1人の港区男子と繋がれば、100人の港区男子と繋がる。

人間は、同じステータスの者同士で一緒にいるのが一番気遣わずにいられるのだから、港区男子が港区男子と交流を深めるのは当然だ。

友人同士の何気ない会話から、ビジネスに発展することも少なくないと聞く。

では彼らは実際の所、どんな交友関係を持っているのだろうか?

今回は、その華麗なる交友関係の実態に迫ってみよう。

前回は飛行機通勤を楽しむ港区男子を紹介した。さて、今回は?




【今週の港区男子】
名前:高岳史典(たかおか ふみのり)さん
出身地:大阪府
職業:『ウルトラチョップ プリュ』オーナー
住居:渋谷区広尾
交際:独身。バツ1


脱サラ社長が始めたのは、未経験だった飲食業


港区男子に共通していることは色々あるが、成功するまでの道のりが平坦な一本道であることはごく稀。

東京のど真ん中で生き抜く彼らは皆、度々立ちふさがる大きな壁を乗り越えてきたからこそ今がある。

高岳さんのこれまでのキャリアも実に波乱万丈。

京都大学を卒業後、由緒正しき日本の大手メガバンクに就職。ところが、本人いわく「お札も満足に数えられないうちに辞めて」からは、外資系のマーケティング会社やコンサルファームなどを渡り歩き、さらにあのライブドアで激動の5年を過ごす。

その後、「ようやく外資系コンサル企業の雇われ社長で上がりかと思ったら、向いてないって気付いてしまってまた辞めて(笑)」。

それで何を始めたのかといえば、「縁もゆかりもなかった飲食業」というから驚く。

しかもその店がニュージーランド産の極上ラムチョップを提供する店として、港区住民なら知る人ぞ知る『ウルトラチョップ プリュ』なのだ。

2013年に1号店として中目黒にオープンさせて以来、現在は麻布十番、神楽坂、恵比寿、京都と4店舗を構えるまでに成功を収めているが、人生最大のピンチは割と最近、2014年に訪れたという。


京都に店を構えるも半年後には大赤字。相談したのはホリエモン


リサーチせずに勢いで京都店をオープンするも、失敗


高岳さんに訪れたピンチは、夢だった京都店をオープンさせた半年後にやってきた。

「講演の仕事で京都を訪れた際、たまたま先斗町を歩いたんですね。京都だけが持つあの歴史を感じる独特の街並みって、すごく素敵じゃないですか。先斗町は特に。いつかこういうところで店を出せたらいいな〜なんて、妄想しながら歩いていたら、“テナント募集”の文字が目に飛び込んできたんです!」



しっとりとした大人のムードが漂う麻布十番店


それも路面店で人通りの多い人気エリア。一目で気に入った高岳さんは、そこに書かれていた電話番号に即座に電話をかけ、申し込むことを決める。

「実は、恵比寿店を先に出店する予定で店舗探しをしていた真っ最中だったんですけど、これは運命だ!って、完全にロックオンされてしまって(笑)。スタッフは全員、驚いていました」

しかし、借りられることが決まってから確認すると、家賃が高い割には使いづらい間取りなうえ、老朽化もあるなど、問題が発覚する。それでも先斗町に店を出すという夢を叶えるため、『ウルトラチョップ 京都先斗町店』をなんとかオープンさせた。

「絶対、成功するって信じて疑ってなかったです。人通りの少ない地下の麻布十番店でも成功できたんだから、人通りも多い路面店なんて、余裕だとすら思ってました」

ところが……。
オープンして半年。店は見たこともない大赤字を抱えていた。

「考えてみれば、先斗町は一見さんお断りの店が多く、昔からの常連やお茶屋さんへの仕出しで十分、商売が成り立っているエリア。さらに京都人にとって、肉はイコール牛のことで、次が鴨。豚や鶏ですら、鴨に及ばないというのに、我々はラム(笑)。何を考えているんだ、って話だったわけです」


ピンチを救ってくれた恩人との出会いは、堀江貴文氏から

時計はフランク・ミュラーらしからぬデザインが気に入って150万円で購入


ちなみに高岳さんは20代のころ、有名コスメブランドの戦略を担当するなど、マーケティングのプロとして鳴らしていた。

「本当にお恥ずかしいです。マーケティングのプロなのに、夢に目がくらんで、基本的なことすら何ひとつ、リサーチしなかったんですから(苦笑)」

時すでに遅し……かと思われたが、友人でもある堀江貴文氏に相談したところ、ある人物を紹介された。

ANAの機内誌『翼の王国』で連載されている人気コラムをまとめた『京都の流儀』の著者であり、生粋の京都人、徳力龍之介氏だった。彼に言われたひと言ひと言が、高岳さんの心に突き刺さる。

