煮込みとワインを堪能できる東京の店6選 王道ビストロから居酒屋まで
ふわりと湯気の立ち上る料理がなんとも恋しい季節です。その代表の煮込み料理は、冬がまさに本番といったところ。あとはゆっくり楽しみたいワインを合わせて……。ほかにもオーブン料理など、熱々系もご紹介します!
やっぱりこれが冬のごちそう!手間ひまかけた王道カスレ『ビストロM05(エムゼロファイブ)』@新中野
メニューに手書きされているのは、レバームースにキッシュ、プティ・サレと、これぞビストロ!と膝を打つ、王道かつオーセンティックな料理たち。しかもどの皿も「お腹いっぱい食べていって」と語りかけてくるような気取らないボリュームに、胃袋のスイッチもパチンと入る。
これらをひとりでせっせと作っているのが店主の木村さん。開店から3回目の冬がやってきて、日々の仕事も手に馴染んできた頃合いだ。そんな中、今期から満を辞して新たに迎えた料理が「カスレ」。
カスレ4500円、ワイン:グラス1200円〜、ボトル4400円〜

『ビストロM05(エムゼロファイブ)』(手前)カスレ 4500円 (奥)ワイン:グラス 1200円〜、ボトル 4400円〜 仕上げにグリルの火に当て、パリッと仕上げた香ばしさもたまらない
水で戻した白インゲン豆と豚足を自家製ブイヨンでコトコト煮込み、ソーセージも自作して、鴨のモモ肉と豚肩ロースはそれぞれコンフィに。膨大な手間ひまを器の中で集合させる。食べ方のコツは熱々のうちに全部を切り分け、ごちゃ混ぜにしてスプーンやフォークで豪快にパクリ。
響き合う具材の旨みと湯気の向こうの誰かの笑顔がワインをもっと進ませる。こんなひと皿に出合えたならば、冬の寒さもいつもより暖かい。

『ビストロM05(エムゼロファイブ)』店主 木村友亮さん
店主:木村友亮さん「ワインも料理に合わせて種類豊富に揃えています」

『ビストロM05(エムゼロファイブ)』
[店名]『ビストロM05(エムゼロファイブ)』
[住所]東京都中野区本町4-17-12コミヤビル1階
[電話]050-5600-5458
[営業時間]12時〜14時半(14時LO)※水・金・土・日のみ、17時半〜23時(フード21時、ドリンク22時半LO)
[休日]月
[交通]地下鉄丸ノ内線新中野駅3番出口から徒歩5分
かの国の土地に根付いた飾らぬ滋味がワインを呼ぶ『El Pilon(エル ピロン)』@築地
冬のスペイン、とくに内陸のマドリードはこれがなくっちゃ始まらない。「カジョス」は、ハチノスなどを煮込んだスペイン版モツ煮込み。グツグツと音を立ててカスエラ(伝統的な土鍋)で運ばれる姿は、無骨ながらも“絶対に旨い”と確信させてくれる。
カジョスのマドリッド風1400円、ワイン:グラス700円〜

『El Pilon(エル ピロン)』(手前)カジョスのマドリッド風 1400円 (奥)ワイン:グラス 700円〜 冬は深々と冷え込むスペインの首都マドリードの名物が「カジョス」
カツオ節を思わせるスモーキーな香りの正体はパプリカパウダー。この独特な風味が特徴で、食べればまったりとした旨みが口いっぱいに広がる。
店主の三原さんは、若い頃にスペインで暮らしていたこともあるとか。それだけに、この店の料理には、現地らしい素朴さや大らかさが浸みこんでいる。
この冬、新しく加わった「レンズ豆の煮込み」もまさにそれ。家庭でよく食べられるというレンズ豆に派手さはないが、食べ進むほどにしみじみと旨い。そこには、スペインでポピュラーな血のソーセージ、モルシージャのコクがひと役買っているのだ。
おおらかで力強い煮込みと、果実味豊かな赤ワインを交互にやれば、体の芯から、ポッカポカだ。

