2027年開始予定「こどもNISA」で変わる<老後のお金>の引き継ぎ方。オルカン生みの親が語る、子や孫へ資産をつなぐ新しい選択とは
新NISAの開始などを背景に投資人口は増加傾向にあるそうです。そんな中、三菱UFJアセットマネジメントが運用する投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」通称「オルカン」の生みの親として活躍されている代田秀雄さんは「投資を賢く<仕組み化>することで自分の人生の主導権を取り戻す『オルカン思考』がこれからの時代を生き抜く武器になる」と語ります。そこで今回は、そんな代田さんの著書『オルカン思考: 世界経済を味方につける「長期投資」の教科書』より一部を抜粋し、代田さんの投資についての考え方をご紹介します。
【書影】オルカンの生みの親が自身の投資理論を初公開!代田秀雄『オルカン思考: 世界経済を味方につける「長期投資」の教科書』
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こどもNISAという新しい「資産移転の器」
近年注目されているのが、こどもNISAの創設です。こどもNISAは、これまでNISAの対象外であった18歳未満の未成年も、つみたて投資枠を活用できるようにする制度です。
現時点で示されている制度案では、未成年の年間投資枠は60万円、非課税で保有できる上限は600万円とされています。
この制度の意義は、大人、とくにシニア層から見ると、次世代に移すと決めた資産を、名義・運用・税制の面で明確に切り分けられる点にあります。
こどもNISAに資金を入れる場合、実務的には贈与という形を取ります。その際、最も基本となるのが暦年贈与です。
暦年贈与は、毎年一定額までであれば贈与税がかからずに資産を移転できる制度で、受贈者の年齢に制限はありません。そのため、未成年の子や孫に対しても利用でき、こどもNISAとの相性は良好です。
少額ずつ、時間をかけて資産を移し、その資産を長期で運用する。これは、時間を味方につけた資産移転の、最もオーソドックスな形といえるでしょう。
相続時精算課税制度というもう一つの選択肢
次世代に資産を移す方法は、暦年贈与だけではありません。もう一つの代表的な制度が、相続時精算課税制度です。
相続時精算課税制度は、60歳以上の父母・祖父母などから、18歳以上の子・孫などに対して利用できる制度で、累計2500万円までの贈与について、贈与時には贈与税がかかりません。
ただし、この制度を選択すると、贈与した金額は相続発生時に相続財産に加算され、相続税として精算されます。
重要なのは、相続税の計算に加算されるのが「贈与した時点の金額」である点です。
「とりあえず両方使ってみる」は不可能
たとえば、1000万円を相続時精算課税制度で贈与し、その後の運用で2000万円になっていた場合でも、相続税の対象となるのは1000万円です。運用によって増えた分は、相続税の課税対象になりません。
ここで注意しなければならないのは、暦年贈与と相続時精算課税制度は、同一の贈与者から同一の受贈者に対して併用できない、という点です。

(写真提供:Photo AC)
一度、相続時精算課税制度を選択すると、その贈与者からの将来の贈与について、暦年贈与には戻れません。
そのため、「とりあえず両方使ってみる」ことはできません。どちらを選ぶかは、金額、タイミング、そして何より「その資産をいつ誰のために使うのか」という視点から判断する必要があります。
資産運用の最終目的
取り崩しは資産運用の失敗を意味するものではありません。
それは、使うために準備してきた資産を、計画通りに使い始めることに他なりません。
現役期には「増やすフェーズ」があり、老後には「使うフェーズ」があります。さらに、次世代や社会へ資産を移転する「循環のフェーズ」もあります。
それぞれの段階で、増やした資産を適切に使うことで、人生と社会の質を高める。それこそが、資産運用の最終目的なのです。
※本稿は、『オルカン思考: 世界経済を味方につける「長期投資」の教科書』(Gakken)の一部を再編集したものです。
