10月26日、英会話学校のNOVAが大阪地方裁判所に会社更生法の適用を申請して倒産した。

 長期契約者からのクレームなどが発端となり、2月に受けた経済産業省の立ち入り検査で顧客の信用が失墜。業界全体で新規入学生がピークとなる“稼ぎ時”の3月に新規獲得が伸び悩んだ。中国ビジネスで巻き返しを狙っていた6月には、長期契約など一部業務に対する業務停止命令を受け新規入学生はさらに減少。9月までに例年比で100億円を大きく上回る新規入学生からの現金収入が剥げ落ち、資金繰りが急速に悪化した。

 8〜9月に自ら金策に駆けずり回った猿橋望前社長だが、給与遅配や店舗の家賃滞納もあって従業員の信用も失い、10月25日には3取締役による“欠席裁判”で社長職を解任された。残る3取締役が代表権を取得して翌26日未明の会社更生法申請となった。

 手続きが驚くほど手際よく進められていることから「完全に練られていたクーデターだろう」(業界関係者)との見方を呼んでいる今回の倒産劇。今後はスポンサー選定など、再建へのステップを踏んでいくことになる。

 じつは今回の再建案が練られているあいだ、猿橋前社長による再建策も同時期にほぼ合意に達していた。そのスキームは、こうだ。いったん会社を破産させ、新会社に従業員、外国人講師、受講生や資産を移管する。ファンドから100億円規模の資金を投入し、外国人講師や従業員への未払い賃金や受講生への解約金の支払資金を確保したうえ、当面の資金繰りを賄い、事業を再生させていく。破産を考えていた背景には、会社更生より手続きを早く進める狙いがあった模様だ。

 もっとも、猿橋前社長のスキームを使ったとしても、倒産時点で約30万人の受講生や5000人規模の従業員を抱え、2位以下を大きく引き離すNOVAの再建は困難を極めただろう。

 ただ、現経営陣と猿橋前社長、いずれのスキームを選んだとしても役員全員の退任は免れなかった。誰もが退任する覚悟を決めていたにもかかわらず、経営陣が一丸となって再建策をつくれるような関係になかった――。

 そこにNOVA倒産の本質がある。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 佐藤寛久)


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