トイレに入っている時は手持ち無沙汰になるため、便座に座りながらスマートフォンをいじってしまいがちです。いつの間にかスマートフォンで見ていた動画や記事、プレイしているゲームに夢中になり、排便や排尿が終わっているのにまだスマートフォンを触り続けていた経験がある人も多いはず。ところが専門家は、「トイレでスマートフォンを使うといぼ痔(痔核)のリスクが劇的に高くなる危険性がある」と警告しています。

Using Your Phone on The Toilet May Dramatically Increase Risk of Hemorrhoids : ScienceAlert

https://www.sciencealert.com/using-your-phone-on-the-toilet-may-dramatically-increase-risk-of-hemorrhoids



トイレの中でスマートフォンを使うことと痔の関連性についての調査結果は、2025年5月にカリフォルニア州サンディエゴで開催された消化器病学・肝臓学・消化器内視鏡検査などの年次会議・Digestive Diseases Week (DDW) 2025で発表されました。発表したのは、マサチューセッツ州ボストンのベス・イスラエル・ディーコネス医療センターで消化器病学の医師を務めるトリシャー・サティヤ・パスリチャ氏です。

パスリチャ氏は、大腸内視鏡検査を受けた125人の被験者を対象に、トイレにおけるスマートフォンの使用習慣について尋ねました。被験者のうち40%以上がいぼ痔を患っており、93%が少なくとも週に1回はトイレでスマートフォンを使っていると回答しています。

なお、痔の中には細菌の化膿(かのう)による痔瘻(じろう)や、裂傷による切れ痔(じ)など複数の種類があります。いぼ痔とは、排便時に息んで肛門付近に圧力がかかることで、直腸や肛門の内側がうっ血したり血管が切れたりして腫れ上がった状態を指します。

トイレ中にスマートフォンで何をしているのか尋ねたところ、約50%は「ニュースを読んだ」と答えたほか、約44%は「ソーシャルメディアを見た」、約30%が「メールやテキストメッセージを送った」と答えました。被験者の中には、1回のトイレごとに6分以上の時間を費やしたと回答した人もいました。また、多くの人々は「スマートフォンのせいでトイレにいる時間が長くなったと思う」と答えたとのことです。



トイレにおけるスマートフォンの使用といぼ痔の関連性について調べたところ、トイレでスマートフォンを使用している人はいぼ痔のリスクが46%も高いことがわかりました。被験者の年齢・性別・体重・食物繊維の摂取量などは、結果に影響を与えなかったとのことです。

いぼ痔につながる要因としてはさまざまなものがありますが、一般的には排便時に肛門や直腸へ過度の圧力がかかることや、長すぎる排便時間、あるいは頻繁な排便などによって引き起こされると考えられています。

いくつかの研究では、トイレの便座に長時間座っていることがいぼ痔の要因であることが示唆されています。これは、長時間便座に座ることで肛門や直腸周りの血管が弱くなり、拡張することが原因だとのこと。

そのため、一部の医師は排便を10分以内に済ませるようアドバイスしているほか、中には3分以内で排便を終わらせるべきと主張する専門家もいます。後者の推奨事項は、「いぼ痔がある人はそうでない人よりも読書に多くの時間を費やしている」という、いぼ痔の患者100人を対象にした研究結果に基づいたものです。



科学系メディアのScience Alertは、トイレで読書をすること自体は新しいものではなく、植民地時代から人々はトイレで新聞を読んでいたと述べています。しかし、スマートフォンが人々の注目を集める程度は新聞を上回り、トイレという最優先事項から注意をそらす要因になっていると指摘しています。

Science Alertは、「詳細が判明するまでは、『トイレにいる時間を制限すること』が重要だと言えそうです。トイレにいる人の最優先事項は排便することであり、スマートフォンをスクロールすることではありません」と述べました。