両岸(台湾と中国)の学生を前にスピーチする馬英九(ばえいきゅう)前総統(中央左)

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(台北中央社)中国を訪問している馬英九(ばえいきゅう)前総統は2日、台湾と中国は「いずれも中華民国であり、中国だ」と発言した。これに対し、台湾で対中政策を担当する大陸委員会は同日、馬氏が唱える「一つの中国」の主張は完全に台湾の人々の認知に反しているとし、「深い遺憾」を表明した。

馬氏は台湾の大学生らと共に湖南省長沙市の湖南大学を訪れ、現地の学生と交流した。その際のスピーチで、「われわれの国家」が憲法を改正したことで、「われわれの国家は2つに分かれた。一つは台湾地区、もう一つは大陸地区だ。いずれもわれわれ中華民国であり、いずれも中国だ」と述べた。台湾の「台湾地区・大陸地区人民関係条例」の第2条で「台湾地区」を「台湾、澎湖、金門、馬祖および政府の統治が及ぶその他の地域」、「大陸地区」を「台湾地区以外の中華民国の領土」と定義していることにも言及し、台湾、大陸問わず、憲法上ではいずれも一つの中国だと主張した。

大陸委は報道資料で、馬氏の発言は台湾を矮小(わいしょう)化しているだけでなく、台湾が一度たりとも中華人民共和国に属したことがないという事実に著しく背き、国家主権の尊厳を傷付けていると批判。「台湾の侵略、併呑を企てる中国共産党の『一つの中国』に呼応する主張を馬前総統が唱えていることは、台湾の人々の認知に完全に反している」として遺憾を表明した。

また「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属しない」ことが台湾海峡の現状と与野党の共通認識であり、台湾の2300万人が堅持していることだと指摘。総統経験者が大陸を訪れる際には、国家主権の尊厳や台湾の最大の利益を守り、社会の期待に合致すべきだと呼び掛けた。

(李雅雯/編集:名切千絵)