韓国戦に登板したチェコのルカーシュ・エルコリ【写真:荒川祐史】

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連載「ベースボールの現在地」 チェコ代表の広報活動

「THE ANSWER」では、5日に開幕したワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に合わせて参加各国の野球を紹介する連載「ベースボールの現在地」を展開する。チェコ代表は2023年の前回大会で初出場、初勝利。野球以外の仕事を持つ兼業選手が多いことや、日本代表「侍ジャパン」との爽やかな交流も話題となった。今大会もさらなるファン獲得のために、熱心な広報活動が行われていた。

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 試合前の練習中、東京ドームのグラウンドで取材活動をしているとチェコ代表のパーカーを着たスタッフが駆け寄ってきた。「どうぞ、持っていってください!」。手渡されたのはチェコ代表のメディア用ガイドブック。開いてみると、監督・コーチも含めた選手名鑑が載っている。名前、年齢、ポジション、成績はもちろん、Job(仕事)の項目まである。そこに並ぶ職種は多種多様だ。

 フィリップ・チャプカ投手は「宇宙産業」、ルカーシュ・フロウフ投手は「原子力設備の技術者」、トーマシュ・オンドラ投手は「大動脈弁移植の製品専門家」。消防士や学校の先生もいれば、米名門イェール大進学を控えた高校生のマックス・プレイダ外野手もいる。興味深く拝読していると、「チェコ野球協会のマーケティング&広報部長」でもあるルカーシュ・エルコリ投手がやってきた。

 ガイドブック片手に声をかけると「気に入ってくれましたか?」とニンマリ。広報部長として6〜7人のチームでSNSを運用し、メディアガイドの準備や予算管理も担当したという。「あなたたち記者ができるだけ簡単にチェコ代表の情報を手に入れられるようにしたかったんです」。全50ページ。選手名鑑だけでなく、日本語訳付きでチェコ野球の歴史を紹介するページもある。

カタカナ「チェコ」ユニホームに込めたリスペクト

 私たちのことをもっと多くの人に知ってもらいたい――。ページをめくるたびに、そんな思いがヒシヒシと伝わってきた。5日の韓国戦で1回2/3を投げ、2安打2失点だったエルコリは言う。

「日本のファンがチェコ野球を愛してくれるのは本当に素晴らしいこと。もちろん私たちはサムライジャパンほど優れたチームではありませんが、仕事終わりに野球をして、この舞台に立っています。私たちのプレースタイル、競争力を皆さんが好きでいてくれて本当に嬉しいです。日本の野球愛は凄いですから。その一部になれるのは素敵なことです」

 3年前のWBCから、チェコと日本の間に野球を介した強い繋がりが生まれた。2月に宮崎で事前キャンプを行った際には、チェコ代表は大きくカタカナで「チェコ」の文字がデザインされたユニホームを着用。これもエルコリの発案だ。パベル・ハジム監督は「日本ファン、日本の野球、そして日本という国へ、ここ3年間していただいた素晴らしいことへの恩返し、リスペクトの証し」だと説明した。

 残念ながら今大会は4戦全敗でプールCの最下位に終わった。しかし、10日の最終戦では日本と7回まで0-0の接戦。最終的に0-9と大差がついたが、東京ドームの4万を超える観客から盛大な拍手が送られた。日本のファンに愛されたチェコ野球。グラウンド上で見せるプレーはもちろん、裏側で奔走する広報の存在もその一端を担っている。

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 3月5日に第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開幕。熱戦が続いている。2006年に第1回が行われてから20年、過去3回優勝した日本の強さが世界に認められる一方、国際大会を通じて世界の野球の距離は着実に縮まってきている。「THE ANSWER」では大会期間中「ベースボールの現在地」と題し、選手やスタッフが“国際野球”に挑む思いを伝える。他の種目と競技人口を比較すればマイナーと言われることもある野球。ただ世界中に、このゲームを愛する人がいる。注目される数年に一度の機会だからこそ、世界の野球の今を知り、ともに未来を考えるきっかけを作る。

(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)