66歳、自己資金ゼロで住み替え成功 住宅ローン不要の「不動産担保ローン」活用法

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定年後の「広すぎる家」問題 住み替えを阻む2つの壁

子どもが独立した後も広い家に住み続けることで、掃除や庭の手入れなど維持管理の負担は年々重くなります。加えて、若い頃には気にならなかった「駅からの距離」も、高齢になるにつれて暮らしの不便さとして感じられるようになります。

そんな不満から、住み替えを実行に移そうとすると大きな壁が立ちはだかります。
1つは「資金」、2つ目は「売り先行か買い先行か」という順番の問題です。特に高齢の場合、住宅ローンの返済期間が短くなるため、金融機関からの融資を受けにくいのが現実です。
今回ご紹介するのは、この2つの壁を乗り越えて住み替えを実現した、66歳の相談者の事例です。

夫婦二人では広すぎた家

広すぎて管理できない自宅、駅近のコンパクトな戸建に住み替えたい

相談者は、ファイナンシャルプランナーの紹介で当社にご相談いただきました。相談内容と物件の状況は以下の通りです。

【売却物件の概要】
・所在:神奈川県茅ヶ崎市
・駅から徒歩20分、海にも近い人気エリア
・土地面積483㎡、建物面積210㎡(築45年)
・問題点:広すぎて日常的な管理が行き届かない状態
・境界標が一部不明
・既存の借入なし

【住み替えの希望と条件】
・便利な場所にあるコンパクトな戸建への住み替え
・年齢が66歳のため、住宅ローンの利用が困難
・自己資金は使わず、売却代金で費用を賄いたい
・売却後に一定額を手元に残したい

土地の価値はあるものの、「年齢的に融資が難しい」「自己資金は使いたくない」という条件が重なり、一般的な住み替え方法では解決が難しいケースでした。

査定と資金計画 1億円超の査定額と「先行購入」という選択

当社ではまず物件調査と価格査定を実施しました。
周辺の取引事例や売出し物件と比較した結果、査定額は1億円超。最低敷地面積100㎡の地域のため4区画への分割も可能で、一般のエンドユーザーよりも不動産買取会社のほうが高値をつけると予想されました。

次に「売り先行」か「買い先行」かを検討しました。
相談者の意向は「住み替えが先にあっての買い替え」。希望するエリアの戸建の総額は7000~7500万円程度と予想されましたが、66歳では住宅ローンの返済期間が極端に短くなり、現実的ではありません。万が一、思った金額で売却できなかった場合、想定外の借入れだけが残ってしまうリスクもありました。

そこで活用したのが「不動産担保ローン」です。これは自宅を担保に融資を受ける仕組みで、住宅ローンとは異なり、年齢や返済期間の制約が比較的緩やかです(※金融機関によって条件が異なります)。
相談者が以前からつき合いのある信用金庫に当社の査定書を持参して相談したところ、旧自宅を担保とした建物建築資金の融資については、事前段階ながら見通しが立ちました。これにより、売却前でも住み替え先の土地購入費・建物建築費・諸費用を確保できる道筋が開けたのです。

売却価格下落リスク回避するための事前対策

資金スキームが固まった段階で、もうひと手間かけてリスクを減らすため、事前に抑えることにしました。万が一に備え、当初の査定金額を絶対に下回らないよう、複数の不動産買取会社にあらかじめ打診しておいたのです。
実際に2社から「当初の査定金額であれば購入できる」という確約を得ました。
これは、相談者が不動産担保ローンを組んで新居に引越した後、旧自宅が「思った金額で売れなかった」という最悪の事態を回避するための布石です。査定額以上での売却を目指しながらも、最低限の売却価格を担保しておくことで、相談者が安心して住み替えを進められる環境を整えました。
なお、このタイミングで売却契約を締結してしまうと、引き渡し時期が不明確なまま約定の引渡し日を迎えられず、違約金が発生するリスクがあります。そのためあくまでもこれは「抑えの不動産会社をキープする」にとどめ、正式な売却活動は新居の完成時期が明確になってから開始することにしました。

理想の物件探しには時間がかかる

理想の物件探しに約1年ようやく見つけた理想の土地

資金の目処が立ったところで、本格的な物件探しがスタートしました。
当社からは不動産会社専用サイトの新規情報や未公開物件をこまめに紹介、相談者からもインターネットで気になる物件を見つけるたびに連絡をいただきます。

ところが、希望エリア・間取り・予算の条件が重なり、なかなかしっくりくる物件が見つかりません。それでも粘り強く探し続けること約1年、ようやく希望条件に合う物件が見つかりました。
駅近で南道路、171㎡の土地に希望の間取りが収まることも確認。その間、旧自宅の境界確定・測量も先行して進めており、隣地所有者の立会いや境界標の設置もスムーズに完了していました。

信用金庫からの融資承認を経て土地を購入し、ハウスメーカーによる建物の建築が始まりました。総額は当初の見込みから大幅に増え8000万円超となりましたが、不動産担保ローンの枠内で対応できました。

実際の売却ではプライート入札で査定額を1300万円UP

建物の完成時期が見えてきたところで、いよいよ旧自宅の売却活動を開始しました。
まず不動産情報サイト「アットホーム」にエンドユーザー向けのみで情報を公開しました。不動産会社専用サイトへの掲載を避けたのは、買取会社に情報が知れ渡る前に、エンドユーザーからの反応を確かめるためです。
買取会社には、公開情報よりも未公開で直接提案した方が高値がつきやすいという事情があり、情報管理は売却価格に直結します。とはいえ、結果として査定額を大きく上回る価格設定だったためエンドユーザーからの問い合わせはありませんでした。

そこで次の手として「プライベート入札」を実施します。これは、その地域で高値買取の実績がある不動産買取会社を数社に絞り込み、非公開で競争入札を行う手法です。
不特定多数が参加する一般入札では「買えるかどうかもわからない」と感じた各社が金額を抑えがちですが、参加者が限定されたプライベート入札では、各社が落札を意識して強気の金額を提示しやすくなります。売主にとっては、競争原理を働かせながら価格を引き上げられる有効な手段なのです。

最低落札価格を当初査定金額に設定して情報を発信すると、参加各社から想定通り高値が提示されました。最終的に当初査定額を約1300万円上回る価格で落札が決定。後日、落札した不動産買取会社と売買契約を締結しました。

自己資金ゼロ、住宅ローンを使わなくても家は建てられる

建物が完成すると、信用金庫からの融資で残代金と諸費用を支払い、相談者は新居に引越しました。その後、旧自宅の引き渡しに向けた調整を経て、買主に所有権と鍵を引き渡し、売却代金の一部で信用金庫への融資を完済。抵当権の抹消も終わり、相談者の「より良い住まいへのお住み替え」がすべて完了しました。

今回の案件のポイントは「お金のつくり方」でした。住宅ローンが使えない高齢者でも、自宅に担保価値があれば不動産担保ローンという選択肢があります。
ただし、融資である以上、住み替え完了後に計画通りの金額で売却し、確実に返済できるかどうかが重要です。住み替えには注意すべきポイントが多く、信頼できる不動産コンサルタントへの相談が解決への近道といえます。