金華さばの鯖キーマ、鯖ガパオ、サバしゅうまい!挽肉料理専門店で「挽肉化したサバ」を満喫

増加中の「サバのキーマカレー」に新星登場!
近年、増加の一途をたどっているのが「サバカレー」。なかでも「サバのキーマカレー」を提供するお店が都内を中心に増えている。
そんななか、またまた期待の新星が登場! その名は『東京Qeema(キーマ)』。2022年9月、荻窪にオープンした挽き肉料理専門店だ。
看板メニューは、山形のブランド豚肉「最上川ポーク」の挽き肉を使った「キーマカレー」や「ガパオライス」。最上川ポークは旨みが豊富で甘みがあり、しっかりした肉質が魅力。その味わい、弾むような噛みごこちが存分に堪能できる逸品だ。


しかし、『東京Qeema』の「挽き肉」の定義は「肉」だけではない。サバファンよ、喜んでくれたまえ! もれなくサバも「挽き肉化」! キーマカレーなど「サバをほぐして」いわば「挽肉化」したメニューも味わえるのだ。
魚のなかでも、なぜサバなのか?
はい。オーナーの松井政貴さんは、無類のサバ好き。
そして、じつは松井さんがこの連載に登場するのは初めてではない。
松井さんは全国に展開するビアレストラン『キリンシティ』で長きにわたり、商品開発を担当していたお方。

『キリンシティ』でありとあらゆる国の料理を、ビールに合うメニューとして開発してきた。大のスパイスカレーファンでもあり、スパイス遣いもお手のものだ。
そして、ビールが無限になる「最強のサバグルメ」を開発、大好評を博した実績がある。ジェンヌもあまりのおいしさに卒倒しそうになる上に、まんまとビールが止まらなくなりました……。
キリンシティ退社後、自身のお店のメニュー開発にあたって、松井さんの頭の中にもれなく降臨したのが「サバ」だった。
そんな松井さんのサバメニュー。期待に胸が膨らむばかり! これは行くしかないでしょう!
サバそのものだけを使った「鯖キーマ」
「サバのおいしさを引き出すために、工夫を重ねましたよ、ジェンヌさん!」と笑顔で出迎えてくれた松井さん。『東京Qeema』の鯖キーマは、たんに「肉をサバ」に置き換えたわけではない。あくまで「サバ至上主義」で仕上げてある。
そもそも世の中のサバキーマは「サバ缶」を使っているケースが多い。しかし、『東京Qeema」の鯖キーマはサバそのものだけを使用。
「サバは厳選したものをまるごと仕入れて、さばいて使っています。手間はかかっても絶対にその方がおいしいです」とキッパリ語る松井さん。
そして挽き肉化するサバとして松井さんがチョイスしたのは、宮城県石巻が誇るブランドサバ「金華さば」だ。
なぜ?
「いや、もう金華さばしかないと思いました! なんだかんだいっても、ともかくバツグンにおいしい!」と大絶賛する松井さん。その魅力は「身質と脂のりのバランスがじつに優れていること」だと力をこめて語る。
さらに、「挽き肉目線」で見ても「最強」。
「旨みが強く、歯応えがしっかりあるけれど、ジューシーでしっとり。まさに、挽き肉向きです」と松井さん。「それに金華さばで作った料理は時間が経っても青魚特有のクセが出ることなく、いよいよもっておいしくなるんですよ。すごいです」。

思い入れたっぷりの金華さば。よって、調理のこだわりもハンパない。
金華さばをさばき、骨を取ってからフライパンで、皮目をパリッと香ばしく焼き上げる。完全に火が入ったところで、ひっくり返し、木べらでほぐす。
たんにガーッとほぐすわけではない。鯖キーマに適した「ほぐし方」でほぐすのだ。
「まず、フィレの真ん中に木べらを入れて、ポンと割ります」と松井さん。「続いて、木べらをたててドン、ドン! と大きめに6分割します。『ポンのドンドン!』です」
この後、サバを煮込んだり、料理を提供する際に再度温めなおすという過程において、さらに身がほぐれることを計算し尽くして、敢えて程よい大きさにする、という松井さんならではの「ほぐしの技」である。

ほぐしたサバにはカレー粉、クミン、隠し味に白ダシをかける。炒めた玉ねぎ、ショウガと合わせて水と白ワインでとろみが出るまで煮込む。
サバとの相性を考えて、ストレートな辛みがあり、オキアミが練り込まれたレッドカレーペーストをチョイス。こちらとホールトマト、カイエンペッパーを加えてさらに煮込み、仕上げにクミンをプラスして完成!

サバキーマカレーに合わせるライスは、ご近所にある大正15年創業の厳選米専門店『森田屋米店』から仕入れたもの。農家から直送された精米したてのお米に、カレーとの一体感を考えてタイのジャスミンライスを加え、香りをプラスする。
トッピングもサバ×カレーの味わいを引き立てるものをチョイス。レッドオニオン、セロリ、ナッツ、レモン、ミントをのせる。
野菜ソムリエの資格を持つ、松井さん。もれなくお野菜もたっぷり添える、が東京Qeema流だ。
では、いざ実食!
絶妙なサバのほぐし加減に感動!
金華さばがご覧のとおり、ザクザク! 複雑で爽快な辛みのカレーと絡みつつも、金華さば本来の華やかな旨みがしっかりと感じられる!
そして、なんといっても特筆すべきはサバのほぐし加減が絶妙。香ばしく身のホクッホク感がサバらしい、いや、素晴らしい! 結果なんとも「躍動感あふれる鯖キーマ」に! もー、「生きている鯖キーマ」ですってば。

ランチで提供中の「鯖キーマプレート」(1100円。ディナーは「鯖キーマ」のみ1000円)。千切りセロリやナッツなど多彩なトッピングも味をグンと引き立てる。ミントが予想以上にナイスアクセント!
そしてつまみにもなるんですってば! めちゃめちゃビールに合うんですってば! 鯖キーマ、ビール、鯖キーマ、ビールの無限ループ。特にこの時期は最高!
そんな鯖キーマはデビューするなり、リピーター続出。とりわけ女子がハマるケースが多いそう。そして、夜はおつまみとしても大好評!

