リングで謝罪「迷惑お掛けしました」 ライセンス停止処分から1年…「ミライ☆モンスター」松本圭佑が取り戻した笑顔
松本圭佑VS龍王
ボクシングの「フェニックスバトル スーパーフェザー級1000万円トーナメント」準々決勝が12日、東京・後楽園ホールで行われ、元日本同級王者・松本圭佑(大橋)が同級7位の龍王(角海老宝石)に3回35秒TKO勝ち。前日計量失敗によるライセンス停止処分から約1年。家族への思いを力に変えた26歳が、再起の一歩を踏み出した。
「ミライ☆モンスター」がリングに帰ってきた。松本は序盤から主導権を握り攻勢に出る。2回には龍王の左眼付近をカット。3回には強烈ワンツーから放った右ストレートが顔面を捉える。相手はリングに崩れ落ち、レフェリーが試合を止めた。勝利の瞬間は父の松本好二トレーナーと抱き合い、喜びを分かち合った。
昨年3月、日本同級王座の5度目の防衛戦で前日計量を行えず、試合を棄権。1年のライセンス停止処分を受けた。見事な復帰を果たしたが、リング上の勝利インタビューでは「たくさんの方に迷惑をお掛けしました」と謝罪。笑顔はなかった。
「ここで負けてしまったら“引退”という文字が浮かぶくらい懸けていた」。
強い覚悟を打ち明けると客席からは「待っていたぞ!」と温かい声が飛んだ。声援や拍手を噛みしめるように「過去の過ちを払拭していかないといけない。次に向けてしっかりと頑張りたい」と丁寧に言葉を紡いだ。
父に反抗…支えてくれた妻と愛する娘
将来の可能性を秘めたアスリートを応援するフジテレビ系バラエティー番組「ミライ☆モンスター」で注目を集めていた松本。この日もテレビカメラが密着していた。
前戦は24年10月。1年7か月ぶりの試合となったが、初めて父に反抗したことを告白した。練習の最後のスパーリングで、「シャキっとしろ!」と喝を入れられ、「分かっているよ!」と歯向かった。後がない状況の重圧と、減量が佳境で思うように動けない苦しさが重なっていた。それでも父の好二は「僕は逆に良しと思った」と、息子の決意と変化を前向きに受け止めていた。
支えてくれたのは父だけではない。昨年、妻・沙弥さんとの間に長女の糸詩(しらべ)ちゃんが生まれた。試合翌日13日には1歳の誕生日を迎える。
「妻は里帰りで新生児の期間、ほとんど向こうの実家で面倒を見てもらった。僕は試合も出ていないし、働いてもいなかったので。本当は手伝わないといけなかった。妻は生活のために出産の後、すぐにバイトに出てくれた」と振り返った。
「子どもが生まれてすぐ、僕の収入が安定しないこととか、情けないない気持ちになった」と、言葉の節々に自責の念が滲む。その上で「逆にこういう期間中に天使じゃないですけど、可愛い子が生まれてきたことも励ましになった。全部ひっくるめて頑張らなきゃと思った」と覚悟を決めた。
味わった挫折も、父との鍛錬も、家族への思いも心身に刻み、ミライ☆モンスターは再び前に進む。
戦績は26歳の松本が13勝(9KO)、28歳の龍王が12勝(7KO)4敗1分。
(THE ANSWER編集部・澤田 直人 / Naoto Sawada)
