盗まれた「アルファード」が海底で発見!?なぜ? 窃盗犯“ドラレコ音声”も入手! 信号無視で逃走!? 横浜から340km離れた愛知県常滑市で見つかる!? 何があったのか

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横浜で盗まれたアルファードがなぜ愛知・常滑の海で発見されたのか? ドラレコに残る窃盗犯の会話にも注目!

 2025年3月3日に日本損害保険協会は第26回「自動車盗難事故実態調査」の結果を発表しました。
 
 車名別盗難状況ではトヨタ「ランドクルーザー」が688件で最多。次いでトヨタ「アルファード(289件)」、トヨタ「プリウス(235件)」、レクサス「LX(109件)」、レクサス「RX(89件)」となっています。
 
 このようにトヨタ車が盗まれやすい傾向のなかで、2025年1月下旬に神奈川県横浜市で盗まれたトヨタ「アルファード(30系後期)」が愛知県常滑市の海の中で発見されたという事件が発生しています。
 
 一体どういうことなのでしょうか。

アルファード盗難した後、信号無視をして移動している様子(画像引用:にーしこさんの友人である「池田ベアーズ」)

 2024年12月6日深夜0時過ぎ。横浜市南区別所の駐車場で「にーしこさん(@NSK_armr245)」のアルファード(30系後期)が盗まれました。

【画像】「えっ…!」 これが「コンテナで発見された盗難車」です! 画像で見る(23枚)

 その後、窃盗犯が運転するアルファードはもう1台の仲間のアルファードと共に南区内を移動。午前2時頃、南区六ツ川の人気のない駐車場でドラレコやにーしこさんの私物を捨て、ゴルフクラブなど金目のものはそのまま盗んで行ったことがわかっています。

 にーしこさんのアルファードを盗んでからドラレコが捨てられるまでの道中の様子、車内での会話などが捨てられたSDカードの中に残っていました。

 その映像はにーしこさんの友人である「池田ベアーズ」さんが動画として公開しています。

 動画共有サイトで公開された動画を見ると、深夜で交通量が少ない状況ではあるもののかなりのスピードで走っていることがわかります。

 画面右下に速度が表示されていますが、そこには速度制限30-40kmの標識がある道路を80km/h以上で走って行く様子も記録されていました。

 前を走る仲間の30系アルファード盗難車かどうかは不明ですが、とにかく暴走と言っていいほどのめちゃくちゃな走り方が映されています。

 30km/h道路を70km/h以上で走る速度違反もさることながら、横断歩道や交差点の赤信号はクルマがいなければ基本無視して突破。

 カーナビからは「急ハンドルを検知しました」という警告音声が何度も流れていた他、以下のような窃盗犯の会話も記録されています(カッコ内は筆者の補足)。

「いいね〜オレたちイケてる!」「楽勝だなー」(窃盗がうまくいったことを喜んでいるのでしょう。浮かれています)

「○○さんバカやりやすい。XXは難しいけど。あの人なんかやりにくいっす」(窃盗団で一緒に仕事をしている人物のことを言っているものと思われます)

「ガサ場(おそらく、いったん盗難車を停めてガサ入れするように車内を物色する場所のことだと思われます。)まであと何分。6分?とりあえずついていきやーす」

「やべえ、今サツ(警察)だったのにライトつけてなかった」「なんか工具入ってる。」「金目のものは…なさそう。あ、小銭があった」

 このような会話が記録されています。

 アルファードはやがて犯人たちの会話にある「ガサ場」と言われる場所(南区六ッ川団地内駐車場)に到着します。

 ここでにーしこさんのアルファードから車載物やドラレコが捨てられました。

 そして、犯人たちが盗んで行ったゴルフバッグが仲間のアルファードに移されたところで、ドラレコの映像も終わっています。

盗難アルファード。 約2か月に愛知県常滑市で海に沈んだ状態で発見された!

 にーしこさんが盗難に気づいたのは警察からの連絡でした。

 その日の朝、前述の「ガサ場」で名刺が散乱し、私物やドラレコなどが捨てられていることに気づいた警察が「あなたの名刺がバラまかれていました。もしかしてクルマを盗まれていませんか?」という連絡をしたのです。

 慌てて駐車場を見たら、アルファードがない。そこで初めて盗難に気づいたことになります。

 すぐに被害届をだし、周辺のコインパーキングなども探しましたが、アルファードは見つからず。

 にーしこさんは犯人像に関して「地元の人間ではないのは確かですね。僕が犯人だったらあのルートを通るのはリスクが高い。防犯カメラの設置も多いですから、裏道を通ると思います。喋り方からしても関東の人間ではないでしょうね」と分析しています。

 状況が急展開したのは盗難から2か月近く経過した1月の下旬でした。

 にーしこさんのアルファードが盗まれた横浜市から約300km以上離れた愛知県常滑市にある大野海岸の「海の中」から発見されたという連絡が常滑警察署からありました。

 発見されたのは港から約10m離れた場所で、潮が引いて水位が下がったタイミングで漁師さんがアルファードの存在に気づいたとのことです。

 なお、アルファードは当然、エンジンはかからない状態で現在も常滑警察署に保管されているそうです。

 ではなぜ横浜で盗まれたアルファード愛知県、しかも常滑市の海の中から発見されたのでしょうか。

窃盗犯の1人と見られる人物。この後にドラレコからSDカードが抜かれている(画像引用:にーしこさんの友人である「池田ベアーズ」)

 愛知県といえば2024年の盗難ワースト1位で800台以上が盗まれておりそのほとんどがアルファードやランドクルーザーシリーズです。

 被害者のにーしこさんが「地元の人間ではない」という通り、おそらくは愛知県内を拠点とする「初心者」窃盗団である可能性が高いと考えられます。

 横浜市で「出稼ぎ窃盗」を行い、盗めそうなアルファードを盗んで愛知県まで持って来れば何とかなる(=換金できる)と思ったのかもしれませんが、結局引き取り手が見つからず、処分に困って海に沈めた可能性があります。

 国産高級車の窃盗に慣れた窃盗団であれば、受け入れヤードから密輸までのルートが確立されているのですが不慣れな窃盗団は見よう見まねで盗んだものの、どこのヤードにも買い取ってもらえず、処分に困って海に沈めたと考えられます。

 また、愛知県内のヤードはかなり管理が厳しく、ほとんどのヤードでは「持ち込みでのクルマは買取しない」としています。

 常滑警察署によると、にーしこさんのアルファードが発見された漁港では以前にも同じように海中からクルマが発見されたことがあるとのことでした。

 アルファードは、現行型(40系)が発売されて間もなく2年になりますが、相変わらず30系アルファードは数多く盗まれています。

 防盗効果が高い社外セキュリティをつけ、同じく強固で切断されたり破壊されたりしないハンドルロックやタイヤロックで愛車を守ることをお勧めします。