米国・イラン「和平合意」、日米金融政策発表…注目イベント目白押しの今週、相場のカギを握る“最大の焦点”は【今週の米ドル/円予想レンジ「155〜161円」の根拠】
米トランプ大統領は11日、イラン側との戦闘終結に向けた交渉が進展したとして、イランへの攻撃について中止を表明。その後日本時間15日午前6時過ぎ、「合意が成立した」と明らかにしました。今週はこれに加え、日米金融政策発表など各国の経済指標が相次いで控えるなか、米ドル/円の動向を左右するカギはいったいどこにあるのでしょうか。マネックス証券チーフFXコンサルタント・吉田恒氏が予想します。
6月16日〜6月22日の「FX投資戦略」ポイント
<ポイント>
・先週はジリジリと米ドル高・円安が一時160円半ばまで進んだものの、米ドル売り介入はなかった模様。ただこれは小動きのため介入のタイミングがなかっただけで、160円を大きく超える円安を容認しない方針は不変か。
・今週は日米の金融政策発表などが控えており、為替相場が動意づくきっかけになる可能性に注目。
・もし介入が再開されれば円高へ大きく動く可能性あり。今週の米ドル/円は155〜161円と予想。
先週の振り返り…160円台半ばまで円安進むも、介入なし
先週の米ドル/円は小動きながらも米ドル高・円安がジリジリ進む展開が続き、一時160円半ばまで上昇しました。ただ11日、トランプ大統領の発言などをきっかけにイラン戦争の終結期待が広がると、原油価格の下落や米金利低下に連れる形で米ドル売りが強まり、米ドル/円も159円台半ばまで反落する場面もありました(図表1、2参照)。
[図表1]米ドル/円の日足チャート(2026年3月〜) 出所:マネックストレーダーFX
[図表2]米ドル/円と日米2年債利回り差(2026年4月〜) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
日本の通貨当局は、4月末にかけて米ドル高・円安が160円を超える局面で米ドル売り・円買い介入に出動しました。ただ先週、米ドル/円は160円台での推移が続きましたが、為替介入は行われなかったようです。
では円安阻止の方針が変わったかといえばそうではなく、あくまでジリジリと米ドル高・円安が進むなかで介入するタイミングがなかったということではないでしょうか。
「160円を超える円安は容認せず」円安阻止方針に変化はあるか?
2026年に入り、最初に米ドル高・円安が160円を超えたのは3月27日のことでした(図表3参照)。その翌営業日の3月30日には、為替介入の実質的な責任者である三村財務官が「この状況が続けば、そろそろ断固たる措置も必要になる」と発言しました。為替介入を意味すると理解される「断固たる措置」という表現を三村財務官が用いたのは、これが初めてでした。
[図表3]米ドル/円の日足チャート(2026年1〜5月) 出所:マネックストレーダーFX
この「三村発言」などを受けて、米ドル/円は4月1日には158円台まで反落しました。しかし4月29日に再び160円を超えて米ドル高・円安が進むと、翌30日、片山財務大臣と三村財務官はそろって為替介入を強く示唆する発言を行ったうえで、実際に米ドル売り・円買い介入に踏み切ったとみられています。
以上から、日本の通貨当局は「160円を大きく超える円安は容認しない」という方針を維持していると考えられます。
そう考えると、先週160円を超えた円安に対しても為替介入がなかったのは、あくまでジリジリと進む円安のなかで介入に動くタイミングがなかったに過ぎなかったのではないでしょうか。
別の言い方をすると、この先も160円を超えた円安が急拡大しそうな局面では、米ドル売り・円買い介入が再開される可能性が高いということに引き続き変わりはないと思います。
日米の金融政策発表など注目イベント目白押しの今週
今週は日米をはじめ各国の金融政策発表が多く控えています。主なところでは、16日に日本と豪州、17日に米国、18日に英国の政策発表が発表される予定です。
このうち16日の日銀金融政策決定会合では、2025年12月以来となる利上げがほぼ確実視されています。問題は、この利上げが、ここ最近小動きが続いてきた為替相場の材料となり、相場が動意づくきっかけになるかどうかという点です。
もっとも、すでに織り込まれている利上げに対して円買いが強まるかは微妙なところです。2025年12月に利上げが決まった際も、米ドル/円は154円台から157円台へとむしろ米ドル高・円安が進みました。
ただ160円を超えた水準からさらに円安が広がった場合、通貨当局は米ドル売り・円買いの為替介入に動く構えです。介入警戒のまま小動きが続くか、それとも介入再開によって円高へ大きく動くところとなるか、勝負どころとなりそうです。
17日のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、金融政策の変更は予想されていませんが、FOMC初参加となるウォーシュ新FRB(米連邦準備制度理事会)議長の動向が大きな注目点です。
米金融政策をめぐっては、イラン情勢を受けたインフレ再燃への懸念から年内の利上げ予想が広がってきましたが、それに対しウォーシュ新議長はどのような認識を示すのでしょうか。また、新議長はいわゆる「ドット・チャート」などこれまでのFRBによる情報発信方法に異論があるとの見方もあることから、今後どのような変更があり得るのかも注目されるところです。
今週の米ドル/円は「155〜161円」と予想
金融政策発表以外にも、15〜17日に開催される仏エビアン・サミット(先進国首脳会議)や、米国の5月小売売上高をはじめとした注目度の高い経済指標の発表が相次いで控えています。
しかし、こうした材料が多いなかでも、米ドル/円の行方を左右する最大のカギは、やはり円安阻止を目的とした為替介入の再開があるかどうかではないでしょうか。
米ドル売り・円買い介入が行われた場合、経験的には1日で4〜5円程度円高に動くため、それを踏まえ、今週の米ドル/円は「155〜161円」と予想します。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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