進水式でお披露目された、厚い氷を砕く機能を備えた海洋研究開発機構の北極域研究船「みらい2」(2025年7月25日、横浜市で)

写真拡大

 政府が、北極政策の基本方針の改定に向けて検討していることが分かった。

 改定すれば、2015年の策定以来初となる。改定案には、今年度就航予定の海洋研究開発機構・北極域研究船みらい2を「国際研究プラットフォーム」に位置付け、国外の研究者らとの共同研究を進める方針を盛り込む。観測・研究分野で主導的な役割を担い、北極圏の国際的なルール作りの発言力を高める狙いがある。

 改定するのは、北極圏の開発や研究、国際ルール作りへの貢献を明記した「我が国の北極政策」。高市首相が本部長を務める「総合海洋政策本部会合」を月内にも開催し、改定について議論する。各国が北極海航路や鉱物資源の開発でしのぎを削る中、日本の有識者らも昨年から、より積極的な関与を目的に改定の議論を進めてきた。

 みらい2は、日本初となる砕氷機能を持つ北極向けの研究船で、海氷の形状や厚さを調査する海中ドローンや、上空の大気を観測する気球を搭載する。海水の塩分濃度や温度を分析できる採水装置も装備。海氷で閉ざされている地域の気象観測や生態系調査が可能で、台風や豪雨といった異常気象の予測精度の向上が期待される。

 北極の開発研究はロシアがリードしている。西側諸国は出遅れているのが実情で、みらい2には世界の注目が集まる。改定案には、気象観測や生態系調査など科学研究で世界をリードする指針を強調する見通しだ。政府は、国外の研究者や技術者への乗船機会の提供も検討している。

 砕氷船を持つ中露は、欧州とアジアを結ぶ北極海航路の開拓に注力する。日本の北極政策にも、航路の「利用可能性の探究」と明記されているが、具体策は乏しかった。改定案には、砕氷能力を持つみらい2を活用して航路開拓を推進するほか、米欧と協力して安全航行できるルールの策定に貢献する方針を盛り込むとみられる。

 北極海航路については、安全上や採算確保などの課題は多い。ただ、実際に運用されれば、北海道や東北地方の港湾がアジア側の玄関口となる可能性があるとして、経済界の期待は大きい。