アパグループ・元谷一志社長兼CEOに聞く!「日本一のホテルチェーンの今後の戦略とは?」
元谷 今年の3月に高知県でフランチャイズ(FC)のホテルがオープンすると、46都道府県に進出したことになります。残る島根県にも進出して47都道府県進出を達成したいと思っています。その中での当社の出店戦略は「選択と集中」です。20の政令指定都市と23の東京特別区を重点地区として直営を中心としたドミナント出店になります。
それ以外のエリアは基本的にFC展開で拡充していこうと考えています。最近は群馬県太田市などでもFCでオープンしたのですが、地方中核都市で複数のアパホテルをFC展開しているオーナーが積極的に店舗拡大を進めるケースも増えています。
22年から始まった中期5カ年計画では27年11月期グループ連結売上高2000億円、経常利益450億円を目指し、FCも含めたアパホテルネットワークの客室数を15万室にするという目標を掲げていました。足元では売上高も既に今期が2667億円で、経常利益も996億円と倍以上。客室数も14万2000室を超えていますので、おそらく全ての数値を前倒しで達成できるのではないかと思っています。
─ この要因とは?
元谷 1つは訪日客が非常に多いことです。去年は大阪・関西万博の特需もありました。もう1つがインバウンドも特定の国に依存していないという点です。当社のホテル利用者のトップは米国で、台湾、韓国、中国はその次になります。全方位外交でやっていることが大きいですね。
─ 一方で海外展開は、どのように進めていきますか。
元谷 当社は16年にカナダのホテルチェーン「コースト・ホテル」を買収しました。北米中心に約50棟、約5000室を展開していますが、今後は西海岸を南下するように、サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴ、あるいは幅を広げてラスベガスやヒューストンなどにも展開していく予定です。
北米でブランドをしっかりと確立していければ、いずれ逆輸入の形でコーストブランドを日本のリゾートでも展開していきたいと思っています。
創業者の父から学んだこと
─ 先ほどの直営とFCが主体になるのですか。
元谷 もちろん、店舗数が多くなれば顧客を奪い合う地域も出てくるでしょう。そこで当社は昨年に「the b」というブランドを買収しました。買収時、17ホテル2643室だったブランドが19ホテル2718室に増えました。このブランドは賃貸や運営受託(MC)方式のホテルとなり、展開力が早い都市型のホテルチェーンになります。
直営だと、どうしても土地や建物の取得から始まって時間がかかりますので、素早く出店できる上に顧客の奪い合いも解決できるこのブランドもどんどん展開し、アパホテルの「A」、the bの「B」、コースト・ホテルの「C」をとった「ABC包囲網」を進めていきます。
これができれば、ポートフォリオの見直しにもつながり、日本では人口減少社会で成長が厳しくなっても、それまであまりアパが強くなかった米ドルを基軸とする経営体制を構築することにもなります。今後は北米の資産比率を上げていくことも視野に入れています。
─ では、2月11日に亡くなった会長・外志雄氏の教えはどのようなものでしたか。
元谷 幼少期から「情弱になるな」と言われてきました。幼少期を過ごした金沢に居座っていては情弱になりがちだと。バブル期に東京で地価がピークを迎えたのが1990年でしたが、金沢は93年。東京で起こったことは遅れて地方で起こってくる。そういった変化に対して、ビビッドに反応できるだけの柔軟性とアンテナの高さを持てということを会長から教わったと思っています。
そんな父を支えた母もアパホテルの社長として当社の広告塔を続けていくと思います。母については「余人をもって代え難し」と私もいつも言っていますので、今後も広告塔として頑張っていって欲しいと思います。
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