中国、中年失業者の受け皿に限界=配車ドライバーも配達員も人余り―シンガポールメディア

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シンガポールメディアの聯合早報は3日、中国で配車サービスのドライバーやデリバリーなどの配達員が飽和状態となっており、中年失業者の受け皿に限界が見えていると報じた。

中国では「35歳で失業したら仕事は見つからない」とも言われる。記事によると、配車サービスのドライバー、フードデリバリー配達員、宅配便配達員は、こうした中年失業者の受け皿になってきた。しかし、こうした業界に職を求める労働者が次々と流入したことで競争が激化し、受注件数や収入が減少する傾向があるようだ。

広東省深セン市の交通運輸局は5月25日、市内の配車サービス市場はすでに飽和状態にあるとして、新たに参入を検討している人々に対し、市場調査を徹底した上で収益性を客観的に評価し、理性的かつ慎重に投資および就業の判断をするよう警告を発した。同時に、運営会社の経営悪化による損失や、高収入をうたう広告と実際の収入との乖離(かいり)による契約トラブルなどのリスクも指摘した。

配車サービス市場の飽和は深セン市に限ったことではない。25年末時点で、中国では配車サービスの資格証を取得した運転手が約748万3000人に達し、390社以上の配車サービスプラットフォームが営業許可を取得、登録車両数は320万台を超えている。24年以降、重慶市、珠海市、大理市、合肥市など各地で同様の警告が出されており、重慶市交通運輸委員会は25年第1四半期のリスク報告で、「配車サービス車両の供給力は実際の需要を大きく上回っている」と指摘した。

また、珠海市の報告では、専業ドライバーが1日10時間稼働しても平均の売り上げは300元(約7000円)程度にとどまり、必要経費を差し引くと実際の月収は約4000元(約9万5000円)で、地元の民間企業の従業員の平均月給を大きく下回るとされている。

中国では配車サービスと同様に、フードデリバリー配達員も急増した。25年には京東(JD.com)、淘宝閃購、美団が巨額の補助金を投じて激しいシェア争いを繰り広げ、「月収1万元(約23万円)超」「未経験歓迎」などの宣伝で大量の配達員を募集。その結果、業界には800万人以上の新規配達員が流入し、登録配達員数は一時2000万人近くに達した。しかし、補助金競争が落ち着くと、人員過剰が表面化。1日当たりの受注件数が約40件から30件程度まで落ち込んだとの声も上がっている。

スイス金融大手UBSの試算によると、今年2月の時点で主要3社の1日当たりの注文数は約1億1000万件だった。配達員1人が1日30〜40件を配達すると仮定すると、必要な配達員の数は約400万人となり、約1600万人は余剰人員となる。かつて柔軟な働き方の受け皿だったフードデリバリー業界だが、情報不足のまま農民工や失業者、事業に失敗した人が次々と参入した結果、低収入と過当競争が進行。こうした状況は宅配便業界でも見られ、取扱量が大きく増える一方で単価は下落し、労働者の負担増と収入低下が続いているという。

記事は、「こうした業界がほぼ同時に過当競争に陥ったのは偶然ではない」と指摘する。配車サービス、フードデリバリー、宅配便はいずれも参入障壁が低く、働く時間の自由度が高い上、現金収入を得やすいことから、多くの失業者の受け皿となってきた。昨年公表された調査では、配車サービス運転手の77%が失業後に同業界へ転職していた。また、フードデリバリー業界には多くの農村出身労働者が流入しており、国際労働機関(ILO)の調査によると、中国の主要デリバリープラットフォームの配達員の7割以上が農村部出身者だった。

記事は、中国の経済成長の鈍化に伴い、雇用環境が厳しさを増していることが背景にあると指摘している。(翻訳・編集/北田)