学生の窓口編集部

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筆者の身内の大学生は、ファストフードやスナック菓子が大好き、外食時や自炊でも、塩やソースをだぶだぶとかける濃い味派です。管理栄養士で、糖尿病クリニックにて患者さんの食事指導にあたる西山和子さんは、「肥満や高血圧の若者が増えています。濃い味付けは塩分が多いので、20歳〜30歳代でも過剰にとらないようにしましょう」と話します。塩分についてのお話しと、塩分を控えるためのアドバイスを聞きました。

■塩分が多い料理は、飲み過ぎ食べ過ぎをまねく

――塩味の濃い料理は、なぜ体に良くないのでしょうか?

西山さん 食塩は、「ナトリウム」と「塩素」からできていて、ヒトの体にとても大切な栄養素です。体内で、ナトリウムは水分や神経を調整し、塩素は胃酸の成分になります。普段から、主食・主菜・副菜の揃ったバランスの良い食事をしていると、食塩が不足することはありません。

しかし、濃い味付けの料理、塩分の多い調味料やおやつをたくさん食べていると、「食塩の過剰摂取」になります。すると、体のむくみや肥満につながって、若くても高血圧、胃がんのリスクが高くなり、やがて脳卒中、心臓病、腎臓病など、さまざまな病気の原因になります。

――塩っけのある料理やおやつはバクバク食べてしまいますね。

西山さん 塩分が多い料理は、ごはんや麺類などの炭水化物とよく合うため、必要以上に食べることが多いんです。すると、のどが渇いてビールやジュースを飲み過ぎてカロリーオーバーになります。

濃い味付けに慣れると、薄味にはなかなか戻れません。肥満や高血圧、糖尿病になると食事療法が必要になりますが、「減塩」の食事に苦労なさっている患者さんはたくさんおられます。

――塩分は、1日にどのくらいの量であれば大丈夫なのですか?

西山さん 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、1日の食塩摂取の目標量は、「男性は8グラム未満、女性は7グラム未満」です。さらに、高血圧を予防するには1日6グラム未満が目標とされています。WHO(世界保健機関)の世界の人の減塩目標値は5グラムです。

日本は和食文化であり、世界の中でも食塩摂取量が多い食習慣の国と考えられます。「国民健康・栄養調査・平成25年」(厚生労働省)の結果では、成人の1日の食塩摂取量の平均は、男性で11.1グラム、女性で9.4グラムであり、男女ともに、10年間で減少傾向であるとのことですが、高血圧などの病気を予防する量ではなく、いまだに食塩のとり過ぎの状況です。

■濃い味の料理が出てきたら、野菜をいっしょに食べる

――料理に含まれる塩分量がピンと来ません。一般的な、濃い味付けの料理にはどのくらい含まれているのですか?

西山さん 食品の栄養成分表示の、「食塩相当量」で確認できます。「ナトリウム」と記述されている場合は、その数値に2.54をかけると「食塩相当量」に換算できます。その場合は単位を、ミリグラムではなくグラムに直してください。

外食フードやスナック菓子などの塩分の含有量は、次の通りです。

ラーメン(1人前)……(汁を全て飲みきった場合)約6.0グラム

カップラーメン(普通サイズ)……(汁を全て飲みきった場合)約5.5グラム

きつねうどん(1人前)……(汁を全て飲みきった場合)約4.7グラム

カレーライス(1人前)……約3.4グラム

ハンバーガー(1個)……約2.2グラム

ポテトチップス(1袋)……約0.9グラム

――外食時などで、「塩分が濃い料理だな」と気になるときは、どうすればいいでしょうか。

西山さん 健康な人は、野菜や芋・豆類、果物に多く含まれる「カリウム」という栄養素が、過剰な塩分(ナトリウム)を尿として排泄する働きをします。濃い味付けのときは、必ず野菜を組み合わせて食べるようにしましょう。

■揚げものにソースは厳禁。香辛料を活用する

ではここで西山さんに、「おいしくて、塩分を控えめにするための食べ方」を教えてもらいました。

<外食編>

・料理に調味料をプラスしない。

例えば、ポテトに塩をかけない。コロッケなどの揚げものにソースをかけない。テーブルに置いてある調味料は使わない。チューブ入りの練りわさび、からし、マスタード、コチュジャンは意外と塩分が多いので使用量を控えめにするなど。

・ラーメンやうどんなどの麺類は、必ず汁を残す。麺が汁を吸わないうちに食べる。

・「つゆだく」はNG

丼ぶりの汁やカレーのルーをかけ過ぎない。

・トッピングに注意

有塩バターや甘辛いチャーシューをプラスしない。

<自炊編>

・塩分の多いしょうゆやみそ、インスタント和風だしを使うときは量を控えめにし、ポン酢や酢などの「酸味調味料」、ショウガ、にんにく、コショウ、ルーではないカレー粉、タバスコなどの「塩分がほぼ入っていない香辛料」で味を調整する。

・昆布、かつお節、きのこ類、野菜、魚介類、干しエビ、乳製品など、旨み成分を多く含む食品やそれらのだし汁を利用して、できるだけ味付け調味料を控える。

・料理に下味をつける場合、塩はかけず、コショウだけにする。

・インスタントラーメンなどに添付のスープは、はじめから半分残す。

・漬物や汁物を食べるのは1日1回まで。ごはんのふりかけ、佃煮は少量にする。

最後に西山さんは、次のアドバイスを加えます。

「調味料のカロリーにも注意が必要です。例えば、みそを多く使用したみそラーメンは、汁まですすると塩分とカロリーが同時に高くなり、外食の場合は、塩分6グラム以上、約800キロカロリーとなります。

どうしても調味料をプラスしたいときは、料理にかけるのではなく、調味料を小皿に入れて、『つけて食べる』ようにしましょう。過剰にかけることを防ぎます」

普段の食事内容をチェックすると、塩分のとり過ぎに気付かされます。これからは、塩分たっぷりの濃い味付けに満足するのではなく、旨みや薄味で素材の味を楽しむ方法を取り入れたいものです。

(岩田なつき/ユンブル)

取材協力・監修 西山和子氏。糖尿病専門・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)にて管理栄養士、糖尿病療養指導士。糖尿病、生活習慣病、メタボリックシンドロームの患者さんを対象に、パーソナルな食事指導にあたる。『専門医が考えた 糖尿病に効く「腹やせ」レシピ』(福田正博 洋泉社)の監修担当。また、食生活に関する記事の執筆、監修多数。