含めて“ライブを体験できる”という要素が最大限に発揮されたのが、2025年1月に行われた『ラブライブ!』決勝大会プレーオフだろう。ステージでのパフォーマンスだけでなく、夢の祭典へ着実に歩を進める彼女たちへ声援を送る日々も含めて、『ラブライブ!』をリアルタイムで応援したという体験は、ファンの方にとっても宝物となっているのではないだろうか。

■キャストそのものがステージに立つ意味、『Fes×ReC:LIVE』の意義とは?

 また、『Fes×LIVE』のバーチャルライブという要素が、リアルライブに新しい意味を問うている点も見逃せない。『ラブライブ!シリーズ』の魅力としてよく挙げられるのが、アニメ映像のキャラクターの動きを、声優が寸分違わぬパフォーマンスを展開するシンクロパフォーマンス。それは2次元の動きを現実に投影することで現実と虚構の境目を曖昧にし、いわゆる“2.5次元”を体現するひとつの手段として成立しているからだろう。

 しかし『Fes×LIVE』では、各キャラクターの担当キャストがモーションキャプチャーを用いてリアルタイムでライブを行う。つまり、キャラクターの動きを再現する以前に、モニターに流れる映像自体がキャストによるライブ“そのもの”なのだ。そのため、単に同じ動きをするだけでは“自分の過去をなぞる行為”になってしまう可能性すらある。だからこそ、『蓮ノ空』のリアルライブでは、よりキャスト自身がステージに立つ意味が問われていると感じられるのだろう。

 一方で、キャラクターとキャストのパフォーマンスが地続きになっているからこそ、リアルライブを通じてキャラクターの成長をダイレクトに受け取ることができる。つまり、リアルライブすらもキャラクターの過去と今を繋ぐ“点”として組み込んでしまえるのだ。

 では、録画形式のライブである『Fes×ReC:LIVE』の魅力とは何か? 『Fes×LIVE』との最大の相違点は、実際のライブ会場を利用した、有観客形式のバーチャルライブであることだ。事前収録した3D映像を大型モニターに投影し、まるでメンバーがステージに立っているかのようなライブ体験ができる。だが、わざわざ記録映像を使ってまで、あえてリアルでバーチャルライブを行う理由は、それだけではないだろう。前年の開催時には、103期の『Fes×LIVE』を映像データとしてだけでなく、空気感、体験すらも保存するという意図がある、と語られていた。自分たちの軌跡を、記録としてだけでなく、改めてファンに記憶として過去を刻んでもらいたい。そのための最も有効な手段こそ、生のライブ空間として体験させることだったのだろう。歴史の授業のようにただただ映像を流すのではなく、観客に“思い出”として持ち帰ってもらう。それが、『Fes×ReC:LIVE』最大の意味だと筆者は考えている。

 もちろん、リアルタイム性を追求する『蓮ノ空』だからこそ、過去を追体験させるのではなく、6人の「DEEPNESS」のように、今実現可能なパフォーマンスも収録されている。『Fes×ReC:LIVE』で観ることのできる映像はリアルタイムで行われているものではないが、ファンが目撃するのはアーカイブではなく、間違いなく“今”できる体験だ。

 5thライブ『みらくらぱーく!』公演で披露される『Fes×ReC:LIVE』は、9月更新の活動記録を見る限り、金沢から今の『蓮ノ空』を発信するライブになると予想される。同時に、百生吟子の最初の夢の形である“Bloom Days”、それを忘れられないイベントにするための第一歩でもある。それはまさしく、かつての『Fes×ReC』のように、今しかできない体験を経て共有し、思い出を刻むためのライブとなるのではないだろうか。

(文=北野ダイキ)