GoogleのクラウドコンピューティングサービスであるGoogle Cloudが、Google DeepMindとGoogle Researchが開発したAI天気予報モデル「WeatherNext」を企業向けに提供開始することを発表しました。WeatherNextは従来の物理ベース天気予報モデルよりも高速かつ効率的になっており、高い予測性能で各種業界が異常気象に備えるために役立つ見込みです。

WeatherNext - Google DeepMind

https://deepmind.google/technologies/weathernext/



Google Cloud unveils AI weather models for the energy industry

https://www.axios.com/2025/03/05/google-cloud-ai-weather-predictions

天気の予報には複雑な気象システムにおける膨大なデータを処理する必要があり、すべての変数を説明または測定する事はできないため、スピーディーかつ正確な予報は難しくなっています。特に、熱波や寒波、ハリケーンなどの異常気象は、生活や環境に影響があることに加えて、経済的な損失も大きくなっています。アメリカの国立環境情報センターのデータによると、アメリカでは1980年から2024年の44年間で総被害額が10億ドル(約1400億円)以上に達した気象災害が403件発生しており、そのうち27件が2024年に発生しているとのこと。

天気予報は数日を超えると不正確になるため、異常気象に備えることは難しいとされていますが、天気予報モデル「WeatherNext」はAIベースでより大規模にデータを処理することで正確な予測を提供します。

WeatherNextには「WeatherNext Graph」と「WeatherNext Gen」の2種類のモデルがあり、用途に合わせて使い分けることができます。WeatherNext Graphはより正確で効率的な単一予測を提供するモデルで、効率的かつスピーディーに正確な予測を出すことができます。WeatherNext Genはさまざまな気象シナリオを予測する「アンサンブル予報」に用いるモデルで、より長期の気象イベントに備えたい場合に適しています。



Google Cloudのグローバルソリューション&インダストリー担当ヴァイスプレジデントであるキャリー・サープ氏は「WeatherNextは、小売在庫、物流の混乱、製造生産ニーズ、配電線のメンテナンスなど、天候の影響を受ける業務に対策する企業のアプローチを変えることを目的としています。WeatherNextを提供することで、企業は気象パターンの変化に応じてより正確な情報に基づいた意思決定を行い、インフラストラクチャをより適切に保護し、より強力なビジネス継続性を実現できます」と述べています。

また、WeatherNextを顧客向けに公開する意義について、Google DeepMindのサステナビリティ研究ディレクターであるピート・バタグリア氏は「WeatherNextを企業に公開することで、その応用範囲が研究室から現実世界へと広がります。これにより、企業は異常気象に積極的に備え、地域社会により良いサービスを提供できるようになります」と語りました。

GoogleはWeatherNextについて、異常気象を予測して対策することができる利点のほか、再生可能エネルギーのインフラをどこに建設するかの決定にもつながることを期待しています。バタグリア氏によると、AI天気予報モデルに対するアプローチはまだ発展途上であるため、大気と海洋に関する調査および研究を専門とするアメリカの政府機関であるアメリカ海洋大気庁(NOAA)とGoogleDeepMindが協力して研究を進めていくことが期待されるとのことです。