タワマン最上階に、高級車。世帯年収2,000万を超えるDINKSが陥った、“ダブルインカム”の甘い罠
時は2018年、夏。
東京都の人口は1,300万人を超え、日本人の約1割がここ東京に密集している。
日本中から人が集まり、さまざまな文化が入り交じるこの都市で、少し…いやかなり不思議な人々を紹介しよう。
東京ピープルコレクション’18、開幕である。
前回は、ハレクラニを愛してやまない女性に登場いただいた。さて今回は…?

DINKSという言葉が日本に広まり始めたのは、バブル真っ只中。
共働きで子どもを持たないという新しい夫婦のカタチは、好景気の日本で一躍脚光を浴びた。
特に東京などの大都市になるほどその割合は高くなり、夫婦共々高い収入を得ながら生活する充実した様子を、SNSなどで目にするひとも多いだろう。
今回紹介する夫婦は、そのイメージを地で行くカップルだという、もっぱらの噂。
東京ピープルコレクションNo.2・大倉夫妻に、華麗なる日常をご紹介いただこう。
◆
「どうも、宜しくお願い致します。」
時間ちょうどに現れた大倉さん(夫)は、雑誌から飛び出してきたような男性だった。
マルセロバーロンのトップスに、ディースクエアードのダメージデニム。そこにルブタンのハイカットスニーカーを合わせ、キャップには大きくGUCCIのロゴが鎮座している。
「紹介してくださった方って、トイプーちゃん2匹飼ってらっしゃる人ですよね?親しいお知り合いというわけではないのですが…。僕らのこと、なんて聞いてます?」
タワマン最上階に住む素敵なご夫婦だと聞いていると話すと、彼の鼻の穴が少し膨らんだように見えた。
「そうですか。でも彼女は下階の方なのに、なんで知ってるんでしょうね?エレベーターが違うんですよ。」
高層なだけで狭小住宅ですけど、と謙遜しながら見せてくれた部屋からの眺望写真には、レインボーブリッジがしっかりと写り込んでいた。
ブランドづくめの香ばしメンズが語る、東京DINKSライフとは?!
【東京ピープルコレクション No.2】
名前:大倉 俊(36)
職業:外資系企業勤務
住まい:品川区
趣味:ドライブ
「妻と一緒に来られず、申し訳ありません。彼女は休日出勤も多くて。」
聞けば、奥様はファッションブランドのPRをしており、今日は外苑前でイベントを主催しているため都合が合わなかったそうだ。
大倉さんと奥さんが結婚したのは、今から8年前。出会って半年というなかなかのスピード婚だったらしい。
「友人の紹介で出逢って、お互い一目惚れに近かったようです。」
照れながら語る大倉さんは、マイケル・J・フォックスを日本人にしたかのようなかわいらしいルックスの持ち主。少しお腹が出ているのが気になるが、キュートな男性が好みの女性には、大変魅力的な男性であろう。
妻です、と見せてくれた彼の待ち受け画面には、愛犬と共に微笑む、若き日の蓮舫に似た美女が写っていた。
「気が強そうでしょ?でもね、僕と犬には優しいんですよ。」