『El Pilon(エル ピロン)』店主 三原晃太郎さん
店主:三原晃太郎さん「季節により色々おすすめ料理も登場します」

『El Pilon(エル ピロン)』
[店名]『El Pilon(エル ピロン)』
[住所]東京都中央区築地2-14-2セリコ東銀座1階
[電話]03-6228-4499
[営業時間]17時〜23時
[休日]水
[交通]地下鉄日比谷線築地駅2番出口から徒歩約2分
たくさんの具材が響き合う旨さにほっこり『ジャカランダ』@西小山
アンティークの家具に作家ものの器たち、それに壁には本誌『おとなの週末』でもお馴染みの森山大道氏の写真が飾られている。それらがセンス良くまとまりつつも、気軽に1杯と立ち寄りたくなる感じ。普段着の気分にはこんな店が一番だ。
それはこちらの料理も同じで、華やかすぎない味がほっと心を和ませる。まずはちょっと珍しい焼きたてのトルティージャに手を伸ばす。卵にポテトと玉ねぎ少々の組み立てや味付けもシンプルだ。それでも半熟に仕上げたとろ〜り感に思わずにんまりしてしまう。
そして湯気を上げながらやってきたのが真打ち「コシード」。舌先で潰れるほど柔らかく煮たヒヨコ豆に、豚バラ肉もほろっほろ。
コシード1280円、カバ800円〜

『ジャカランダ』(左)コシード 1280円 (右)カバ 800円〜 湯気に乗ってハモンイベリコの熟成香がふわり。具材は豚足や豚耳なども入って、まったりとした口当たりやコクから、野菜の滋味も広がってくる
生ハムやチョリソーからの熟成香も広がって、溶けて姿はなくなったキャベツの甘みもにじんでいる。風邪の時でも食べたくなるほどまあるくやさしい味なのに、素材の味や香りが変わるがわるにやってきて、思わずワインに手招きされる。心地良い酸味と繊細な泡立ちのカバもまた、絶好の合いの手だ。

『ジャカランダ』(左から)店長 上地瑠さん、西田裕彦さん
店長:上地瑠さん、西田裕彦さん「シェリーと料理のペアリングもお試しを!」

『ジャカランダ』
[店名]『ジャカランダ』
[住所]東京都目黒区原町1-9-4
[電話]03-6451-2902
[営業時間]18時〜翌1時半、土・日・祝:15時〜翌1時
[休日]木
[交通]東急目黒線西小山駅から徒歩1分
エキゾチックな香りに寄り添うナチュラルワイン『獅天鶏飯ハナレ』@渋谷
同じフロアのお向かいは古式ゆかしい雀荘で、窓から下を見れば渋谷横丁の提灯が揺れている。それがポップな店内の風情と妙にマッチして、座れば気分はシンガポールのホーカーセンター(屋台街)へひとっ飛び。
どの国にも自慢の煮込み料理があるのは世界共通。かの地の国民食が「バクテー」だ。豚のスペアリブをたっぷりの白胡椒やニンニクと強火で炊いて、身をホロホロに仕上げつつ骨からエキスも抽出する。
バクテー(並)1320円、バクテー用揚げパン385円、オレンジワイングラス1210円

『獅天鶏飯ハナレ』(手前から時計回りに)バクテー(並) 1320円、バクテー用揚げパン 385円、オレンジワイン:グラス 1210円 シンプルな味わいの中にも胡椒の刺激や八角の香りがアクセント。食べ応えのある身はもちろん、スープに浸した揚げパンでもワインが進む
豪快にガブッとやってから熱々のスープで追いかければ、スパイシーな刺激の後から八角の香りもおだやかに膨らんでくる。そんなシンガポール料理(と中華も少々)にナチュラルワインを持ってくるのがこちらのスタイル。
「特に複雑味のあるオレンジや、軽やかな旨みを持つロゼとの相性が抜群です」と店長の相場さん。
薬膳スパイスのエキゾチックな香りもチリソースのコクのある甘みも、それらがしなやかに受け止める。エスニック×ナチュールの変化球的ペアリングにまんまとハマってしまった。

『獅天鶏飯ハナレ』店長 相場蒼馬さん
店長:相場蒼馬さん「ワインリスト以外にも各国のボトルを揃えています」

『獅天鶏飯ハナレ』どこかアジアの風を感じる店内でグラスを傾ければ気分も盛り上がること間違いなし
[店名]『獅天鶏飯ハナレ』
[住所]東京都渋谷区渋谷1-24-7渋谷フラットビル2階
[電話]03-6712-5363
[営業時間]17時〜23時半(フード22時半、ドリンク23時LO)、土・日・祝は12時〜
[休日]不定休
[交通]地下鉄副都心線ほか渋谷駅B2出口から徒歩1分
ナチュラルワインと燗酒をジビエ煮込みで行ったり来たり『地酒や もっと』@大塚
この店のある大塚は、気の利いたつまみと地酒を出す店がわんさかあって、10年ほど前から日本酒の聖地なんて呼ばれている。店ごとの個性も様々で、こちらを代表するのがジビエと燗酒だ。
「日本酒は燗に向く純米酒だけ。完全発酵の造りや味わいにナチュラルワインと共通する部分があり、近年はワインにも注力してます」とお燗番の井坂さん。
そのリストに並ぶのは、白・赤・オレンジを合わせ10種ほど。料理との調和に狙いを定め、酸がきれいに立った味にメリハリのあるものを選んでいる。
一方のジビエは腕利きの猟師から届く、狸に猪、はたまたキョンなど。これらを使った煮込みが寒い時期の定番だ。この日は穴熊で、たっぷりたたえた脂からにじむ甘みとコクはどこまでも上品。
穴熊と大浦牛蒡ふきのとうかんずり味噌煮込み1690円、ワイン:グラス1000円〜、ボトル5300円〜

