いちごパンツから始まる『いちご100%』は放送ギリギリ!?関田修監督インタビュー
−−アニメ全体の進行もスムーズだったのでしょうか?
関田:例えば10月放送のアニメだったら、半年前の4月くらいに制作をはじめたいんです。シナリオや絵コンテなど、段階を踏むのに時間がかかりますからね。
ですが、『いちご100%』はなかなか制作をはじめられない作品だったように思います。
−−原作の有無に関わらず、半年前の製作開始が定石なのでしょうか。
関田:原作無しの作品は設定等すべてこちらで考えなくてはいけません。原作ありだと、原作にどこまで添うか離れるかの調整が関係各所とあります。どっちもどっちですね。
『いちご100%』の場合は原作に添っていきましたが、全12回放送・24話構成という尺だったので、ココのエピソードを抜いてココとくっつけてっていう短縮作業がありました。その作業はけっこう時間がかかるはずなんですけど、GO待ちが長くて(笑)
シナリオは脚本スタッフ(ライター)が書きますが、これも時間がかかるものなんです。
1稿目を直して2稿目でさらに直して、3稿目で完成すればいいですけどね。5稿目以上でも完成しない場合があります。通常シナリオの完成だけで1ヶ月はかかり、待ちが長いです。一部の言い回しだけ直してもらったりとか、直接細かい修正を指示しました。
−−ではやはり、各担当監督との連携が必要で多忙になってしまうのですね。
関田:だいたい、シナリオミーティングで週1回会って、アニメの進行確認やアテレコの同席もありますから、時間との勝負でしたよ。すごい人は1つの作品の監督をやりつつ他作品の絵コンテを器用にやっていますが、僕は無理でしたので『いちご100%』に一点集中専念していました。
−−そんな監督たちの苦労はつゆ知らず…アニメを毎週観られるのはありがたいことです。関田監督は初代ガンダムがTV放送されていた頃からアニメ業界でお仕事なさっているとのことで。
関田:もう35〜6年この業界にいますね。気付いたら年だけ取っちゃって(笑)
最近のアニメはすごいですよね。線の多さとか、描き込みが緻密。
シリアス向けな細かいリアル系と、ギャグもいけるデフォルメ系の両極端になってきて、昔は、リアル系な見た目だけど内容はギャグに振っているものもありましたが、今は表現も現実的になっていますよね。グロかったり肌色だったり…。今思えば、『いちご100%』は、心配こそしましたが健全なほうですね(笑) それでも、放送事故になったらいけませんから、原作に比べて自重しました。
−−放送できない限度はどのあたりなんでしょう。
関田:テレビ局の方針が一番ですが、あとはプロデューサーの尺度ですね。彼がOKって言えばアニメ化が通っちゃったりしますし、あとは大きなお友達向けは深夜枠に持っていく等、放送時間帯でしょうか。
−−大きなお友達(笑)な『いちご100%』ファンにむけて、最後にメッセージをお願いします。
関田:今さら言うのもアレなんですが、こんなにパンツ描写が多いアニメを作っちゃって良かったんでしょうか(笑) 放送ぎりぎりだった内容が気になる方は、Blu-rayでどうぞお楽しみください。よろしくお願いします。
関田修(せきたおさむ)
アニメーション監督。
「機動戦士Zガンダム」の演出、「いちご100%」や「獣神演武 -HERO TALES-」の監督をつとめる。
(C)河下水希・集英社/いちご100%製作委員会
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