「103万円の壁見直しで税収減」今週各県が一斉に地方サービスの危機を叫ぶ事態に 山形県は「どこの指示でもなく独自に」と担当者 ”壁問題”で国と自治体に期待する点を考える
現在国会で検討され、毎日のように報道されている、いわゆる「103万の壁」見直し問題。
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山形県の吉村美栄子知事は、きのうの記者会見で、103万円の壁について「究極論で言えばない方がいい」とするも、壁が見直されれば「地方にとっては深刻な税収減になる」とも話し、山形県の場合は県と市町村を合わせておよそ300億円もの減収になるとの試算結果を公表した。
※画像 吉村知事(きのう)
この規模の減収は無視できない数字だが、それは山形県だけではない。
ほぼ時を同じくして日本中の自治体が同じような試算結果を公表している。そして揃って「代替財源を何とかして」と述べている。
これは偶然なのだろうか。
■県の税政担当に直撃
ネット上では各県の動きについて「このタイミングで一気に地方から不満が」「どこかから指示があったのか」などの声がある一方・・・
「これは大きな数字」「デメリットもしっかり見ていかないと」という税収減に不安を覚える声や意見も見られた。
県の税政課に聞いた。
Qこの度の試算は、どこかから指示が? A「県税政課が独自で行った」
どうやら国から指示があったり、具体的な税収減に関する情報提供があったりしたわけではないようだ。
となると全国の自治体が試算結果を一気に出したのは偶然ということになるのだろうが・・・それだけ地方にとって壁問題は大きなものなのか。
Q県の上層部から試算の指示はあったのか? A「特にない。各県が数字を出し始めていたこと、また記者クラブから壁に関する質問が出されていると聞いていたので、必要なものとして算出した」
Qどのような手法で試算した? A「総務省の統計による納税者数をもとに、課税対象額(年収)ごとに納税者を均等に分布し計算した」
各年収帯に均等に分布となると正確性に欠ける数字になるように思うが(高年収の人も低年収の人も中央値付近の人も同じ人数となるため)、あくまで目安として算出したもののようだ。
■減収で地方のサービスはどうなる
吉村知事が会見でも口にした「地方サービスへの影響」はどうなるのだろうか。仮に山形県が300億円の減収となったからといって、サービスの低下には直結しない。
なぜなら、「地方交付税」があるからだ。
別の税制担当者によると・・・
地方交付税とは、国が地方の公共サービスを維持するために各自治体に配分するお金のこと。とてもよくできた仕組みで、仮に地方が資金不足になった場合でも、地方交付税が交付金となり自治体は地域サービスを守ることができる。
ただし、地方交付税は国が出す。
国に納税するのは国民。
資金が足りなくなれば国債が発行され、未来への借金となる。減収を単に補てんするという考えでは、結局国民が何らかのカタチで負担することになるのだ。
■問題の本質は
問題の本質は何か。結局のところ壁がどうのこうのという「だけ」の話ではなく・・・国と自治体には大きな視野で議論を期待したいと思うが、いかがか。
★国に期待することは
○壁はどうあるべきか ・・・物価も上がり、労働者の手取りを増やしていかなければならない、またパートなども含め多様な働き方が当たり前になりつつある中で、税制の「壁」がどうあるべきか議論が必要ではないか。
○国民の働く意欲と収入をどう維持するのか ・・・壁が原因で仮に働き控えなどが起きているとするならば、これらの問題を見直し、思いきり働いて納得して納税できる仕組みを作らなければならないのではないか。
★地方自治体に期待することは
○税収減に応じた政策の提案 ・・・仮に減収になりサービスに影響が出るようなら交付税で補てんされることになるのだろうが、各自治体は税収減を叫ぶだけではなく、税収減になった場合に備えて現在の政策を見つめなおすいい機会になるのではないか。
いずれにせよ、国民の声を聞き、未来を見た政策に期待したい。
