12日の衆院安全保障委員会で、元救急医の国民民主党・福田徹議員が、自衛隊の医官に救急医や外科医が少ない問題を取り上げた。小泉進次郎防衛大臣も「戦傷医療対処において重要な緊急外科手術の執刀が可能な外科系の医官や救急医などをさらに確保していく必要がある」とその必要性を認めた。

【映像】救急医の2倍小児科医が…自衛隊専門医の内訳

 福田議員は「私、政治家となるまで救急医でして自衛官の治療も行ってまいりました。訓練中に大けがを負われてヘリで搬送された自衛官の治療を行ったこともあります。現在病院、部隊、医務室など隊員のために国民のために働かれている自衛隊の医官に心から敬意を表しつつ、今迫っております厳しく複雑となっている安全保障環境において必ず隊員の命と健康を守ることができる、未来に望まれる医官の育成と医療の仕組みづくりを目指して質疑をさせていただきたい」と述べて質問を始めた。

 そして取り上げたのが、自衛隊医官の専門医の内訳だ。「専門医資格を持つ医官550名のうち救急専門医は20名、外科専門医は60名。一方で内科系の専門医は170名、そして小児科の専門医が40名、産婦人科専門医も20名います。今、救急科の専門医よりも小児科の専門医が多いという現状があります。この現在の医官の専門性の内訳は、我が国が目指す安全保障戦略と合ったものであるか、認識を教えてください」と質問した。

 小泉進次郎防衛大臣は「令和6年度末の自衛隊医官の定員は約1100名で充足率は約9割となっております。そして専門医のうち内科は約3割、外科は約1割です。今後戦傷医療対処において重要な緊急外科手術の執刀が可能な外科系の医官や救急医などをさらに確保していく必要があると考えています。また戦傷医療対処能力の向上という点においてはPTSD対策やリハビリテーション体制に必要な精神科やリハビリテーション科、集中治療能力のある麻酔科や内科なども重要と考えております」と答えた。

 福田議員は続けて、防衛医大卒の医官が、せっかく学生時代に防衛医学という他の大学にはない講義を受け、卒業後には普通の医師が経験しない仕事をしているにもかかわらず、普通の医学部を卒業した医師と同じようなキャリアを歩んでいると指摘。「実際私も医官の方からお話を伺うと、どうしても義務勤務である9年間を超えた後、いわゆる一般の医師になった後、自分が思い描くキャリアを考えるとなかなか自衛隊の医師であるということに専門性を置きづらい、もっと一般的に使われる医療の専門性を持ちたいという思いがあるのも事実だと思うんですよね。ここは今後これだけ変化している安全保障環境のもとで防衛医大という大学、医学部がある理由はまさにそこ(自衛隊医師としての専門性)にあると思っていますので、ある程度改善していく必要はあるのではないか」と、防衛医大は一般の医大とは異なる医師の育成が必要だと主張した。

 そして「例えば訓練中に事故で負傷者が出た場合、現場ではどのような対応がなされるのか、医官はどのように関わるのか」と質問。

 防衛省の日下大臣官房衛生監は「一般的に部隊訓練においては衛生隊員が同行します。仮に訓練で負傷者が発生し救命処置が必要とされる場合は、現場では同行する衛生隊員が持つ能力の範囲内で必要な処置を行い、負傷の程度により部外診療機関に救急搬送を行います。また衛生隊員ではない一般の隊員についても日頃から隊員間救護の観点から止血法や心臓マッサージなど救急法の訓練を受けており、必要に応じて対応します」とし、「医官の同行は訓練の規模や特性を踏まえて判断されており、全ての訓練に同行しているわけではありません」と答えた。

 福田議員は「ちょっと厳しい言い方をすると、いわゆる学校の運動会で怪我をされた方がいると保健室の先生が初期手当をして救急車を呼ぶ。このオペレーションとものすごく違うかというとそうでもないと受け止める方もいると思うんですよね。実際私も訓練で怪我をされた自衛官を受け入れるとき、普通に私が勤務している病院に前もって電話が来たりして『受け入れていただけますか』というところからスタートでした」と経験談を披露。

 そして「私が考える自衛隊における医療、医官の未来について少し提案させてください。まず防衛医大の卒業生はやっぱり多くを救急医療や外科医療が得意な専門とする医師にすべきだと思っています。その上でそういう医師をつくるために、今は自衛隊中央病院や防衛医大で初期研修されていると思うのですが、全国にある救急医療をしっかり習熟できる病院にその医官を配置して、できればそれらの病院は基地や訓練する予定のある土地に近い病院にしておく。そこに自衛隊の医官を配置しておいて、そして万が一基地や訓練で負傷者が発生したら、その病院で必ずすぐに受け入れる。救急がすごくできる病院ですから、必ず受け入れる、この協定を結んでおくとすごくいいと思うんですよね」と提案。

 続けて「そして万が一、有事や災害で、ある1カ所に救急医療のできる優秀な医官が多く必要だとなったら、その時は全国の病院からそこへ集合させる。この仕組みをつくるだけでおそらく救急能力、外科能力の高い医官を多く育てること、同時に今基地や訓練で起こった負傷者に最善の医療を行う、これを同時進行でできると思う」と述べた。

 これに小泉大臣は「私と全く同感です。方向性としては同じで自衛隊病院のまず質を上げること、これは隊員や隊員のご家族にとって自衛隊に入っていればいい医療サービスが受けられる、そして万が一の時も自分たちには質の高い医療が提供される、これは自衛隊員のことを大切にする自衛隊であらなければならないという観点からも極めて重要だと思っています。一方で自衛隊病院だけで補うことができないことについて一般の病院や国立の病院、医療機関との連携を強化すること、このことについても全く同じ考えです。今すでに防衛省と厚労省でも、三文書の改定の中でも戦傷医療だけに限らずこの自衛隊の医療の充実についても今議論の積み上げを、私からも指示を出しているところですから、スピード感を持って迅速に今動いてくれています。後押しいただいて大変ありがたく思います」と述べた。

 福田議員は「連携は今すぐできます。病院側はやっぱり連携していて、事前から頼むよと言われていれば喜んで受けます。ぜひ現場の自衛官のために一刻も早く、基地や訓練の近くの優秀な病院としっかり連携を築いていただいて、すぐに治療を始められるような体制をつくっていただけたらと思います」と述べて質疑を終えた。(ABEMA NEWS)