再脚光「医療ツーリズム」、インバウンド追い風に活躍舞台に立つ銘柄群 <株探トップ特集>
―医療滞在ビザ発給数コロナ禍前上回る、国の後押しもあり成長余力は大―
日本を訪れる外国人の数がコロナ禍前の水準を上回るようになった。日本政府観光局が先月17日発表した訪日外客統計によると、2023年12月の訪日外客数は推計で273万4000人となり、コロナ禍前の19年同月比で8.2%増となった。10月に初めて19年同月比で100%を超えて以降、再び拡大基調を鮮明にしている。
日本を訪れる外国人客の目的は、日本の歴史や文化、日本食などさまざまで、訪日外客数の回復に伴いインバウンド需要も復調しているが、 医療ツーリズムの分野は出遅れているように見える。他のインバウンド分野と同様に今後、回復から再成長が期待できるだけに、関連銘柄には要注目だろう。
●日本の医療を受けたいニーズは根強い
医療ツーリズムとは、医療観光とも呼ばれ、外国に行って治療や医療サービスを受けること。かつては新興国の富裕層が先進国の最新医療を受けに行くというイメージだったが、近年では安い医療や早い医療、時間の節約などを求めて、先進国の国民が他国に行くケースも増えており、その目的も治療や人間ドック、美容形成などさまざまとなっている。
日本は男女ともに平均寿命が長く、高度な医療に多くの人が平等にアクセスできるうえ、世界と比較してもCT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)の装置保有台数が多く医療資源も豊富にある。経済成長はしているが、自国の医療レベルはまだ十分ではない新興国の人々や、観光と合わせて高度な健康診断や治療を受けたいという先進国の人々による日本で医療サービスを受けたいというニーズは十分にあり、医療ツーリズムの需要は今後増えることが期待されている。
●医療滞在ビザはコロナ禍前の水準を上回る
日本政府も医療ツーリズムの受け入れに前向きで、11年には滞在期間が最大6カ月までとなる医療滞在ビザを導入している。外務省が発表しているビザ(査証)発給統計によると、医療滞在ビザの発給数は導入翌年の12年には188件だったが、コロナ禍前の19年には1653件に拡大した。その後、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う渡航制限などもあって、20年には622人に落ち込んだが、22年には1804人とコロナ禍前の水準を上回っている。
もちろん、短期滞在ビザで医療ツーリズムを利用する人や、ビザが免除される国やビザが発給されても入国しない場合があるため、ビザ発給数イコール実際の医療ツーリズム利用者数ではないものの、コロナ禍を経て増加しているのは見て取れる。
●日本はアジアで出遅れも伸びしろは大
もっとも、アジアに目を向ければ2000年代に入って以降、タイやシンガポール、マレーシア、韓国、インドなどがこぞって国策として医療ツーリズムへの取り組みを強めている。例えばタイでは国家戦略の一つとして医療ツーリズムを推進しており、国内の医療機関で治療する外国人とその付添人に対し、ビザなしで90日まで滞在できるようにしている。その結果、コロナ禍前は年間約300万人以上が医療ツーリズムでタイを訪れるまでにもなった。
そうした状況に比べると日本は出遅れが目立つものの、前述のような医療インフラの充実を考慮すると、伸びしろは大きい。政府も厚生労働省と観光庁が連携して19年から「地域の医療の充実を通した外国人受入れ推進のための体制構築支援事業」を実施するなどして、医療ツーリズムの受け入れ促進を図っているところであり、関連企業にとってのビジネスチャンスは膨らみそうだ。
