コンビニの「肉まんは現在、切らせています」は、なぜ起きるのか?

コンビニ業界に詳しいライターの日比谷新太さんが、業界の様々な問題点をレポートする当シリーズ。前回はコンビニ経営一家の休日問題について取り上げましたが、今回はうって変わって「中華まん」販売の裏側をご紹介。レジ横の什器に並んでいる中華まんですが、時間帯によって微妙にラインナップを変えているって、ご存知でしたか?
冬の風物詩「中華まん」の売れ筋とは
コンビニにおける冬の定番商品といえば中華まん。会計時にレジ横に並んでいるのを見かけると、ついつい買ってしまうという方は、多いのではないでしょうか。
以前は中華まんといえば、「肉まん」か「あんまん」といったところでしたが、最近では特定の地域・地方にのみ展開している商品や、地域によって味・名称を変更している商品もあったりして、実に多種多彩に。コンビニ3大チェーンのウェブサイトを見てみると、セブンイレブンで20アイテム、ローソンは19アイテム、ファミリーマートが14アイテムというふうに、様々な種類が販売されています。
これらの中華まんですが、商品ラインナップをカテゴリー分けすると、以下の7つに分類することができます。
(1)肉まん:ド定番の売れ筋商品ですね
(2)プレミアム肉まん:中具の増量や商品自体が大きかったりします
(3)ピザまん:「チーズたっぷりピザまん」などの進化形も
(4)あんまん:小豆系、ゴマあん系などもあり
(5)カレーまん:最近では「キーマカレー風」も
(6)キャラクター系:「スライム」や「妖怪ウォッチ」などをモチーフに
(7)変わり種系:「からあげクンまん」など
このなかでも売れ筋トップを誇るのはやはり肉まんで、売り上げのおおよそ50%を占めます。続いてピザまん、あんまんがランクインしていきます。
また最近の傾向としては、贅沢な素材を用いたり具材を大きくした高価格帯アイテムを揃える「プレミアム戦略」、くわえて有名キャラクターを中華まん化した「キャラクター系戦略」も盛んです。
こういった新たな動きですが、中華まんにも新規商品・新機軸を導入していかないと、既存のアイテムだけでは頭打ちになっているからです。特にキャラクター系はあたりはずれが大きく、ライセンスフィーも発生するのですが、コンビニの中華まんにお客さんの関心を抱かせる上では、重要な戦略だと考えています。
この「キャラクター系戦略」が得意なチェーンと言えば、「スライム肉まん」を大ヒットさせたファミリーマート。そのいっぽうで王者・セブンイレブンは、愚直においしさを追求している傾向があります。
「中華まん」はタイムマーケティングの基本
そんな中華まんですが、各店舗には「冷凍」「チルド」温度帯で入庫されます。それらは蒸し器にセットされ、30分ほど蒸してから販売開始。蒸しあがった中華まんは、約4時間で商品廃棄となります。
蒸し器は什器の下段から水蒸気が発生するため、最下段の棚はもっとも水蒸気が当たります。そのため仕込みスピードも速いですが、商品劣化(濡れてベチャベチャになる)も早いです。
読者の皆さんも、ご経験されたことがあるのではないでしょうか? まだ冷たい中華まんや、商品の紙が濡れてベチャベチャの商品を手にとってしまったことが。これなどは、店舗側がきちんと仕込みができてなかった典型例になります。
いっぽう各店舗では、これから売れるだろうと考えられる30分前に必要な商品数を蒸し器にセットしなくては、チャンスロスが発生してしまいます。「今日の気温は?」「女子高生が多いから、ピザまんを多めに仕込むか」など、日々・時間ごとにどのアイテムを何個仕込むのかを考えています。
例えばある店舗では、早朝時間帯には工事の作業員の方が、夕方の時間帯になると近隣の高校生が、夜の時間帯には帰宅帰りのサラリーマンが多く立ち寄られます。
この場合、朝の時間は「肉まん(プレミアム系も)」を什器満タンに仕込みます。ピザ・カレーは仕込みません。午後になると、近隣の高齢者のお客さんに売れる「あんまん」を1段程度仕込んでおきます。その後、夕方に向けて「肉まん(定番商品)」を中心に、ピザ・カレー・キャラクター系を多めに仕込みます。
夜の時間は販売のピークになりますので、フルラインナップで仕込みを行います。そして、23時頃になると新たな仕込みは終了し、売り切る体制にもっていきます。最後の商品が売れると販売終了とし、蒸し器の清掃を行い翌朝に備えます。
中華まんの仕込み作業・販売作業には、このように緻密なマーケティング活動が活かされているのです。
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文/日比谷 新太(ひびや・あらた)
日本のコンビニエンスストア事情に詳しいライター。お仕事の依頼はコチラ→のメールまで: u2_gnr_1025@yahoo.co.jp
出典元:まぐまぐニュース!