飛び出し、回転、透ける--スマホの変わり種インカメラを見比べる
スマホの大画面化がトレンドとなる中で、メーカー各社の工夫が見えるのがインカメラの扱い。前面のほとんどを画面表示に使いつつ、どこにインカメラを配置するのかは各社の工夫の余地があります。
画面上部に「ノッチ」としてディスプレイの抜け部分を作ってインカメラを配置する手法は、iPhone X以来お馴染みになりました。また、インカメラのサイズを小さくして、切り抜いた穴の部分に配置する「パンチホール型」も多くのスマホで採用されています。

一方、ノッチやパンチホール以上に突き詰め、インカメラが邪魔しない“真の全画面”を模索したスマホもあります。この記事ではその代表的な3機種を見比べてみました。
iPhone 12 miniの「ノッチ」■スライドカメラのOPPO Find X
「カメラが邪魔なら隠してしまえばいいじゃない」という発想がスライドカメラです(ポップアップカメラとも呼ばれます)。2018年発売のOPPO Find Xは、背面カメラとインカメラを端末内部に格納し、使う時に自動で立ち上がる機構を備えています。
カメラ起動時にウイーンとせり上がるFind Xの電動スライドカメラ
OPPO Find X。カメラ格納式で背面はすっきりした見た目カメラアプリを立ち上げたときや、顔認証をするときにはアプリの起動から1秒ほどでカメラユニットがニュッとせり出します。
この機構の良いところは、インカメラを豪華にできること。Find Xは顔の凹凸をスキャンするタイプの高精度な顔認証システムを備えています。ドットプロジェクターで顔の凹凸を検出する、iPhoneでいうFaceIDのような仕組みです。
背面はデュアルカメラ搭載。スライド機構の制約上、背面カメラに大型センサーを搭載できないのは弱みか
Find Xのスライド機構はドットプロジェクターも内蔵。iPhoneのFaceIDのような3D顔認証にも対応する
OPPO Find Xのインカメラで撮影(逆光下)。2500万画素と高解像度で、露出補正も良好このスライド式のカメラ機構は中国メーカーの中で2019年頃にちょっとしたブームとなり、HUAWEI Honor 9Xやvivo NEX 3、OnePlus 7T Proといったモデルが登場しています。OPPOのサブブランドRenoから発売されたReno 10x Zoomでは、斜めにスライドするインカメラ機構が搭載されていました。
斜めスライドのインカメラユニットを備えたReno 10x Zoom筆者はOPPO Find Xを長らくメイン端末の1つとして使っていましたが、スライドカメラの動作には好印象を持っています。ただし、上部に重心があるため、縦持ちの際の腕にかかる負担は大きくなりがちで、その点だけは気になっていました(とはいえ、Find Xの重さは約186gと、2020年発売の5Gスマホと比べると軽い部類に入ってしまいます)。
Find Xの発売後、インカメラのデザインはディスプレイ内に小さな穴を開ける「パンチホール型」へトレンドが移りました。OPPOも後継機Find X2 Proではポップアップカメラをやめ、大画面デザインにパンチホールカメラと画面内指紋センサーという組み合わせを採用しています。
パンチホール式のインカメラを採用したFind X2 Pro■フリップカメラのZenFone 7 Pro
ASUSのフラッグシップZenFone 7/7 Proは、フリップ式カメラを搭載しています。ZenFone 6に続く2世代目の採用です。
フリップカメラは、外側のカメラが回転してインカメラにもなるという機構です。パンチホールを無くせる上に、ゴージャスなメインカメラでセルフィー(自分撮り)もできてしまいます。
実際にZenFone 7 Proはそれを売りにしており、カメラ評価団体のDxO Markのランキングで「世界一のインカメラ」の座を獲得したことをアピールしています。
フリップカメラの回転は電動式。任意の位置で固定可能
Zenfone 7/7 Pro。フリップカメラは背面に格納されているため、稼動せずに背面カメラとして使えるカメラ機構は電動式で、0度から180度まで好きな角度で止められます。たとえばローアングルで撮りたいときに、姿勢を変えずにカメラを動かして撮るといった使い方も可能。好みの角度を保存しておいて、カメラアプリからボタンで呼び出せます。
インカメラの画質の良好さは、YouTubeなどで配信する人には特に魅力的なことでしょう。ZenFone 7では性能の高さを生かし、ゲーム配信時にプレイヤーの顔をワイプ表示で入れる機能も用意されています。

ZenFone 7のメインカメラで撮影。HDRの作用で逆光下でも細部まで描写されている
Zenfone 7 Proの超広角レンズで撮影した写真。インカメラでも画角切り替えできるフリップカメラが抱える課題は、ポップアップカメラと共通で、とにかく重いこと。ZenFone 7 Proの場合、5G対応で6.67インチ大画面に5000mAhの大容量バッテリーという妥協のないスペックなゆえに、約235gという重さになっています。このスマホを選ぶなら、重さに関しては妥協が必要かもしれません。
ちなみに、フリップカメラ自体はZenFone 6以前からありました。たとえば、スライドカメラのFind Xを作ったOPPOも、2014年に発表したOPPO N1で、手動式の回転カメラ機構を採用しました。また、サムスンのGalaxy A80はスライド&回転というカラクリのようなカメラ機構を備えています。
■画面下インカメラのRakuten BIG
楽天モバイルが5Gサービス開始にあわせて発売したオリジナルモデル「Rakuten BIG」は、透けるディスプレイという新技術が使われています。
インカメラを有機ELディスプレイの下に内蔵し、その部分のディスプレイは透明にしておくという仕組み。普段はインカメラの存在を気にせず狭額縁ディスプレイを堪能しつつ、必要な時には画面が透けてインカメラが現れるというわけです。
Rakuten BIG。防水対応のためか、ベースモデルと思われる「Axon 20」よりもさらに一回り大きめポップアップカメラやフリップカメラと比べると、重量を増やさず全画面を実現できるため、有望な技術にも思えます。また、カメラ部分の表示は若干輝度が異なり、よく観察するとカメラの場所がわかります。
光の当たり具合によってディスプレイ下のインカメラユニットが判別できるただし、画質については発展途上なのか、インカメラの写りは白っぽく少し古めかしい見栄えになります。記録用としては十分な画質ですが、写真としての出来を競う上では同じ土俵で評価するのは厳しいでしょう。
Rakuten BIGのディスプレイ下インカメラで撮影。お風呂上がりのメガネのようにフワッとしたモヤがかかるちなみにRakuten BIGは楽天オリジナルのスマートフォンですが、製造元は中国ZTEで、ベースモデルが存在します。ZTEは8月に「世界初の画面下カメラ内蔵スマホ」としてAxon 20というモデルを中国で発表しています。Rakuten BIGの仕様は、このAxon 20と多くの点で共通しており、Axon 20がベースモデルと判断して間違いないでしょう。
画面下カメラ搭載のスマホはZTEの例のほか、OPPOやXiaomiもプロトタイプとして公表しています。インカメラ画質などの現在の課題が改善されれば、新たなトレンドになる可能性もあります。
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