「あれが僕の愛車、S550カブリオレです。」
彼の指差す方に目をやると、黒いボディに朱赤の幌の、ギラついたベンツが存在感を放っている。
先週は鎌倉に出かけたというので、マリンスポーツをするのか伺ったところ、予想外の返事が返ってきた。
「僕は浜辺にすら降りません。砂が体につくのが苦手だし、汚れた靴で車に乗るのも嫌なので。」
そんな彼の鎌倉ドライブプランは、高速を降りたらすぐさま幌を全開にし、サザンの曲を大音量でかけながら、鎌倉駅前→由比ガ浜→七里ヶ浜までドライブ。
その後、七里ヶ浜の駐車場に止め、『bills』のテラス席から愛車と海を眺めるというものだそうだ。
「まあ、妻と犬は海辺で遊んだりしてますけどね。僕はインスタに車の画像をあげたりして待ってます。帰りは、汚れた犬と妻は後部座席にバスタオルを敷いて座ってもらうんですが、その状態でオープンにしたら暑かったらしく、流石に怒られました。」
このエピソードから奥さんはオープンカーが嫌いなのかと思いきや、意外とそうでもないらしい。
「お台場から帰るときのレインボーブリッジが、たまらないみたいです。」
ご存知の方も多いだろうが、レインボーブリッジの一般道路は、ゆりかもめの真横を通る。
ゆりかもめのスピードは遅く、法定速度で走っている車よりもスローなことが多いため、車がゆっくりと電車を追い越して行くような状態が数十秒ほど続くのだそうだ。
「土曜日の夕方ともなると立っている乗客もたくさんいて、みんなが一斉にこっちを見るんですよ。妻は眩しくもないのにサングラスをかけて、”視線が痛い!”と嬉しそうにしています。」
このエピソードだけでも、大倉夫妻が似た者夫婦ということがよくわかる。
そんな香ばしくも幸せに見えるお二人だが、実は大倉さんには、大きな悩みがあるのだという。
「うーん、お恥ずかしいんですけどね。」
残り少なくなったアイスコーヒーにミルクを足しながら、彼は小さい声で囁く。
「僕ね、お金が全然ないんですよ。貧乏なんです。」
まさかの貧乏宣言!裕福な生活に隠されたからくりとは?!
大倉さんの年収は1,500万で、奥様の年収は約600万。
世帯年収2,000万円を優に超えている家庭が陥った”貧困”の原因は、その家計ルールだと彼は断言する。
「結婚した時から、ずっとルールは変えていません。でも、最近友人と話していて、うちは変だって気づいたんですよ。」
そのシステムとは、家事一式を全て奥様が行い、家計は全て大倉さんがまかなうというもの。
つまりは、奥様は家での労働を負う代わりに、自分の給料は全て自身のお小遣いになるということだ。
「妻から、家では専業主婦と同じことをするんだから当然と言われ、最初は納得していたんです。でも、そろそろ老後の資金づくりも必要かなと考え始めてから、このままだと破綻すると気が気じゃないです。」
眺望自慢の高層マンションの購入価格は、約8,000万円。
購入して6年が経つが、まだ5,000万円以上ローンが残っており、管理費を合わせると月々の支払いは20万円を超える。
「住宅ローン減税の恩恵を最大限に受けるために、多額のローンを組んだんです。今思うと、あの時はまだ余裕があったので、もっと頭金を入れておくべきでした。」
そう頭を抱えるが、どうやら決定的な原因は月々の支払いだけではなさそうだ。
2年前に愛車のベンツを中古で購入し、1,300万を一括払い。そのせいで貯金をほとんど使い切ってしまったというではないか。
「情けない話なんですが、妻には貯金があるはずだから大丈夫だと思いこんでいたんですよ。一緒にディーラーに行った妻も、かっこいいね、って気に入ってくれてましたし。」
月々の支払いに、車の維持費や駐車場代など約10万円が加わり、更に遠出が増え、レジャー費がかさむ。いままで何もしなくとも少しは増えていた残高が、気づけば毎月赤字に。
焦った大倉さんが奥様に泣きつくが、その時、思った以上に家計が苦しいことが発覚したという。

「妻の方にも、貯金はほとんどありませんでした。」
奥様の仕事が忙しくなるにつれ、家事との両立が難しくなり、掃除代行サービスなどを頻繁に利用していたようだ。
また、ファッションブランドのPRという職業柄、月20万以上ファッションにお金をかけている事もわかったという。
「目の前が真っ暗になりましたよ。このままだと、どうなるんだろうって。」
そんな大倉さん夫妻、なんとか状況を打破するため、必死に取り組んでいることがあるそうだ。
「ふるさと納税です。収入はまあまああるので、年間40万位は枠があります。去年は還元率の高かったiPadに変えて、転売しました。今年は全額旅行券に変えたので、年末の旅行はこれでまかなうつもりです。」
根本的な解決にはなっていない気がするが、生粋の浪費家である彼らにとって、浪費を有効活用する一種の方法なのであろう。
「家計ルールの見直しも提案したんですが、なかなか踏み出せなくて。一度上げてしまった生活レベルはなかなか落とせませんよね。もっと稼がないと・・・。」
腕に巻きついたHUBLOTの時計を眺めながら、彼は悲壮感たっぷりに呟くのであった。
◆
そんな大倉さんが憧れるリアルセレブな先輩がいるというので、詳しく聞いてみた。
「昔からお世話になっている男性なんですが、とにかく黒いんです。自宅のテラスで日光浴してるみたいですよ。最近ダイエットに成功したらしく、インスタに毎日腹筋の写真を載せてくるので、刺激になりますよ。」
とにかく黒い、マッチョなリアルセレブ。
どこからともなく、焦げ付くようないいネタの香りが漂ってくる。
次週、またひとつ、素敵なコレクションが加わりそうだ。
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