竹内啓・大東建託社長

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建築費が高騰する中で…


「我々の事業が関わっている要素は3つしかない。建築費、金利、家賃の相関関係で成り立っている事業」と話すのは、大東建託社長の竹内啓氏。

 大東建託は賃貸住宅建設・賃貸住宅物件の一括借り上げ(サブリース)・不動産仲介を手掛ける企業。特に賃貸住宅管理戸数では2024年まで28年連続で業界首位に位置する。

 業績は25年3月期見通しで売上高1兆8300億円、営業利益1200億円と前期比増収増益を見込む。24年度から始まった中期経営計画の中では、最終年度の26年度には売上高2兆円の達成を目標にしている。

 だが、業界を取り巻く環境は決して楽観視できるものではない。建築費は高騰、金利は先高感がある中、家賃をどう設定するか、悩ましい課題でもある。竹内氏は「問題は、一般の消費者の方々が、どこまでの家賃をよしとして下さるか」と話す。

 2年前と比較して建築費は5割増加しているが、大東建託は建築費の値上げを2割強に抑えている。それは急激に家賃を上げると特に地方の入居者への影響が大きいから。

 その2年前から建築を始めた物件が、足元で完成を迎えているが、家賃水準は当時と比較して高い。ただ、東京など首都圏での入居は「問題ない」と竹内氏。このエリアの入居者には、例えば家賃が1万円上昇していても、今の相場だとして受け入れてもらえている。

 しかし地方に行くと、例えば家賃が2000円高いと入居が決まらないといった形で、家賃上昇への感応度が高い。そこで家賃上昇の影響で生じた空室を埋めるべく、時に割引をするなど収益とのバランスを取りながら対策を打っている。

 一般的に、賃貸住宅で入居者は賃料の未払いや退去時の原状回復費用に備えて、大家さんや管理会社に「敷金」を担保として預けているが、大東建託では敷金ではなく「クリーニング費」として明示し、その範囲内で原状回復することを謳う。

 大東建託も、例えば汚れを落としやすい壁紙や、1枚ずつ剥がして交換できるフローリングを使用するなどして、自社の負担を抑える工夫をしている。

 また、金利については確かに地方銀行でも貸出金利を上げるところが出てきているが、「金利は上がるけれども、貸出期間を従来の35年から40年、50年に伸ばすことでカバーするといった取り組みを進められている。これは追い風になっている」

 その意味で、大東建託が手掛けている賃貸住宅のサブリース事業は、長期目線で展開できるところが大きい。賃貸住宅のオーナーは相続税として課税される土地などの資産を持つ人々。更地の場合は固定資産税の軽減措置が使えないが、賃貸住宅を建てることで土地には軽減措置が適用される。

「皆さん、ご自身の資産を次世代につなぐことを考えておられるので、短期の収益ではなく、長期の安定を求めている。地方銀行さんにとっても良質なお客様と言える」

 その意味で、相続税の制度が現行のまま推移する限り、資産を持つ人々の賃貸住宅への需要は厚いということが言える。そのことを裏付けるかのように過去に大東建託を通じて賃貸住宅を建てたオーナーがリピーターとなり、2棟目、3棟目を建てているという。同社の年間受注件数のうち約7割がリピーターからのもの。「先輩方が長年積み上げてくれた信頼が、今の我々の事業を支えている」


 管理戸数は130万戸を超え、前述の通り業界首位。さらに今は過去に自社で建てた物件の建て替え需要も出てきている他、他社物件の建て替え要望もある。このため、受注件数は安定的に推移している。