運用責任者の葉林(JANE YE)は、欧州系の大手運用会社の中国株式調査アナリストを経て2016年4月に現スミトモ ミツイ DSアセットマネジメント(ホンコン)に入社し、当ファンドを担当している。香港を中心に、上海、東京、シンガポールの4拠点には総勢33名の専門スタッフを配置し、グローバルな大手運用会社とそん色のない運用体制を築いている。中国株のアナリストは16名。2019年度は中国・香港企業に2801件の取材を実施し、リアルタイムで企業の変化を補足することに努めている。

 JANEが銘柄選定の基準として拘りを持っているのは、企業の質・ファンダメンタルズと厳格なバリュエーションの評価。その考え方を突き詰めて「BEAUTY」という選定基準をチームで徹底している。Bはビジネスモデル、EはESG、Aはアクセス・ツー・マネジメントで経営陣へのアクセス、Uはユニークネス(独自性)、Tはターゲットプライス(目標株価)、そして、Yはイールド(利回り)。この基準を運用チームが共有することで、ブレることのない投資判断ができている。

 ――変革期の中国が向かう先とは?

 中国は、2020年から2025年の6年間で1兆4000億米ドル(約148兆円)以上を投資し、主要な先端技術で世界の主導権を握る政策を推進している。AI(人工知能)、5G(第5世代移動体通信)、EV(電気自動車)・自動運転、バイオ医薬、ロボット、DX(デジタル・トランスフォーメーション)など「中国製造2025」の重点分野だ。当ファンドでは「CHINA DISRUPTION(中国による創造的破壊)」ともいえる、これら重点産業に関連する企業等に投資している。

 たとえば、中国のAIの進化は、その規模やスピード感で他国とは比べ物にならない。米国などではサービスを提供する企業が個人データを管理しているが、中国では多くのデータは国家の管理下にある。電子決済やEコマース、防犯カメラの画像データなど、あらゆるデータが国家管理の下で解析の対象になる。5Gを使った自動運転技術の開発も国家事業として地域を丸ごと実験場にしてしまえる。このような環境で進む研究から、次世代の技術が生み出されている。その果実を投資成果として取り入れるという考えが重要だ。

 Bilibili(ビリビリ)はNASDAQに上場している動画共有プラットフォーマーだが、当初は中国のアニメオタク向けに日本の漫画やゲームを紹介するサイトだったが、今ではコンテンツやサービスの水準を引き上げ、中国でジェネレーションZ(Z世代)といわれる90年代・2000年代生まれの若者たちを引き付けるプラットフォーマーとして存在感を確立している。月間アクティブユーザーは約2億人に達し、中国のIT大手であるテンセントやアリババの他、日本のソニーも出資している。

 同じく、Z世代の支持を得ているスポーツ用品メーカーのLi Ning(リーニン:香港)は、オリンピック体操金メダリストである李寧氏が創業した当初は、ナイキのモノマネメーカーといわれていたものの、2018年にはパリ・コレにも出展し、国内市場でナイキ、アディダスに続く第3のブランドに成長した。

 また、Montage Technology(モンタージュ・テクノロジー)は上海の科創板に上場しているクラウドコンピューティングやAI向け半導体設計会社だ。中国政府は半導体自給率を2018年の15%から、2020年に40%、2025年に70%に引き上げる目標を掲げ、同社など国内の半導体関連メーカーへの支援に注力する方針だ。同社にはインテルが戦略出資し、ビジネスパートナーとしてインテル互換プロセッサーも開発している。