スマホのディスプレイはノッチ廃止へ! 画面埋め込みカメラのUDC技術とは

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スマートフォンのディスプレイ上部にあるフロントカメラの穴(パンチホール)や欠き取り(ノッチ)がいよいよ無くなりそうだ。

サムスンの「Galaxy Z Fold3 5G」のインディスプレイ、
シャオミの「MIX 4」
ZTEの「AXON 30 5G」
これらフロントカメラが見えないスマートフォンがこの夏次々と登場している。


シャオミMIX 4。フロントカメラは見えない


これらのモデルはディスプレイの下にカメラを埋め込む技術「Under Display Camera」(UDC、アンダーディスプレイカメラ)を採用している。

一見するとディスプレイ上には何も見えないが、上部中央にはカメラが埋め込まれている。ディスプレイにそのままカメラを埋め込むとカメラに光が入らないため、カメラの上の部分はディスプレイの密度を下げて光が通過するようにしているのだ。

実はUDCのディスプレイを搭載したスマートフォンは、2020年に世界で初めて日本で発売されている。

楽天の「Rakuten BIG」はディスプレイ上部に3200万画素のフロントカメラを搭載している。しかしUDCによりカメラの存在は見えず、6.92インチのディスプレイ全面を表示エリアとして使える。Rakuten BIGはZTEが製造したスマートフォンで、その後ZTEからもほぼ同スペックの「AXON 20 5G」が発売になった。

しかしRakuten BIGもAXON 20 5Gもフロントカメラで写真を撮ると、顔はまあまあ綺麗に撮れるものの、背景がボケたり、くすんだりして、カメラ性能はあまり高いとはいえなかった。特に逆光のように後ろから光が当たるシーンの撮影は不得意だった。
当時のUDCは、まだ実用性は低い、と思ってしまったものだ。


UDCの技術概要。カメラ上のディスプレイの密度を下げている


ところが2021年に各社から発売されたUDCディスプレイ採用のスマートフォンは、フロントカメラ性能が各段に高まっている。
顔写真は一般的なスマートフォンのフロントカメラと変わりはなく、多少ボケるものの許容できるレベルにまで落ち着いてきたのだ。
またZoomなどのオンライン会議に使う分にはパソコンの低画質な内蔵カメラを使うより、むしろUDCディスプレイ採用のスマートフォンカメラを使ったほうが十分使いものになりそうなほど改善されてきたのである。

さて3社のUDCを見ると、サムスンのGalaxy Z Fold3 5Gは、ディスプレイを斜めから見るとカメラの位置がわかる。
シャオミのMIX 4やZTE AXON 30 5Gは、ほとんど気が付かないレベルで埋め込まれている。
UDCの完成度は、シャオミやZTEのほうが若干高そうだ。

しかし3社の製品いずれでも動画や写真を表示してみると、画面を遮るものが一切ないため、高い没入感を得ることができる。
最近のスマートフォンはスピーカー性能も高まっているが、迫力ある映画を見るときなどはUDCディスプレイを使えば掌の中に本当に映画のスクリーンがあるような錯覚に陥るだろう。


フロントカメラが無ければ没入感も高まる


最近は、フロントカメラを2つ搭載し、セルフィーを強化したスマートフォンも出てきている。
しかし2つを角丸の長方形型にしたモデルはカメラの穴がかなり気になってしまう。
もともとスマートフォンはディスプレイ内にはカメラはなかったので、気になるのは当たり前なのだ。


デュアルフロントカメラのスマートフォン。「穴」は目立つ


では今後、UDCの採用は増えるのだろうか?
おそらく多くのメーカーも追従するだろう。

最近のスマートフォンはディスプレイサイズがより大きくなり、高解像度、さらに高リフレッシュレートの製品が増えている。スマートフォンで動画配信サービスの動画を視聴する人も増えており、でより美しい映像を見たいというニーズも高くなっている。
当然、画面上を遮るフロントカメラの存在は目障りになるだろう。

実はこの3社の他にも、OPPOがUDC技術を開発中だ。
他社がカメラの上のディスプレイ密度を下げているのに対し、OPPOでは解像度はそのままでフロントカメラ性能を維持しているという。つまりOPPOの技術は一見すると、どこにフロントカメラがあるかわからないディスプレイを実現できるのだ。
フロントカメラを意識することなく写真撮影ができ、さらに動画や写真も表示できるとなれば、もはやUDCディスプレイを採用しない理由はどこにも無いだろう。

新型コロナウィルスの影響により、スマートフォンの生体認証として顔認証よりも指紋認証が好まれるようにもなっている。マスクをした顔を認証する技術も進化しているが、スマートフォンの進化の方向としてアップル以外は「脱・ノッチ」に動こうとしている。
サムスン、シャオミ、ZTE、OPPOとメジャーメーカーから次々とUDCが発表される中、アップルが、今後どう動くかも気になるところだ。


執筆 山根康宏