国内の公募投信(ETF除く)で解約率を調べると、全体の解約率に対して「予想分配金提示型」の解約率は低いという結果が出た。「毎月分配が得られるために、長期で投信を保有する」という投資家が一定程度いることに注目したい。(グラフは「予想分配金提示型」と「資産成長型」の解約率の推移)

写真拡大

 「毎月分配型」商品は、せっかくの資産価値を分配金で払い出してしまうために資産形成には非効率だ――。2017年〜2018年にかけて、このような批判の声が強まったため、「毎月分配型」の投信からは、大幅な資金流出が続いた。ところが、2019年以降、この流れが変化し、2019年5月から資金流入に転じる月も出始めた。その背景には、「毎月分配型」に対して投資家の間に一定の需要があること、また、毎月分配型にも「予想分配金提示型」のようにルールに基づいた分配を行う制度が定着し始めた効果もあるだろう。実際に、国内の公募投信(ETF除く)で解約率を調べると、全体の解約率に対して「予想分配金提示型」の解約率は低いという結果が出た。「毎月分配が得られるために、長期で投信を保有する」という投資家が一定程度いることに注目したい。

 毎月分配型投信への批判が高かった2017年6月から2019年1月までは、毎月決算型のファンドから一方的に資金流出が続き、決算回数が年1回〜6回のファンド合計には資金流入が続くという状況が続いた。実に20カ月連続で、毎月分配型ファンドから資金が流出し続けた。しかもこの間に、月間2000億円以上の資金流出が13回、ピークは3586億円(2017年11月)に達した。流出超過額の累計は4兆4518億円にもなる。これほど徹底して嫌われると、「毎月分配型」というだけで、「何か悪いもの」「購入してはいけないもの」であるような気持ちにさせられよう。

 「毎月分配型」が強い批判の対象になったのは、毎月安定的な分配を実施することが重視されるあまり、ファンドの運用収益を超えた分配が常態化したことによる。投資する株式の配当金や債券の利息といったインカムゲインと、1カ月間の投資証券の価格上昇による利益(キャピタルゲイン)の合計額をその月の分配金とする分には問題がないが、その投資収益を超えて分配すると投資元本を一部切り崩して分配金を支払うことが起こってしまう。いわゆる「タコ足分配」で、投資した資金をどんどん取り崩すことになり、資産形成には役に立たない商品になってしまう。この結果、投信の基準価額が下落し、今では、2000円台や1000円台になってしまったファンドもある。

 このような毎月分配型への批判に応えて登場してきたのが、「予想分配金提示型」という新しいタイプの毎月分配型ファンドだ。このタイプのファンドは、毎月の分配金をファンドのインカムゲインやキャピタルゲインから分配するように、基準価額の水準に基づいて分配金額を予め決めてある。例えば、基準価額が1万1000円未満の場合は分配なし、1万1000円から1万2000円では200円、1万2000円から1万3000円では300円などと決まっている。分配ルールが明確で分かりやすい。このことによって、投資資産の収益部分を利食いして、長期で資産を保有するという新しい投資のスタイルができてきた。

 この「予想分配金提示型」のファンドは、その他のファンドと比べて、解約率が低いという特徴がある。2017年11月から2020年8月まで、「予想分配金提示型」のファンドと「資産成長型」ファンドの解約率(当月解約額÷前月末純資産額)を調べると、「予想分配金提示型」の解約率が傾向的に低いということがわかる。このような傾向が出るのは、「予想分配金提示型」は、投資資産の投資収益部分だけを一部分利益確定して手元に戻してくれる効果があるためだろう。長期で値上がり期待が高い投資資産に投資するファンドでは、「将来楽しみな資産を保有しつつ、値上がりした分だけは、その都度利益確定して長期で投資を楽しむ」という使い方がされているようだ。