最高のMモデルが得る2文字 BMW M3 CSへ試乗 プラス40ps マイナス20kg 前編
素晴らしいドライバーズカー、M5 CSの弟
G80型のBMW M3に「CS」が追加された。ひと回り大きいBMW M5にもCSが存在するが、こちらは現行のMモデルとして最高水準の仕上がりにある。日常的な乗りやすさを担保しつつ、新次元といえる動的能力を宿した、スーパーサルーンだ。
【画像】最高のMモデルが得る2文字 BMW M3 CS M5 CSとM4 CSL 競合の高性能サルーンも 全136枚
今回のM3 CSは、同等のレシビで仕立てられた、ひと回り小さい4ドアのMモデルに当たる。もう1台の傑作が誕生しても不思議ではない。

BMW M3 CS(欧州仕様)
だたしM3 CSの場合、ハードウエアの大部分をBMW M4 CSLと共有している。これが素晴らしい2ドアクーペなことに間違いはないが、歴代2台のCSLに並ぶほどの、象徴的な印象は残さなかった。あと少し、という部分がゼロではなかった。
BMW M社で開発責任者を務めるダーク・ハッカー氏は、自らM5 CSの弟に当たると主張する。大きな兄で成功した方向性を、もう一度繰り返しただけだったという。唯一の違いは、片方のエンジンが8気筒で、一方が6気筒だったこと程度らしい。
その成果を確かめるには、実際に運転してみるしかない。かくして、深く恋に落ちてしまうような、素晴らしい能力を宿していた。
既存のM3 コンペティションでは叶えることができなかった、従来のM3らしい敏捷性を取り戻したG80型であることは間違いなさそうだ。素晴らしいドライバーズカーだといっていい。
ただし、試乗で許された時間は非常に短く、走れた距離は50kmにも届かなかった。また、生産初期のデモ車両だったということも、含みおきいただきたい。
ブーストアップで+40ps 0-100km/h加速3.4秒
先代のF80型M3にも、モデル末期にCSが投入されたことをご記憶の読者はいらっしゃるだろう。パワーアップは10psと限定的で、生産の最後を飾る特別仕様にも思えたが、シャシーにはそれ以上といえるチューニングが施されていた。
G80型のCSの場合、3.0L直列6気筒エンジンは、ベースとなったM3 コンペティションから40psも増強。M4 CSLと同等の550psを獲得している。ECUの書き換えと、ターボブーストを0.4barから2.1barへ高めたことで実現されている。

BMW M3 CS(欧州仕様)
最大トルクは変わらず、といっても不足はないが、66.1kg-m。エンジンマウントは強化されており、ダイレクト感を高めている。トランスミッションは8速オートマティックが組まれ、四輪が駆動される。
パワーアップに伴い、アクティブ・ディファレンシャルにも改良が施され、前後のトルク分配は従来以上にリア寄りとなった。スタビリティ・コントロールをオフにすると、完全な後輪駆動状態も選べる。
0-100km/h加速は、後輪駆動のM4 CSLが3.7秒でこなすのに対し、四輪駆動のM3 CSでは3.4秒へ短縮している。車重は1625kgに対し1765kgと、140kgほど重いにも関わらず。
惜しくも今回の試乗では、スタビリティ・コントロールをオフにする機会はなかった。指定されたルートは初めて走る場所で、筆者の後ろにも他のメディアのM3 CSが続いていたのだ。
快適性を損なわずサーキットでの能力を向上
見た目では、リアバンパーの下でチタン製エグゾーストシステムが鈍く輝く。排気音のボリュームはM3 コンペティションより明らかに大きくなったが、社会性を欠くほどではないだろう。
ステアリングやサスペンションも、CS専用の改良が施されている。乗り心地の落ち着きを損なわずに、サーキットでの能力を高めるべく、ショックアブソーバーやコイルスプリング、アンチロールバーなどに手を加えたと、技術者のハッカーは説明する。

BMW M3 CS(欧州仕様)
アルミホイールは、前後異径で軽量な専用品。フロントが19インチ、リアが20インチとなり、タイヤはピレリPゼロかミシュラン・パイロットスポーツ4Sのいずれかが提供される。筆者の試乗車には、ミシュランが装備されていた。
2種類が設定された理由は、小さくないであろう需要に応えるためだという。M3 CSは販売期間が限定されているものの、欧州市場では生産数が制限されるわけではない。
ボディまわりでは、ボンネットとバンパー、ディフューザーなどが専用品。トランクリッドにはスポイラーが載り、ルーフとサイドミラー・カバーはカーボンファイバー製になる。これらのアイテムにより、車重はM3 コンペティションより20kg削られた。
バネ下重量を削ることができるカーボンセラミック・ディスクブレーキは、英国では7295ポンド(約117万円)のオプション。試乗車には装備されていた。
この続きは後編にて。
