予算の新投資枠 成長と財政規律の両立を図れ
日本経済の成長を加速させる上で、硬直的な予算編成のあり方を見直すことは重要だ。
経済成長と財政健全化を両立させる新たな仕組みを練る必要がある。
政府が今夏にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を巡って、議論が本格化している。高市首相が掲げる「責任ある積極財政」を進めるため、予算編成のあり方や財政健全化の目標を抜本的に見直すという。
主題の一つが、危機管理投資や成長投資について複数年度にわたり予算を確保するという、「新たな投資枠」の設定だ。
憲法86条は、「内閣は、毎会計年度の予算を作成」すると明記し、予算単年度主義の原則を定めている。国会が会計年度ごとに審議し、議決を行うことで財政民主主義を守るという仕組みだ。
しかし、使い残した予算を年度末に無理をして消化するといった弊害が、長く指摘されてきた。
近年は、半導体やエネルギー、防衛など長期にわたり巨額投資を必要とする分野が増えている。にもかかわらず、単年度主義の制約で適切に資金を投じることができず、必要な部分は補正予算で手当てすることが常態化していた。
新たな予算編成の方針の下で、中長期に、どの程度の予算を投じていくのかが、企業からも見通しがつくようにして、積極的な投資を促していくことは大切だ。
ただしそれも、財政規律を揺るがさないことが大前提だ。国会のチェック機能が弱くなれば、予算が膨張する一方となり、負担が将来世代に転嫁されかねない。
投資枠の肥大化を抑える明確な基準を設け、事業の進捗(しんちょく)を管理する透明性の高い制度が必要になる。省益優先の無駄な事業の温床とならぬよう、事業を評価する制度を整えることも不可欠だ。
新投資枠の資金を確保していく上でも、財政健全化の目標設定が一段と重要性を増すだろう。
政府は、国と地方の基礎的財政収支(PB)を単年度で黒字化する目標よりも、債務残高の国内総生産比を安定的に引き下げることに重点を置くという。経済が成長すれば、相対的に債務残高の比率が下がるという論理だ。
だが、成長は金利上昇を伴い、国債の利払い費も増える。財務省は、2035年度の利払い費が26年度の3倍超となる約45兆円に増える可能性があると試算した。
PBの黒字化達成は、時間をかけて巨額の債務を減らす一里塚であることを忘れてはならない。
