男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「旅行1週間前に女が心変わりした理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:なぜドタキャン…?女が直前で、いい感じに進んでいた男との旅行を躊躇したワケ




「はぁ…どうしようかな」

さっきから私は、自分の部屋でスマホと睨めっこをしている。送るべきか、送らないべきか…。一通のLINEを打ち終えたあと、送信ボタンが押せずにいる。

「まぁいいや。えい!」

思い切って送信ボタンを押すと、すぐに既読がついた。そしてしばらくすると、送った相手である潤から電話がかかってきた。

「絵麻。何で?どうした?」
「ごめん…ちょっと急に行けなくなっちゃって」

本当は、来週から彼と北海道へ旅行をするはずだった。けれども私はどうしても行けない…いや、行かなくてもいいかなと思い、断ることにしたのだ。

私が“彼と旅行するのはやめよう”と思ったのにはいくつかの理由があった。


A1:アリ寄りのアリだと思っていた。


潤との付き合いは意外に長い。新卒で会社に入りたての頃、食事会で知り合ったのでもう5年前のことになる。

最初いいなと思ったものの、結局ただの友達関係で落ち着いていた。しかもその間に私は婚約をしたり、潤も彼女がいたりでしばらく会うこともなかった。

けれども私は婚約を破棄し、潤も彼女と別れてシングルになったりといろいろなことが重なり、1年くらい前から頻繁に連絡が来るようになった。

そして2人きりで遊ぶようになったのが、半年前くらいのこと。そこからは頻繁に会うようになっていた。

「絵麻とこうして2人で会うことになるなんて、当時は想像していなかったな〜」
「同じく。潤くんは良い友達だったしね」

『ROMANO 麻布十番』で食事をしながら、潤の言葉に大きくうなずく。




ただこうして2人で会い始めてから、私はずっと気になっていることがあった。

「そういえば、絵麻は前の婚約者と連絡取ったりしてないの?」
「どうしたの?突然」
「いや、なんとなく…」

― これって、どういう意図で聞いてるんだろう?

私のことを異性として気になっているから聞いているのか、それともただの雑談なのか…。

私がこう思うのには、理由があった。

「まったくだよ。もう3年くらい前に終わった話だし」

「津軽鶏のロースト タスマニアマスタード添え」を食べながら気にしていない素振りをしてみたけれど、内心では潤に対して言いたいことが山ほどあった。




「それを言うと、なんで潤くんは彼女作らないの?」
「作らないというか…。ビビっとくる子がいないんだよね」

もし私のことをいいなと思ってくれているんだったら、こんなふうには言わないと思う。“気になっている子がいる”とか言うはずだから。

潤から多少の好意は感じられるものの、確信が持てない。ただ一人でいるのが寂しいから私といるように思える。都合がいいからこうやって食事に誘うのか…。

「う〜ん。美味しい!ここのパスタ絶品だね」
「絵麻は?誰かいい人いないの?」
「う〜ん。そうだね。東京っていい人がいっぱいいるから逆に難しいよね」

そんな会話をしていると、急に潤が真顔になった。

「絵麻って、毎回そんな人と距離近いの?」
「ん?何が?」

気がつけば、私は椅子を潤のほうに寄せていた。慌ててパッと離すけれど、潤はまだ私をジッと見ている。

「いや…。他の男にこんな距離感だと、誤解されちゃうよ?」
「大丈夫。潤くんだけだもん」

私も悪いのかもしれない。よくわからない微妙な関係でこうやって2人きりで食事に行くし、彼との距離が近いから。

でも嫌いな人に対してだったらこんな距離感にはならないのに、潤は気がつかないのだろうか。

「潤くん、ご馳走さまでした!」
「ほら、もう帰るよ」
「え〜まだ帰りたくない♡」

こうは言いながらも、実際に潤は無理やり家に連れて帰ったりしないことも知っているし、私も潤の家へ行くこともしない。

― この関係って、一体何なんだろう。

毎回そんなことを思いながら解散していた。しかし次のデートで、事態が動く。でもそれと同時に、気がついてしまったことがある。


A2:都合のいい女として扱われているとしか思えなかったから。


それは2週間後に潤と食事をしていた時のこと。

「…でね、沙織が最近彼氏にフラれちゃったらしくて。って、潤くん聞いてる?」
「うん、聞いてるよ。ごめんごめん」
「何かあった?」
「何でもないよ」

ぼうっとしていたと思ったら、次に発せられた潤の言葉に、私は思わず耳を疑ってしまった。

「そういえば、この前元カノに会ってさ」
「元カノって、直近の?」
「そうそう。半年前くらいの」

― ……え?何その話。聞いてないんだけど。

潤と再び連絡を取り合うようになったのは、ちょうど1年前くらいのこと。

私に連絡をしている間に他の子と付き合い、そしてその子と別れそうだから、私と2人での食事に誘ってきた…ということになる。

「半年前に付き合ってた人なんていたっけ?」
「1ヶ月くらいで別れた人がいたんだよ(笑)」

― 何それ。私ただの当て馬?都合のいい女ってことじゃん。

胸の中がモヤモヤする。しかし無神経な潤は、さらに私がイラッとするようなことを言ってきた。

「なんか噂で、俳優と付き合っているって聞いてさ」




― 元カノの彼氏の話とか、何で私にするわけ?

「誰なんだろう?って気になって」
「若手俳優とかかな?どうやって知り合ったんだろうね」

潤の元カノの話なんて、どうでもいい。むしろ聞きたくない。ますます潤の気持ちがわからなくなっていく。でもこのタイミングで、潤は急に旅行に誘ってきた。

「そういえば…絵麻、最近忙しいの?」
「うーん。忙しいと言えば忙しいけど。何で?」
「あのさ、どこか行かない?2人で」
「え?旅行ってこと…?」

― 潤の中で、私ってどういうポジション??

一緒に旅行できたら楽しいと思う。潤のことを男性としていいなと思っているし、この旅行で何かが変わるかもしれない。そんな淡い期待も抱いた。

「うん、いいよ。いいね、旅行!」
「どこ行きたい?海外でもいいけど」
「とりあえず国内にする?北海道とか?もう寒いかな…」
「北海道いいね。美味しいもの食べに行こうよ」

― 泊まりってことは、同じ部屋ってことだよね…これってつまり…。




ただ解散したあと、現実的に考えると急激に気持ちが冷めてきた。

この旅行、潤は一体どういうつもりで誘ったのだろうか。この先があるの?行ったところで、私のメリットは何だろう。

こんな曖昧な関係で行くことはもちろん嫌だ。

それより何より、彼女がいないから適当に誘える相手を見つけた…(つまりそれが私)という魂胆が見え隠れする。

しかも私が驚いたのは、自分から誘っておいて、旅行代金を「全部折半」と言い始めたことだった。

「じゃあ僕、ホテル探しておくから絵麻はエアーお願いできる?」
「わかった」
「あとお店も探さないとだね。折半となるとそこまで高いところは微妙かな…」

― 私のこと、何だと思ってるの?

私と旅行したいから、誘ったわけではない。適当に誘えば来てくれそうで、しかもちゃんとお金も払える子を誘っただけ。

そう考えると腹が立ってきた。

― 自分を下げるような旅には行かないでおこう…。

そう思い直し、私は潤との旅行を断ることにした。

自分を大切にしたいと思ったから。そしてちゃんと真摯に向き合ってくれる人と一緒に行きたいから。

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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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女がデート中に興ざめした理由は?