秋になると私たちの目を引く、紅葉や黄葉の仕組みはとは?【植物の話】

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紅葉や黄葉の仕組みは?

葉の老化現象のひとつで、養分の回収作業

紅葉や黄葉のことを昔は「もみち、もみつ」といったことから「もみぢ」、「もみじ」へと変化したといわれています。モミジとは、落葉の前に葉の色が緑から変化する現象を表し、そのように変化する植物を一般にモミジとよぶようになりました。

カエデは葉の様子がカエルの手に似ていることからそうよばれるようになったといわれていますが、ふつうはイロハモミジのことで、やはり紅葉や黄葉をします。こちらはれっきとした植物名というより、ムクロジ科カエデ属という分類名の省略です。

しかし、カエデもモミジもこのカエデ属の木のことを指しますが、単独のカエデやモミジという種名はありません。たとえば、日本でもっともよく見られるのは、イロハモミジ(イロハカエデとも)です。このように種名は、正式には~カエデ、~モミジという形になりますが、紅葉と黄葉のメカニズムは違います。

紅葉や黄葉、つまり「紅葉」はなぜ起きるのでしょうか。秋になるとイロハモミジやイチョウ(イチョウ科)などが一斉に紅葉してわたしたちの目を引きます。常緑樹の葉でも紅葉するものがありますが、秋の紅葉の時期と違ったり緑の葉と一緒の時期だったりして目立ちません。

紅葉は葉の老化現象のひとつです。葉が緑のままでいると、日差しが弱くなってきても、光合成がある程度進みます。しかし、葉には蒸散作用もありますから、葉が緑色のままでいると冬の厳しい季節に水不足になって枯れる可能性があります。そこで紅葉して落葉の準備に入ります。この準備作業が紅葉として現れるのです。さらに紅葉はそれまでに光合成で作られた養分の回収作業にもなっていて、ほかに無機養分の窒素が回収されます。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』
監修:稲垣栄洋  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
植物学者・静岡大学教授。1993年、岡山大学大学院農学研究科(当時)修了。農学博士。専攻は雑草生態学。1993年農林水産省入省。1995年静岡県入庁、農林技術研究所などを経て、2013年より静岡大学大学院教授。研究分野は農業生態学、雑草科学。