まだある挽き肉メニュー! 「サバしゅうまい」
そして、『東京Qeema』にはもうひとつ、挽き肉化したサバを使った絶品料理がある。「サバしゅうまい」だ。
こちらも金華さばを使用。サバの身に最上川ポークの挽き肉をプラスした焼売も、松井さん渾身のサバを巧みに使いこなした逸品。
はい。もちろん、サバのほぐし方は「しゅうまい仕様」。
こちらもサバの身を香ばしく焼いてから、「砕くようにしてほぐします」と松井さん。こちらは「砕きほぐし」で挽き肉化。
もちろんのこと、それを包んで「はい、おしまい」ではない。
サバに最上川ポークの挽き肉、すりおろしたショウガ、玉ねぎを合わせる。さらに隠し味として、ゼラチンで固めたホタテのダシ、鮭の魚醤、白ダシを追加。
「魚系の旨みを重ねることで、サバの味わいがグンと引き立つんですよ」と松井さん。仕上げにカレー粉とクミンを加えて、皮に包み、さらに蒸し上げる。蒸し上がった焼売には、さらに焼いたサバと焼きトマトをオン。
添えられているのは牡蠣醤油や昆布も加えた自家製のポン酢と、トウガラシ入りの「赤おにおろし」だ。
材料と調理法を聞いているだけでも「複雑な味わいのハーモニー」が浮かんでくるような、サバしゅうまいを食べてみる。
ビールが止まらない“サバの一品料理”のオンパレード

うわー! これはですね、もう「サバの一品料理」!
具は極めてしっとり。サバの旨みが、加えられた材料ごとに多面体のようにカラフルに表情を変えて口の中でほとばしる。トッピングの香ばしいサバの身、爽やかなトマトが加わるともはや、ドラマティックすぎるおいしさ!

これだけでも「奥深すぎる味わい」が楽しめるけれど、ポン酢でさっぱりもよし。ピリ辛な赤おにおろしとともにいただけば、ビールがグイグイすすむ!
『東京Qeema』では、うれしいことに挽き肉系ではないけれど「ビールにぴったりなサバ料理」も随時提供している。たとえば「サバとセロリのフリット」。
カレー粉をふった金華さばの身に、ザクザクと細切りにしたセロリをからめて、米粉入りの衣でカラリと揚げた、いわば「さばとセロリのかき揚げ」的な一品だ。

外はカリッと、中はふわっと仕上がったサバと、香気あふれるセロリの相性はじつにピッタリ! そしてビールにもピッタリ(涙)!

いやはやサバの達人で、サバほぐしの達人で、サバとビールの達人の松井さん。サバらしい!
だからこそ。ジェンヌのお・ね・が・い!
「サバのガパオもあればいいのに…………!!!!!!!!!!」
暑苦しく、しつこく、切実にお願いしたらば、ヤッター! 松井さんが完成させてくれましたよ!
おそらく日本国内ではこちらぐらいかとおぼしき、「鯖ガパオ」!

鯖ガパオは、敢えてほぐさずに提供。「自分で『お好み挽肉化』を楽しむスタイルです(笑)」と松井さん。
ガパオライスのペーストに、赤ワインとバルサミコ酢をプラスして、小松菜、セロリの角切り、自家製玉ねぎピクルスと一緒に炒めて、こんがり焼いた金華さばとともにライスにオン!
ザクザクとサバをほぐしてガパオ部分とともに口に入れれば、さまざまな食感と複雑な味わいが楽しめる。フライドエッグを崩してからめれば、またまた悶絶ものの美味しさ(涙)。
ぜひ、挽き肉化したサバとビールのご機嫌な時間を過ごしに『東京Qeema』へ!

松井さん、あと……サバオムレツとか……サバマーボとか……サバロールキャベツとかも……ぜひっ!
■『東京Qeema』
[住所]東京都杉並区南荻窪1-22-12 野村ビル1階
[電話番号]03-4400-8310
[営業時間]11時半〜15時(14時半LO)、18時〜22時半(22時LO)
[休み]日・祝(臨時定休日はSNSでお知らせ)
https://www.instagram.com/tokyo_qeema/
[交通]JR中央線ほか荻窪駅南口から徒歩12分、または関東バス荻窪一丁目下車、徒歩1分
[URL]https://tokyoqeema.com/
■池田陽子
全日本さば連合会広報担当 サバジェンヌ/薬膳アテンダント
サバを愛する消費者の集まりである「全日本さば連合会」(全さば連)の広報を担当。日本各地のサバ情報の発信、サバ商品のPR、商品開発等を行う。北京中医薬大学日本校を卒業、国際中医薬膳師資格を持ち、薬膳アテンダントとしても活動。水産庁「海の宝!水産女子の元気プロジェクト」認定メンバー。著書に『サバが好き!〜旨すぎる国民的青魚のすべて』(山と渓谷社)、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)など。全さば連HP:http://all38.com/
取材・撮影/池田陽子

