秋葉原駅前のアドアーズも閉店へ コロナ禍の現状を地元商店街に聞いた
人気アニメの広告がビルの外壁に掲げられるなど秋葉原駅前で親しまれたアミューズメント施設のアドアーズ秋葉原店(東京都千代田区)が、近く閉店する予定になった。
駅前周辺の一等地では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあってか、大型店の閉店も相次いでおり、ツイッター上などで寂しがる声が出ている。
セガやツクモといった大型店が8月末で閉店
「当店は諸般の事情により、下記日時をもちまして閉店致します」
アドアーズ秋葉原店には、こんな貼り紙が出されたと、秋葉原の情報発信をしているツルミロボ(@kaztsu)さんが2020年10月27日にツイッターに写真を投稿した。28日現在、5000件ほどもリツイートされ、話題になっている。
「閉店のお知らせ」と題した貼り紙などによると、3〜10階のカラオケ施設は、6階以上のひとりカラオケフロアが20日に閉店し、それ以外も31日に閉店する。また、UFOキャッチャーなどプライズゲーム専門フロアの1、2階も11月8日に閉店する。ただ、隣接するプライズゲーム専門の2号店は営業を続ける予定だ。
アドアーズは、アミューズメント施設「楽市楽座」などを運営するワイドレジャー(福岡県)傘下の企業で、カラオケやゲームセンターを運営している。
秋葉原駅前と言えば、かつては電気街として世界的に知られ、その後は、アニメ・ゲーム店が多数出店する「オタクの聖地」とも呼ばれた。
ところが、コロナ禍に見舞われてから、セガ秋葉原2号館やヤマダ電機傘下のツクモ秋葉原駅前店といった大型店舗が8月末に閉店し、老舗の飲食店やメイド喫茶も店を畳むなど、状況が変わってきている。
アドアーズの担当者は10月28日、J-CASTニュースの取材にこう話した。
「外国人がほぼゼロになったが、日本人の客足は戻っている」
「閉店する理由の詳細は申し上げられませんが、インバウンド需要の減少などコロナによる影響も少なからずあります」
閉店について、ツイッター上などでは、驚く声が相次ぎ、「なくならないと思ってたからショック...」「ヒトカラ民の居場所が1つ消えた」「アキバのゲーセン軒並み無くなっていくなぁ」などと惜しむ声が寄せられている。
秋葉原駅前周辺については、「少し前とすっかり景色が変わってしまいました」「日に日に寂しい町になっている」「コロナの終息気配もありませんし今後が心配です」と懸念の声も続々書き込まれていた。
秋葉原商店街振興組合の事務局長は10月27日、取材にこう話した。
「閉店の理由を詳しく聞いていませんが、想定されるのは、外国人旅行客が500万人近く訪れていたのが、コロナの影響でほとんど入国できないことです。こうした旅行客対象の店は、売り上げがゼロに近くなっています。しかし、その中で頑張ってやっている店も数多くあって、日本人の客足は戻ってきました。歩行者天国などの様子を見ると、以前の半分は外国人旅行客だったとして、半分は戻って来ているのではないでしょうか」
政府のGO TOトラベルキャンペーンで配られる地域共通クーポンを取り扱う店も多いといい、日本各地から旅行に来て、クーポンを使う客も目立ってきたという。今後は、GO TO商店街についても、資料を元に説明を受けるなどして、何かできることがあるか検討しているとしている。
「スペースにゆとりのある小売店が少ないので、密になりやすい悩みがあります。どうやって対策をするか、各店とも工夫していく必要があるようです。今後どう商店街が変わるのかは分かりませんが、お客様のニーズに合ったサービスを提供できるかにかかっていると思っています」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)