「インド経済の成長には誰しも異論がないところだと思う。その成長を利益としていかに取り込むかが重要」(岡田氏)。そこで多くの日本企業が合弁で進出しているところ、住友不動産は「単独出資」で事業展開。

 用地取得、役所や近隣との折衝などが難しい国ではあるが、「単独でやることが、最もリスクが少ないと考えている」と話す。仮に合弁相手が難しい交渉をしていると、そこが「ブラックボックス」になり、問題が起きた時には手遅れにもなりかねない。「苦労はするが、その経験は我々の血となり肉となるし、参入障壁にもなる。リターンの最大化にもつながる」と強調。

 純利益で12期連続最高益を更新するなど、成長を続ける住友不動産だが、そこに対して意見をぶつけているのが、同社の大株主(議決権ベースで3%以上)で、「物言う株主」として知られる米エリオット・インベストメント・マネジメント。

 エリオットは住友不動産に対し「株主還元の低さ」、「過剰な政策保有株式」、「資本効率の低下」、「不十分なガバナンス」という4つの懸念点を示し、経営陣に迫ってきた。25年の株主総会前には、日本で初めての書簡を公表し、追加的施策が講じられなければ総会で経営陣に反対票を投じるとしていた。

 だが岡田氏は「彼らと経営の根本のところは一致している。彼らは投資家であり、株価を上げ、還元して欲しいという立場だが、我々も対話を始めた際の株価に満足してはいなかったので、そこも一致している。エリオットは建設的な対話ができる投資家」と前向き。

 ただ、還元や資本効率の規模やペースには隔たりがあり、今も対話は続く。住友の事業精神は「信用を重んじ、浮利を追わない」、「自身を利するとともに社会を利する」。株主だけでなく全てのステークホルダーとつながりながらの成長戦略である。