東京屈指の“セレブの街”として知られる一方、豊かな緑がしっかりと継承される。

それが、本日ご紹介するエリア「成城」である。

ここに住まう人々は“成城ブランド”に誇りを持ち、その上品なイメージを守ろうとする地元意識が非常に高い。

なぜ、この街に大人は魅了されるのか。その理由を徹底解剖する!

東京の街の個性を徹底調査する連載「東京ご近所探訪」。過去にご紹介した街も、要チェック!


今月のエリア【成城】


今回は、東京でも指折りの高級住宅地・世田谷区の成城を取り上げる。“セレブの街”として知られるが、そのイメージはどこからきたのか?

そもそも、この一帯は砧村喜多見という地名だった。そこに、1925年、新宿にあった成城高等学校が移転し、成城という地名になったそう。

街が開発された当初は作家が多く移り住み、その後、東宝スタジオができたことで文化人や芸能人が多く暮らすように。



駅前の商店エリアを抜けると一気に閑静な住宅街に。緑豊かな並木道に生垣のある邸宅が立ち並ぶ様子は、成城のシンボル


1965年創業の洋菓子店『成城アルプス』のシェフパティシエ・太田秀樹さんは「私がまだ幼い頃、朝の日課のように当店のサロンでコーヒーを飲んで現場に行く映画監督が何人もいました」と話す。

芸能関係者が古くから好む街であり、その辺りがセレブのイメージを強固にしているようだ。

そんな華やかな側面が目立つ街だが、緑を大切にすることでも有名。

街には「成城憲章」という紳士協定があり、自然豊かで閑静な住宅街のイメージを守るため、個人宅でも生垣と庭園設置の申し合わせがあるそう。

そういった試みゆえか、高台にある国分寺崖線の湧水付近では、いまだにホタルを見ることができるというから驚きだ。


地元民に長く愛され続ける洋菓子店『成城アルプス』


地元で愛され続ける洋菓子店。焼き菓子や「モカロール」は、成城住民のギフトや手土産の定番。

チョコとキャラメルのほろ苦い味わいの「ブレンダ」(564円)が人気の逸品。



成城に住む人々は、ひと言でいえば“ハイソ”。

「フランス料理を食べ慣れた家庭が多く、小学校低学年でもナイフやフォークを使いこなされていますよ」と、『デギスタシオン』オーナーシェフの小鮒博明さんは話す。

同じくフレンチの『レストラン アシエット』オーナーシェフの稚田仲弘さんは、「味にこだわりのある方が多く、開店当初はいろいろなご意見を頂戴しました。それでも何度も通ってくださる方ばかりで、じっくり育ててもらいました。金銭面だけでなく心に余裕がある方が多いですね」と、その気風を表現してくれた。


旬の食材を使った極上のフレンチに癒される『デギスタシオン』


旬の食材を使ったふたつのコース(5,700円〜、7,800円〜)が人気のフレンチ。

名物は、メインディッシュの「和牛ほほ肉の赤ワイン煮」。8時間煮込まれた肉は、ほろほろと口の中で崩れる。

時期によって、仔羊や鴨肉も選べる。


ほっと落ち着ける大人の贅沢空間が広がる『レストラン アシエット』


フランスで修業した稚田仲弘さんが1996年に開いた一軒家フレンチ。息子でパティシエの健人さんも働く。

1階はカフェ、2階がレストラン、地下はバー。

名物は「オマール海老のグリエ アメリケーヌソース」(12,100円のコースより)。


高貴な住民たちが誇る“成城ブランド”


そんな成城を理解するには、住所がカギになるとも。

成城学園周辺の5、6丁目は、成城らしい高級住宅地。4丁目の高台エリアは昔からの邸宅が多数。逆に、1〜3丁目や8、9丁目は移住者が多いエリア。

お店への電話では、現在も「5丁目の佐藤です」と住所を名乗る風習があるそうで、地元意識の高さもうかがえる。


全国区レベルの知名度と人気を誇る『成城石井』


今や全国にある『成城石井』は、1927年に『石井食料品店』として創業。

成城の目も舌も肥えた客層に応えるべく、1984年から自社輸入もスタート。この地とは切っても切れない関係。


酒好きの大人が足繁く通う『サルメリアロッキュー』


成城の家飲みを支える、生ハムのテイクアウト専門店。

極薄切りの味わいは口の中でとろけて消え、香ばしい余韻が残る。切り立ての最上の味を楽しむには、30分以内に食べるのが鉄則だそう。

「基本の5種盛り」2,000円〜。



一方、豪邸を相続せず、分譲して売りに出す人も多く、そこに新規の移住者が入ってくる流れもあるとか。

とはいえ、「成城憲章」や住民の成城愛を知るに、今後も成城ブランドは不滅。

誇りを持てる街に住まう幸せがここにある。

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