2014年に値上げを発表した吉野家HDの河村泰貴社長(写真・共同通信)

《田舎から出てきた右も左もわからない若い女の子を無垢、生娘のうちに牛丼中毒にする》

 早稲田大学の社会人向け講座で「吉野家」の常務取締役(当時)が発した言葉だ。これを「生娘シャブ漬け戦略」と紹介したことが明らかになると、ネット上は大炎上。常務は、4月19日に解任された。

 しかし、その直後、採用説明会に参加予約した大学生を勝手に「外国籍」と判断し、参加を拒否したことが判明。再び炎上するなか、吉野家は5月6日に騒動を事実と認め、謝罪した。

 2022年に入り、度重なる不祥事で世間の批判を浴びてきた吉野家。5月26日、親会社「吉野家ホールディングス(吉野家HD)」が株主総会を開いた。吉野家HDは東証プライム上場企業だ。株価にも影響を与えた大問題について、株主に対する説明責任があることから、総会は注目を集めた。

 会場参加の約200人とオンライン参加の株主を前に、吉野家HDの河村泰貴社長(53)は「ご迷惑、ご心配をおかけしたこと、心よりお詫びします」と謝罪

 その後も株主から炎上騒動をめぐって質問が多数飛ぶ。最初の質問者からは「企業の社会的責任の自覚や顧客への敬意が、まったく感じられない」と厳しい言葉が投げかけられたという。

 一連の騒動について、吉野家HDが公の場で謝罪するのはこの株主総会が初めて。最初の騒動から1カ月以上経過したあとの対応に、SNS上では批判の声があがっている。

《社長が謝罪するタイミング遅すぎない?まぁあの事件以降は吉野家行ってないけど》

謝罪する相手は株主だけですか?そうじゃないでしょ!もっと謝らなきゃいけない人沢山いるのでは?》

《公の場って言っても別に自分から記者会見開いたわけでもなし株主に言い訳せざるを得ないタイミングが来たからそうしたってだけでしょ》

 総会で、河村社長は「申し訳ない」と繰り返し陳謝したというが、経済ジャーナリストはこう指摘する。

「社長は謝罪を繰り返しましたが、それ以上に株主が気になったのは、『なぜ立て続けに不祥事が続いているのか?』ということでしょう。

 特に “シャブ漬け発言” では、常務を即解任し、トカゲの尻尾切りのような形になってしまった。こうした対応が正しかったのかなど、きちんと精査して説明することが今後も必要になります」

 社会にも株主にも、一度謝れば終わる問題ではない。