アナログとメカニカルの二刀流。いいとこ取りなゲーミングキーボード「G512 X」
Logitech(ロジテック)から新たなゲーミングキーボード「G512 X」が登場しました。
G512 Xは、メカニカルスイッチの一部をアナログスイッチに切り替えられるという特徴があります。さらに、ゲーミングキーボードとしての機能も複数あり、カスタマイズ性も高いのです。
いうなれば、アナログスイッチとメカニカルスイッチの二刀流といった感じ。現時点ではまだ日本では発売していませんが、どんなキーボードなのか気になるところ。
米GIZMODO編集部が一足先にG512 Xに触れてレビューしていますので、見てみましょう。
一見おもちゃのような見た目のゲーミングキーボード「G152 X」は、メカニカルスイッチとアナログスイッチの両方を搭載しているという特徴があります。ベースはメカニカルキーボードで、付属された9つのアナログスイッチを任意で交換できるというもの。まるまるアナログスイッチと切り替えるわけではなく、また、すべてのキーが切り替え対応しているわけでもありません。つまり、「よく使うキーだけアナログスイッチに切り替えられる」といった感じです。
G512 Xの価格は、75%サイズで180ドル(約2万8000円)、98%で200ドル(約3万1000円)です。アクリル製パームレストもありますが、40ドル(約6,000円)で別売り。
このG512 Xは、価格は比較的高いですが、「究極のタイピング体験」というほどの性能ではありません。それでも魅力は十分にあります。いうなればプロ向けゲーミングキーボードの試食といった存在として輝きます。アナログキーボードが気になるけど、大金を支払って自分に合わなかったらたいへん…そんな人でも、このおもしろい設計と便利なゲーミング用機能、カスタマイズ性によって、自分に合うキーやスイッチをとにかく簡単に試せるのです。
ほかにも、キーボード改造に興味はあるもののまだ踏み出せていないという方にもオススメです。スイッチやキーキャップ、バックプレートなど、終わりなきキーボード沼への入口になる可能性があるからです。
アナログとメカニカルのいいとこ取り
G512 Xのメカニカルスイッチはリニアとタクタイルから選択可能で、今回のレビュー機はタクタイルバージョンでした。
さて、ゲーマーのなかではアナログスイッチを絶対視する方もいますが、ゲーム以外の用途では絶対的ではない場合もあります。たとえば、ライターとして文章を作るとき、一部のアナログキーボードでは抵抗感があまりにも少なくて指の重さだけで誤入力することがあります。
その点G512 Xは、ベースがメカニカルスイッチで一定の抵抗感があり、ロジテックのロープロファイルキーを採用した3.2mmキーストロークのMXメカニカルスイッチが搭載されていて使い心地も良好です。なんというかいい具合のカチャカチャ感があり、タイピング体験として非常に楽しいと感じました。KeychronのようなDIYキーボードほどではありませんが、とても気持ちがいい。
ロジテックは、今年ハイエンドなゲーミングマウス「G Pro X2 Superstrike」を発売しました。これは、アナログスイッチ的なクリック感覚とカスタマイズ性をマウスに落とし込んだ、魅力的なものでした。G512 Xも同様に高いカスタマイズ性がありますが、PCゲームに革命を起こすほどではありません。
現在、アナログキーボードは数多く登場しています。中には、ほぼ同じ設計でスイッチだけ着け換えたような製品もあります。が、アクチュエーションポイントを変えるほどのカスタマイズ性がない人にとっては、普通のメカニカルキーボードで十分でしょう。
そうした現状を踏まえて、G512 Xは「アナログとメカニカルのいいとこ取り」といえるかもしれません。
ロジテックは、アナログスイッチを9つだけ交換可能に設計しました。9つだけかあ、なんて一瞬思ったりもしますが、MMOやRTSをめちゃくちゃ高いレベルでプレイするといった場合でない限り、9つ以上必要になることはないでしょう。
アナログスイッチは、すべてのメカニカルスイッチを交換できるわけではなく、U、J、Mより右側は、上下左右キーを除いて交換不可となっています。つまり、キーボードの左側から中央くらいまでの39のキーが交換可能です。
担当者によれば、交換可能なキーの数を制限したのは、「多くのゲーマーが、一部のゲームを除きキーボードの右側をほとんど使わない」という調査結果に基づいて決めた設計とのこと。たしかに多くの人は、WASDやShift、Ctrl、スペースキーなどをアナログスイッチに交換するはずです。
G512 Xは、有線接続で8,000Hzのポーリングレート、いわゆる「True 8K」に対応しています。これは、現在のハイエンドゲーミングキーボードではスタンダードにもなっている超高速応答技術です。