『地酒や もっと』(左)穴熊と大浦牛蒡 ふきのとう かんずり味噌煮込み 1690円 (右)ワイン:グラス 1000円〜、ボトル 5300円〜 ふきのとうバターや自家製のかんずり、味噌で煮込まれ複雑な旨みとコクが膨らむ。仕上げにじゃがいものピュレをあしらって、どこか洋の風情も。日により蝦夷鹿のスパイス煮込みなども登場
味噌や自家製かんずりの熟成感も手伝って、スムーズに赤ワインを誘ってくる。もちろん途中で燗酒に切り替えるのも大いにあり!料理を挟んでグラスとお猪口を行ったり来たり。酒好きにはたまらぬ時間を過ごせるはずだ。

『地酒や もっと』店主 水永英伸さん
店主:水永英伸さん「ヒグマや穴熊のしゃぶしゃぶコースもあります」

『地酒や もっと』
[店名]『地酒や もっと』
[住所]東京都豊島区南大塚2-44-2パートナーズビル1階
[電話]03-3946-6008
[営業時間]17時半〜23時(22時LO)
[休日]日または祝
[交通]JR山手線大塚駅南口から徒歩2分
楽しい夜の始まりはお手頃ワインと煮込みから『煮込み屋ぐっつ』@中野
ビールやサワーが並ぶドリンクメニューの端っこに書かれていたのが“ワインリスト有ります”の文字。さっそくお手並拝見してみたら、度肝を抜かれてしまった。
ずらっと並んだボトルの銘柄は約40種。その多くが今どきまさかの2千円台なのだ(!)。しかも安くて味もいいでお馴染みのチリ産ばかりでなく、仏や伊、国産までもと産地も散りばめられている。
「自分もワイン好きだから飲み手が増えればと思って」と話すのがオーナー。16年前のオープンからほとんど値上げをせずに頑張ってきた。
その想いは料理にも共通していて、店名のように看板を張るのが各種の煮込み。高価な食材を使わずとも、たっぷり込めた手間と時間が味を育ててくれる。
もつ煮(赤ワイン味噌)495円、牛すじトマト煮517円、ボトルワイン2000円〜、牛タン柚子コショー煮550円

『煮込み屋ぐっつ』(手前から時計回りに)もつ煮(赤ワイン味噌) 495円 この値段でも牛もつオンリー。カツオの一番ダシに赤ワインと八丁味噌を合わせた煮汁が染みている、牛すじトマト煮 517円 じっくりコトコト煮込んでとろっとした口当たり、ボトルワイン 2000円〜、牛タン柚子コショー煮 550円 タンの旨みがあふれるスープに柚子の香りが芯を通し、シンプルながらもワインが進む味わい
例えば「牛タン柚子コショー煮」は、箸で切れる柔らかな身から旨みがジュワッとあふれて来るし、何度も下茹でをした「もつ煮」はクセがなく素材の滋味が立っている。それらをお供に、ワインを1本と言わずに2本、3本といけば痛快な夜になること間違いなしだ。

『煮込み屋ぐっつ』
[店名]『煮込み屋ぐっつ』
[住所]東京都中野区中野5-32-17
[電話]03-5318-2538
[営業時間]17時〜24時(23時LO)
[休日]月
[交通]JR中央線ほか中野駅北口から徒歩3分
撮影/西崎進也(M05、ジャカランダ、もっと、ぐっつ)、貝塚隆(El Pilon、獅天鶏飯ハナレ)、取材/菜々山いく子(M05、ジャカランダ、獅天鶏飯ハナレ、もっと、ぐっつ)、岡本ジュン(El Pilon)
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
※画像ギャラリーでは、ワインに合う絶品料理の画像をご覧いただけます
※月刊情報誌『おとなの週末』2026年2月号発売時点の情報です。