「まずね、“高岳くんの店って、200年くらい生きちゃうの?”って聞かれたんです。それで、“いや〜、5年も生きられれば、御の字ですよ”なんて答えたら、“200年やろうと思ってなかったら、京都ではアカン。ここではすべて歴史やねん。東京で成功しているから、ハイ、京都でも成功にはならんのよ”と」

その言葉を聞き、高岳さんの頭には“やはり、店は畳むしかないのか…”という考えがよぎる。だが、徳力氏は続けてこう言ったという。

「“でも、もう出してもうたんやろ。だったら、目の前にいっぱい歩いてる客がおるやないか。彼ら相手に商売したらええのや”と。そこでハッとしたんです。お客さんは京都人だけじゃない、この町を訪れる人が入りやすい店にすればいいんだと」



愛車で店舗にワインを運ぶこともあるそう


徳力氏のアドバイスを聞いてすぐ、看板やメニューに英語を表記し、“観光客に優しい店”へと舵を切った。すると連日、外国人たちで賑わうように。

「先斗町は観光客こそ多いですが、石畳が壊れたりゴミが増えるなどのデメリットも多く、町の人たちが諸手を挙げてお客さんに来てほしいと思っているわけではないんです。外からのお客さんに優しい店が少ないからこそ、『ウルトラチョップ』はその逆をいくことで、ようやく軌道に乗れたんです」

あの日、堀江貴文氏から徳力龍之介氏を紹介されていなかったら……。高岳さんの人生は変わっていたかもしれない。

だが堀江氏、徳力氏だけではない。

高岳さんの交友関係の広さは目を見張るものがある。もちろん、それは彼が歩んできたキャリアと無関係ではない。


他業種を渡り歩いたからこそ、広がる交友録とは?


人と人が出会う場にいることが好き


「銀行時代の友人、マーケティング会社で働いていたときの友人、さらにライブドア時代のIT系、そして飲食関係と大きく4つのグループが僕を囲んでいる感じでしょうか。

あとは自分の店がちょっとしたサロンというか溜まり場というか、人と人が出会うハブになっているかもしれませんね。いろんなところで出会った人たちが、みなさん遊びに来てくださるので、テーブルの枠を超えてワイワイ仲良くなる光景も日常茶飯事です」



ポルシェ数台を経て、現在の愛車はジャガーF-Space


新たに挑戦するビジネスも、今までの交友関係で培った人との出会いがきっかけだという。

「ITと飲食を融合させることを目的とした会社です。自分が実際に『ウルトラチョップ』をスタートさせて、いろんなITツールがあるけれど、本当の意味で飲食店のためになっているものって少ないと感じていて。ビジネスのモチベーションはお金じゃないです。やっぱり誰かのために役立つことがしたいですから」

と言いつつも、そこは自称「時代遅れのバブル世代」。プライベートでは頻繁に食事会を楽しんでいるとか。


西麻布をこよなく愛する“港区おじさん”の顔


「20代からアラフォーまで、いろんな女性と食事会してます。最近は35歳前後の女性から“独身でもバツイチでもいいから、紹介して”と頼まれるケースが多くて。

僕自身に結婚願望はないですけど、お付き合いした相手が望むなら、結婚はしてもいいかな」

ちなみに彼女は?

「8人います(笑)。というのは冗談で、今は特定の彼女はいないです。でも、デートは大好物(笑)。食事会に女の子が3人来たら、3人それぞれデートに誘っちゃうくらい」



フランク三浦の時計は、食事会でのコミュニケーションツールにも


デートでは、ただ流行っているとか、予約が取りづらいというだけの店は選ばないという。

「大事なのはストーリー。僕が選ぶのは日本で初めて和食とワインのペアリングを提案した六本木の『小田島』や、20年間変わらず素晴らしい中目黒の『ヒガシヤマ トウキョウ』など。隠れ家的に西麻布の『ボヘミアン』なんかもいいよね。僕の中では永遠に『東京いい店、やれる店』を探している感じ(笑)。もちろん、女性には一切支払わせませんよ」



取材陣にもシャンパンを振舞ってくれた


すっかり港区おじさんの顔になった高岳さん。そう言って、シャンパングラスを傾けた。

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