こうした性能や設計からみても、G512 Xはかなりプロ向けだったG Pro X2 Superstrikeと比べて、“すべてのゲーマー向け”のキーボードといえるでしょう。
限られたアナログスイッチもそうですし、交換可能なキー数の制限によって価格が抑えられている点も、多くのゲーマーに向けた製品であることがわかります。G512 Xはそれ自体では革命は起こせませんが、将来的に完全なアナログキーボードユーザーになりたい人にとっては、そのための第一歩になり得るのです。
一般的なアナログスイッチ以上のカスタマイズ性
G512 Xの磁気アナログスイッチは、TMRセンサーを採用しています。TMRはトンネル磁気抵抗といい、磁場によって発生する電気抵抗を検知するというもの。実際にはもっと複雑ですが、重要なのはTMR技術によって非常に精度の高い入力検知が可能になるという点です。
ロジテックjのアプリ「G Hub」では、どのキーがメカニカルで、どのキーがアナログかを確認でき、キーごとのアクチュエーションポイントも変更が可能です。アクチュエーションポイントは0.1〜4mmまで調整できます。
こうした機能自体は、近年のアナログキーボードでは珍しくはありません。が、アプリ上での視覚化やわかりやすさは他社より優れているように思います。
さらに、個々のキー感度を変更する「ラピッドトリガー」機能もついています。指を少し離せば即座にキーリセットできるアレですね。
さらにおもしろいのは、5つのSAPPリングというものが付属していること。これはシリコン製のリングで、キーキャップの下のスイッチ軸周囲に装着して使います。
このSAPPというは、セカンド・アクチュエーション・プレッシャー・ポイントを意味していて、キーの押し込みの強さ・深さに応じて別の入力を割り当てられるという機能です。これによって、たとえばWキーを「軽く押したときは歩く」「深く押し込むとダッシュ」といった感じに、1つのキーでマルチアクションを可能にしてくれます。
押し込み具合で操作が変わることで、よくあるShift+Wでダッシュ切り替えよりも操作が便利なのはもちろん、ゲーム内の行動がより没入感のあるものになります。
カスタムパーツが本体収納なのはよい
G512 Xは全体的にプラスチック感が強いです。
本体はもちろん、前面のライトバーも簡易スタンドもプラスチック。キーボード上でプラスチックではない部分は、右上の2つのダイヤルだけです。ダイヤルはPCの音量調整とRGBライトの輝度調整として使います。
交換用のアナログスイッチはキーボードの中に収納されており、場所は奥の側面の中です。ちなみに、簡易スタンドはスイッチリムーバーとしても使えます。
ほかにも、キー交換後にキーがメカニカルかアナログかキーボードに認識させる物理ボタンと、特定のキーの無効化ができるゲームモードボタンがあります。
こうした設計をみると、本当に多くの配慮があることがわかります。キーボードに詳しくない方でも、何をすべきかあまり悩まずに済みますし、なにより必要なパーツがすべて本体に収納されているというのが素晴らしいです。本体をぶん投げたりしない限りパーツを失くすこともありませんしね。
G512 Xの設計でもう1ついいところがあり、それは、スイッチ交換が非常に簡単であまり時間がかからないという点。ただ注意が必要なのは、交換用スイッチを収納する際に向きを間違えるとピンが曲がったり破損する恐れがあるということ。個人的には、どれだけ簡単でも人間の怠惰さを上回るほどではないと思うので、実際には頻繁にスイッチを交換することはないと考えます。それでもゲームと仕事など用途でそれなりの頻度で切り替える必要があり、なおかつ面倒くささに打ち勝つ方もいると思いますので、ご注意を。
まとめ:プロ向けではないが独自性はある
改めて言いますが、G512 Xをプロ向けのゲーミングキーボードとは考えないほうがいいでしょう。
たとえば、マルチアクション機能などは便利で魅力的ではありますが、アナログスイッチが活躍する競技シーンではそれほど有用とは限りません。競技タイトルとしてあげられる『Counter-Strike 2』や『VALORANT』のプレイヤーが、1つのキーに複数の動作を割り当てようとは考えないでしょう。
レビュー中にSAPPリングが着いているかどうか忘れてしまい、誤操作してしまうこともありました。カスタマイズ性が高いのはいいのですが、こういったことも起こるので「即座にデフォルト設定に戻せるボタン」があればうれしかったなあとも思いましたね。
180ドル以下でも、優れたキーボードはたくさんあります。あるいは40ドルほど足せばフルメタルボディでより高性能なキーボードも買えます。それでも、G512 Xには「アナログキーボードを長く試せる入門機」としての独自性があります。メカニカルか、アナログか。まだ自分の好みを決めかねているなら、このキーボードはかなりおもしろい選択肢かもしれません。

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