左上から時計回りに木下優樹菜、SHIHO、神野美伽、美奈子

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 やらかし=非常識な言動や行動を発信してしまう女。すぐに謝罪せずに自己保身の言い訳などをすることで人々の怒りを増幅させてしまう。基本的に自分を被害者の立場に置き、とにかく謝らないのが特徴。近ごろ、世間を賑わせている“やらかし芸能人”たちのトホホな事件簿を振り返る。

【写真】木下優樹菜がタピオカ店オーナーに送りつけたDMの全貌はコチラ!

普段からマウンティングをしていたのが仇に

 SNSでのやらかしは毎日のようにネットニュースになり、更新されていく。中でも木下優樹菜の“タピオカ騒動”は近年まれにみる大火事となって今もなお燃え続けている(10月30日現在)。

 きっかけは7月に開店した、小岩のタピオカ店だった。木下のインスタグラムの投稿を一部抜粋して振り返る。

《ゆきなのお姉ちゃんさやかがオープンしました》と宣伝。木下もお店を訪れるなどして、姉の経営するお店と印象づけた。しかし、10月6日、状況は一転。

《もうお店に行かなくて大丈夫です》

 こう投稿するとともに、姉との共同経営者と印象づけていたオーナーへの不満をぶちまけた。これを受けて木下のファンはタピオカ店を攻撃。同日中に店の事情を知る匿名のアカウントがツイッター上に木下がタピオカ店オーナーに送りつけた、恫喝めいたインスタグラムのDMを公開した(写真ページに掲載)。

 そもそも姉は共同経営者ではなく、オーナーのママ友でただのお手伝いのアルバイトだったことも明るみになり一気に風向きは逆転。9日、木下は謝罪文を発表したが、12万件を超える批判コメントが殺到。CMスポンサーは木下をホームページから削除、レギュラー番組も降板せざるをえない状況だ。

 ネット炎上に詳しいジャーナリストの渋井哲也さんは、

「木下さんはこれまでも多くのアンチを抱えていました。ヤンキーで過去のいじめっ子だった話を武勇伝のように語る一方で、娘をインターナショナルスクールに通わせる、モデルにするなど振る舞いが分不相応だと批判されていました。

 数時間並ばないと写真を撮れない人気戦隊アイドルと娘が楽屋裏で撮った写真をインスタに投稿し炎上したこともありました。そのように普段からマウンティング行為をしているので消えてほしい、見たくない、といううっぷんが爆発したのでしょう」

 木下が芸能界引退を迫られる一方で、9月に芸能界を引退した美奈子も炎上している。

「10月24日、ブログに《明日重大発表をします》と予告。また離婚か、などと騒がれましたが蓋を開けてみれば家族でユーチューバーデビューする、というどうでもいい報告でした。彼女の場合は炎上も話題になるためのものという気もしますが」(芸能記者)

 しかし、木下ほどの騒ぎにはならずひっそりと叩かれて幕を閉じた。

間違った人を叩いて神様的ポジションに

 木下や美奈子のように不快感を持たれている人だけが炎上するわけではない。

 演歌歌手の神野美伽は、ブログに投稿した非常識な振る舞いが批判され炎上。ことの発端は8月、《酷いよー!》というタイトルのエントリー。

 内容は、新幹線に乗車する前に購入した食べ物にフォークがついていなかったため、《車掌室をノックして恐る恐る車内販売のカートにはお箸少し乗せてたりしますか?って聞いてみたら、若い女性の車掌に『箸もフォークもありません!』と言いながら扉を閉められた(中略)ショックでした悲しくなりました》とまるで被害者のように投稿。すぐに、コメント欄は《非常識!》と批判が相次いだ。

 これに対し、神野は謝罪をブログで発表するも自己弁護が入っていたことで逆効果となった。

 前出の渋井さんは、

「炎上が続く人の多くは気持ちよく謝らないんです。アンチに感情的になったり自己弁護が続きます。雨上がり決死隊の宮迫さんは闇営業騒動のときにツイッターで“金銭をもらってなかったとはいえ”という一文を入れたことで、さらに怒りを買いました」

 謝るときは潔くがいちばん! ということだが、友人が先に謝罪するという妙なケースを起こしたのは、モデルのSHIHO。昨年放送された『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)にゲスト出演した際に叱らない子育て論を披露。

「ママ友の東尾理子と旅行中、新幹線で娘が他人の座席に行き、その人のケータイ電話で勝手に遊びだしたというエピソードを披露したんです。その際にケータイを勝手にいじられた乗客に謝罪したのは東尾だというおまけつき。このエピソードを面白い話として話すことにもあきれましたが、すぐに視聴者からブーイングが殺到し、後日“私の子育てが間違っていた”と謝罪していました」(芸能記者)

 やらかしてしまう人を叩く人の心理として、昭和大学医学部精神医学講座教授の岩波明さんは、

「間違ったことをしている人に対して正しい意見をしているので、自分が神様的ポジションにいる気がしてしまう。裁判官として、神としての自分を満たしてくれる。賛同者も多いわけですから気持ちいいですよね。こういう人たちは頭もいいし能力もあるけれど、社会ではいまいち活躍できていない。一方で間違った行動をしている人たちがいい立場にいる、これは許せない私刑だ! となるわけです」

 前出の渋井さんも、

「ネット社会にはやらかしてしまった人を見つける部隊もいます。神野さんのブログ読者はそう多くないと思うのですが、そのブログを共有し、みんなに叩かせるという人たちもいるのです」

 自業自得といえなくもないけれど……。

《識者PROFILE》
渋井哲也さん ◎ジャーナリスト。長野日報を経てフリー。東日本大震災以後、被災地で継続して取材を重ねている。『ルポ 平成ネット犯罪』(筑摩書房)ほか著書多数

岩波明さん ◎昭和大学附属烏山病院院長1959年、神奈川県生まれ。昭和大学医学部精神医学講座教授'85年、東京大学医学部卒、東大病院精神科、東京都立松沢病院、埼玉医大精神科などを経て2012年より現職。'15年より昭和大学附属烏山病院長を併任。主な著書に『他人を非難してばかりいる人たち バッシング・いじめ・ネット私刑』などがある