【学窓総研】恋をしたらなんで聴きたくなるの? 大学生世代に西野カナとYUIのCHE.R.RYが支持される理由
みなさんこんにちは、マーケティングメトリックス研究所の松本です。誰かに恋をすると、心が弾んで思わず口ずさんでしまう歌ってありますよね。私の場合は、心が弾むとMONGOL800の「小さな恋のうた」の「ほら〜あなたにとって〜」というフレーズを何度も繰り返してしまいます。もはや心に刷り込まれています。最近の大学生はどうなのでしょう? 恋をしたら聞きたくなる曲はあるのでしょうか。そこで、アンケートに回答してくれた346人の大学生たちの「深層心理」に刷り込まれた恋ウタを分析してみました。
まずは、そもそも恋をしたら聴きたくなる曲があるかどうか確認します。
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Q.恋をしたら聴きたくなる楽曲はありますか?
<合計>
ある……180人
ない……167人
<女子大生>
ある……111人
ない……72人
<男子大学生>
ある……69人
ない……95人
傾向的には女性の方が「ある」と答える割合は多いようです。さらに内訳を確認してみます。「ある」と回答した180人の大学生を、曲や名前でわけてみました。
Q.どんな曲を聴きたくなりますか?
<合計>
YUI『CHE.R.RY』……40人
西野カナの曲……13人
その他……127人
<女子大生>
YUI『CHE.R.RY』……31人
西野カナの曲……9人
その他……71人
<男子大学生>
YUI『CHE.R.RY』……9人
西野カナの曲……4人
その他……56人
その結果、男女ともにYUIさんの「CHE.R.RY」が圧倒的な支持を受けていることがわかりました。この曲がリリースされたのは2007年。回答者の多くはまだ小学生なのに、よく心に刻まれていますね! 世代を超えた恋ウタと言ってもいいのではないでしょうか。一方で西野カナさんは「トリセツ」「if」という具体的な曲名をあげる人より、名前そのものを推す人が多かったです。この違いって何でしょうか?
こういうときは、データサイエンスを用いて検証してみると、違いが生まれる原因がはっきりわかります。「KH Coder」というフリーソフトを使って分析してみましたので、その結果をご紹介しましょう。
■YUIさんのCHE.R.RYが支持される理由って?
まず「CHE.R.RY」の歌詞を分析してみました。頻出単語を見てみると、上位に「メッセージ」「恋」「送る」「指先」という単語が登場することがわかりました。「CHE.R.RY」は、メールで告白するドキドキ感が歌詞から伝わり、とても共感できますよね。それを表す言葉が「メッセージ」「送る」「指先」という頻出単語として登場しています。今で言うなら、LINEでメッセージを送って既読がつくまでのソワソワ感と同じかもしれません。だから、今の大学生からも支持を得られたのではないでしょうか。時代を超えても愛される歌には「共感」というヒントが隠されているのかもしれません。
さらに、2005年のメジャーデビューからの7年間に発売されたシングルA面21曲の歌詞をわせて分析してみました。YUIさんの歌詞で特徴的なのは「生きる」(登場回数20回)「夜」「場所」(13回)といった単語が多く出る一方で、「好き」(3回)が少ないことです。また自分自身のことを「私」(0回)と呼ばず「あたし/アタシ」(18回)と呼ぶのも特徴的で、YUIさんはロック性の高い歌詞を歌っていることがわかります。そんな中で「CHE.R.RY」だけは他歌詞と比べて「恋」という歌詞が多く登場します。いつもピンとした女性の、たまに見える可愛らしさ……でしょうか。
以下の図は、YUIさんの歌詞を「KH Coder」の対応分析で分析してみた結果です。いくつかの歌詞群の中でも「CHE.R.RY」が離れていることがわかりますよね。(「SUMMERSONG」もですね)

歌い手の上手さ、歌詞への共感、メロディの耳馴染み、この3つが揃ってこそ歌は大ヒットすると思います。YUIさんの曲はこの3つが全て揃っていて、その中でも「CHE.R.RY」は世代を越えて共感を呼び、今なお愛されているということかもしれません。
■西野カナは、なぜ「恋愛ソングの女王」と呼ばれるのか?
西野カナさんの場合、2008年のメジャーデビューから現在まで発売されたシングルA面28曲の歌詞で、とにかく「好き」(78回)が登場します。「好き」じゃないほうが珍しいくらい。「好き」「LOVE」(35回)「恋」(21回)「愛」(15回)何れも歌詞に含まれないのは「Style.」「君に会いたくなるから」「if」「君って」のみ。さすが恋愛ソングの女王です。ここに、西野カナさん自体が「恋愛ソングの女王」として支持される理由があると思います。
西野カナさんの歌詞はどれも恋愛に関する話題を扱っており、それに関する単語が頻出します。それが、「会う」(31回)・「聞く」(21回)・「笑う」(21回)・「優しい」(16回)・「想う」(15回)「運命」(14回)・「幸せ」(13回)・「Oh」(129回)です。何度も恋愛の歌詞をリリースすることで、「西野カナさん」=「恋愛ソングを歌う人」というイメージが聞く人の心に刷り込まれ、やがて存在そのものが「恋愛ソング」というブランドを背負うことになったわけです。だから、大学生に恋をしたら聴きたくなる曲を聞いて、名前で指名されるわけですね。
ブランドは一長一短に築けるものではなく、長い時間をかけ接するものの心に「そういうものだ」と浸み込まれたシンボルのようなものです。それをやり遂げた西野カナさんはすごいですよね。
■まとめ
いかがでしたか? 大学生が、恋をしたときに聴きたくなる曲。すぐに思い浮かぶのは西野カナさんという誰もが認知するブランドか、CHE.R.RYという歌い継がれる名曲であることがわかりました。
大学生から恋愛ソングのシンボルとして認知される西野カナさんもすごいし、世代を超えて共感される歌を歌えるYUIさんもすごい。2人のアーティストがどれだけ大学生の恋愛に影響を与えているのか、驚きを隠しきれない分析結果となったのでした。
文・松本健太郎
株式会社ロックオン開発部エンジニア 兼任 マーケティングメトリクス研究所所長。 あらゆるデータを計測し、予測することが生業。サイト上(http://mm-lab.jp/)で、マーケティング、人工知能、野球、競馬、音楽、政治など、様々な日常シーンをデータの観点で分析する事例を公開中。
