ジムの個別指導 事故を防ぐ体制整備が急務だ
健康志向の高まりもあり、スポーツジムなどでトレーナーから個別に指導を受ける「パーソナルトレーニング」の人気が高まっている。
その規模は数百万人に上るとされ、年齢層も若者から高齢者まで幅広いという。
一方で利用者のけがも増えている。安全を確保する体制は現状では十分と言えず対応が急務だ。
消費者庁の消費者安全調査委員会(事故調)によると、2019〜25年にジムなどでパーソナルトレーニング中に起きた事故は196件で、25年は最多の44件に上った。196件中、4割は治療に1か月以上を要していたという。
バーベルを使ってスクワット中に腰椎を骨折したり、2回目のトレーニングで腰を痛め、ジム通いをやめたりした人もいた。
ジムでは、一人でも運動器具を使ってトレーニングができる。1対1のパーソナルトレーニングの場合は、別料金のことが多い。
それでも利用が増えているのは、自らに適したプログラムに基づく指導なら、より効果的だと考える人が多いからだろう。だが、けがをしては元も子もない。
事故調は、けがが増えている要因として、トレーナーの知識や経験の不足などを指摘している。
事故調が一昨年、トレーナーと利用者の双方に行ったアンケートの結果によると、トレーナーの4割超は指導中に負荷をかけ過ぎたと思った経験があり、1割は安全対策を学んでいなかった。
また、利用者の3割はトレーナーの指示を「無理」と感じたことがあったという。「無理」と伝えてもトレーナーに「大丈夫」と言われ、けがをした例もあった。
利用者の増加に、トレーナーの人材育成や安全対策が追いついていないのではないか。
トレーナーは、人の健康を預かっているという認識を持つことが重要だ。利用者の健康状態を常に把握し、指導中も負荷を減らしたり運動中止を判断したりできる知識と経験が欠かせない。
トレーナーには多くの民間の資格があるが、取得の難易度は様々だという。パーソナルトレーニングの安全対策の基準もない。これでは事故を防げまい。
関係省庁は、トレーナーに必要な知識などの基準の策定や、安全対策を事業者団体に促すべきだ。事故が増えている現状を踏まえ、迅速に対応する必要がある。
利用者も、体の不調や違和感を感じたら自らの意思でトレーニングを中止する勇気を持ちたい。
